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なんと言おうと#43 ~年の初めは定型詩~

皆さま、こんばんは。なんと言おうと#43です。
このコンテンツは普段は人の意見に導かれたり、流されたりすることが多い僕がこの場だけは自分の考えを誰の意見にも惑わされずに言いたいという思いから成り立っています。

正月休みは九州に帰ってゆっくり過ごしてて。たまった録画やテレビやら見ながら過ごして年明けを迎えて初日に見たアニメ、ゾンビランドサガ、面白い!作品自体は当初から知ってはいたけど見てなくて、ちゃんと見たのは初めてで。ゾンビの少女がアイドルに、ディープな佐賀を堪能し、ぶっ飛びネタも満載で、飽きない楽しさありました。そんな作品の主題歌の最初の口上、こちらです!!

死んでも夢を叶えたい! (いいえ、)死んでも夢は叶えられる!
それは絶望?それとも希望?
過酷な運命乗り越えて、脈がなくても突き進む!
それが私(たち)のサガだから!

・・・ふぅ。皆さんおきづきでしょうか?「正月休みは~」からここまですべて(字余りはあれど)7音+5音、(それは絶望~の部分は)7音+7音+7音+5音の言い回しで書いておりました。日本人にとって馴染み深い語感で前者は「七五調」、後者は都々逸どどいつといいます。その話、実は年末にツイッターで言及していました(下のツイート参照)。また、本ノート#1でもタイトルで語感を意識していて「日本語の定型詩は5字と7字が多いので言いやすく、馴染み深いと思います」と話していたんですよね。

というわけで、今回は「定型詩」をテーマに、定型詩で成り立っている楽曲などについて分析していきたいと思います。それでは新年一発目、七五調の魅力に迫る回、スタートです。

定型詩・七五調とは?

ウィキペディアによると、七五調とは、詩で七音・五音の順番で繰り返す形式で、優しく優雅な感じを与えることを特徴とするとのことで、主に古今和歌集に使われている調子だそうです。古今和歌集に限らず、唱歌や軍歌、校歌、童謡など、明治時代以降に作られた楽曲の多くは七五調をベースに作られています。

「そんな古い曲ばっかり!」と思うかもしれませんが、現代の日本においても七五調で書かれた楽曲は少なからずあり、日本人にとっては語感が良い音数でもあるので楽曲に限らずコントのネタ(リズムネタ?)でも使われることがあります。その例がこちらです。

ロバートのコント・トゥトゥトゥサークル

「トゥトゥトゥのリズムで 喋るのさ♪」ロバートのコント、トゥトゥトゥサークルは七五調で会話が進行していくコント、トゥトゥトゥのリズムが7音+5音の七五調なのです(字余りで8音+5音になる部分もかなり多いです)。彼らがそれを意識して作られたかどうかは分かりませんが、コントそのものの面白さだけでなく耳に残るリズムに七五調の語感が合わさって多くの人から評判を得られたのだと分析します。

七五調の楽曲

ここからは、七五調の楽曲をいくつか紹介したいと思います。ウィキから引用したものもあれば独自で見つけたものもあります。歌ってみれば「確かに!」ってわかってもらえる、分かりやすく七五調の曲を集めたつもりです。

チェッカーズ「ギザギザハートの子守唄」

ちっちゃな頃から 悪ガキで
15で不良と 呼ばれたよ
ナイフみたいに 尖っては
触るものみな 傷つけた

チェッカーズ「ギザギザハートの子守唄」歌いだし

やっぱり、七五調の曲と言えばこれじゃないですか。ギザギザハートの子守唄。字余りはあれど、僕は人に七五調の曲を説明するのにはまずこの曲を使いますかね。

里見浩太朗/横内正「ああ人生に涙あり」

人生楽ありゃ 苦もあるさ
涙の後には 虹も出る
歩いてゆくんだ しっかりと
自分の道を 踏みしめて

「ああ人生に涙あり」1番

今のちっちゃい子が知っているかどうかは分かりませんが、水戸黄門も外せないと思います。月曜夜8時、TBS系列といえばこれでしたよね。七五調の曲、ギザギザハートの子守唄とああ人生に涙ありで大体わかったのではないかと思います。僕としてはこの2曲で七五調の2トップ張れると思っています。他にもたくさんあるので色んな角度から攻めてみましょう。

八代亜紀「舟唄」

お酒はぬるめの 燗がいい
肴は炙った イカでいい
女は無口な 人がいい
あかりはぼんやり 灯りゃいい

八代亜紀「舟唄」歌いだし

演歌にも当然七五調で書かれている曲は数多くあって。舟唄は代表的ですね。でも調べていて演歌でも必ずしも定型詩ばかりとは限らないんだなということも実感しました。ここまでは、全曲通して七五調で書かれている曲たちでした。

福岡ソフトバンクホークス応援歌「いざゆけ若鷹軍団」

玄界灘の 潮風に
鍛えし翼 たくましく
疾風のごとく 颯爽と
栄光めざし 羽ばたけよ

ホークウイングス「いざゆけ若鷹軍団」歌いだし

野球の応援歌だって七五調。上述のツイート通り、福岡の人ならギザギザハートの子守唄といざゆけ若鷹軍団、この2曲で説明できるし、僕自身も七五調の定型詩はいざゆけ若鷹軍団で習ったものです。なお、これに限らず、「六甲おろし」「燃えよドラゴンズ」あたりも七五調です。

