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〈小説〉〈詩〉「泡をすくって、早々とひらり」 〜プロローグ〜

 空気の抜ける音。機会をうかがってぷすっ、ぷすっ、と顔を出す。

 さっきまであった空気の勢いが潮の流れに阻まれて仕方なく顔を出す。

 あまりにも惨めな瞬間。

 さっきまであった心地いい温もりが、思い込みの形だけを残して蒸発していく。

  中身が なくなったその身体は浮かぶ力を失い、居場所を求めて沈んでいく。

 あとはもう果てしなく暗い、深い底の砂場に当たった音が鈍く聞こえるだけ。

 二度と浮かんでこない。もう、すくいあげることもできない。何度も味わったその屈辱を、隠すようにして息を吸う。

 誰かに悟られるわけでもないのに必死に自分を落ち着かせる。

空気の抜ける音。最後の温度を打ち上げて、記憶と共に眠っていく。

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