たま「さよなら人類」

二酸化炭素を はきだして
あの娘が呼吸を しているよ
どん天模様の 空の下
つぼみのままで ゆれながら

たま「さよなら人類」歌いだし

知っている人がどれだけいるか分かりませんが、個人的な趣味なところから。さよなら人類。まぁ、ウィキに載っているので。たまは独特な雰囲気で自由律詩が多いイメージがあるかもしれませんが、柳原さん曲は七五調の歌詞が多いです。

ジッタリン・ジン「プレゼント」

あなたが私に くれたもの
キリンがさかだち したピアス
あなたが私に くれたもの
フラッグチェックの ハンチング

JITTERIN’JINN「プレゼント」歌いだし

イカ天枠からもう一曲。8音+5音の進行が多いですが、分かりやすいので載せておきます。楽曲のリズム感も相まって心地よく聞こえると思います。

GTP「冷凍みかん」

今日は電車で 旅に出る
朝は早いし まだ眠い
駅のホームに 着いたとき
私の目に 飛び込んだ

GTP「冷凍みかん」歌いだし

こちらも知名度がどれだけあるか分かりませんが、ご当地ソングからも七五調。静岡県から「冷凍みかん」。七五調からのサビは「冷凍みかん 冷凍みかん 冷凍みかん 4個入り」で都々逸。やはりこうした分かりやすいリズム感が多くの人の心をつかむのでしょうね。

これだけ挙げれば七五調の曲がどんなものか分かったのではないでしょうか。他にも山ほどありますが、僕があまり最近の音楽を聴かないのと、楽曲の一部分(1フレーズ)だけとか分かりにくいのもあるので今回は省略させていただきます。ちなみに、ゴールデンボンバーの「女々しくて」は最初の5音の連続の印象が強いと思いますが、Bメロは七五調(「沢山の人ごみの中で」をどう分けるかにもよる)で、サビは1回目の「女々しくて」まで含めると都々逸。鬼龍院さんは意外と語感や字数を大切にされている・・・なんて思ったんですけど、ちょっと分かりにくいかなと。とにかく、他にもたくさんあって皆さんも日頃聴いてる曲の中にもきっとあるはずですので探してみてください!

そして、七五調の楽曲はみな字数が同じなので、同じ七五調の別の曲の節で歌っても歌唱上は違和感がないという特徴があります。つまり、ああ人生に涙ありの節でギザギザハートの子守唄を歌うことは可能ということです。ぜひやってみてください。そして、ぜひ他の曲でも試してみてください。

五七調の楽曲

「七五調の曲があるなら、五七調の曲もあるのでは?」と思った方、鋭いですね。当然あるんですよ、七五調ほど多くはないんですけど。五七調の曲も何曲か紹介して今回は締めたいと思います。
ウィキによると五七調は、七五調とは対照的に素朴で力強い感じを与えることを特徴としているとのことです。確かに、頭に短い5文字が入ったほうが大事なことが強く伝わってくるような気がします。主に万葉集に使われており、七五調より先に成立しているようです。なお、ウィキでは「君が代」は五七調となっていますが実際は「五・七・五・七・七」(=短歌)なのでこれを五七調と呼ぶのは・・・と思ったんですがそもそも万葉集は短歌・和歌集なので間違いではないか、、、。

「栄冠は君に輝く」

雲は沸き 光溢れて
天高く 純白のたま
今日ぞ飛ぶ 若人よいざ

「栄冠は君に輝く」歌いだし

夏の甲子園でおなじみ、栄冠は君に輝く。五七調の曲の代表格だと思います。力強さが伝わってきますよね。楽曲通して五七調になっています。

高橋洋子「残酷な天使のテーゼ」

残酷な 天使のテーゼ
窓辺から やがて飛び立つ
ほとばしる 熱いパトスで
思い出を 裏切るなら

高橋洋子「残酷な天使のテーゼ」サビ

アニソン界から残酷な天使のテーゼ。なんとサビは五七調なんです。「言われてみると!」ってなりました。カラオケでも人気なのでこちらのほうが多くの人に伝わるかもしれませんね。

AKB48「会いたかった」

好きならば 好きだと言おう
誤魔化さず 素直になろう
好きならば 好きだと言おう
胸の内 さらけ出そうよ

AKB48「会いたかった」サビ

この曲もサビはなんと五七調!なんとなく歌ってたら五七調と分かって、分かった時感動しましたね。新しいところ・・・って思っていれたけどリリース2006年の10月。16年以上前なのね・・・。
あっ、しかも公式のPVは「大声ダイヤモンド」以降しかないのな

なお、五七調も七五調と同様にみな字数が同じなので、同じ七五調の別の曲の節で歌っても歌唱上は違和感がありません。

ここまで、七五調と五七調の曲を紹介してきましたが、いかがでしたか。調べていくうちにこれは7音+5音、5音+7音・・・だけでない7音+7音をどう取るかも考えだしてしまいましたね。これを考え出すときりがないのでここではこれ以上しませんが。とりあえず、現代にも古くから使われている和のリズムが残っているということがわかっていただければ幸いです。以上、年の初めは定型詩、でした。

参考URL

七五調 - Wikipedia
五七調 - Wikipedia
都々逸 - Wikipedia
『残酷な天使のテーゼ』に思わずノってしまうのには理由があった! | ダ・ヴィンチWeb (ddnavi.com)

今週の1枚

正月休みに食べたおせち料理。家ですべて手作りされたもの・・・ではなくどこかで注文したものなんですけど。今まで家で食べてきたおせちと比べて全体的に甘い味付けがなされていて、伊勢エビのグラタン?(右から2列目)にいたっては「チーズケーキ?!」と思ったほどでした。和食って家によって色の違いが出ますよね。

それでは、また次回お会いしましょう!!

※公開後、編集が入る場合があります

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