はじめまして〜。
何飲む？とりあえずビールの人！はーい。
え？カシスオレンジ？おっ早速個性出してきたね。
いや、良いんだよ。個性は大事だからね。
一杯目はビールだなんてメディアが与えたイメージだよ。票数が多いからみんなビールでいいよね？なんておかしな話だよ。良いよカシスオレンジね。
ビール５つとカシスオレンジください。

まあ、とりあえず自己紹介でもしようか。
じゃあ僕から。
B男です。25歳で〇〇っていう会社で働いてます。あ、そうそうよくCMでやってるやつね。
趣味は、音楽を聴くことかなあ。うん。よくライブとか行くよ。
僕はね、もう25だし、今日のこの場に軽はずみな気持ち出来ているわけじゃないんだよ。本当にね、将来的に結婚する相手を探しにきてるんだ。
だから君達に僕を知ってもらわないと困るんだよね。

僕は髪の長い女の子が好きだ。髪がなびいた時、香りが鼻をかすめるときのあの感じもすきだ。その匂いを嗅ぎ続けたいのに一瞬のことで留めておくことができないあのもどかしさも含めて髪の長い女の子が好きなんだ。君らも髪の毛はいい匂いにしておいたほうがいいと思うよ。僕は君たちの髪の匂いを嗅いだことがないから、良い匂いなのか臭いのかなんてわからないんだけど。

あと僕は酸いも甘いも嗅ぎ分けたオヤジを見極めることが得意なんだ。
あいつらの波乱万丈物語は他者と比べたらありきたりなものばかりだからね。だからこそ僕が見極めた酸いも甘いも嗅ぎ分けたオヤジが言う世の中は良いもんだ。と言う言葉は信用できる。現にそのオヤジの言う事を聞いて今の会社に入ることができたしね。

あ、飲み物が来たね。まだ自己紹介の途中だけど乾杯しようか。ビールはこっちで、カシスオレンジは君だね。君は偉いね。カシスオレンジを主張できて。ビールのプリン体なんて気にしなくていいんだから。僕だって本当はウーロンハイを飲みたかったんだ。

僕はきちんと主張ができるカシスオレンジの君がかなり気に入っている。僕と結婚を前提にお付き合いして欲しいと思っている。僕はまだ君のことは知らないけど。ちゃんとカシスオレンジを主張できる事でいろんなことがわかった気がするよ。
合コンなんて趣味じゃないんだ。僕は合コンなんて行きたくなかった。ちょっとした社会勉強のつもりだったんだよ。でもこんな風に男子３人女子３人で対面して座るありきたりなポジショニングでどこからどう見ても合コンにしか見えないこの恥ずかしい状況を我慢してここまでこれたんだから、僕は君と付き合う権利があると思うんだ。

え？無理？ヤダヤダヤダ。やだよそんなこと言わないでよ。僕と付き合ってよ〜。

じゃ、じゃあちゃんと僕のこと話すから、ね？ね？だから良いよね？僕のことちゃんと知ってくれ。せめてさ？ね？

ありがとう。じゃあ改めて、ぼくは愛とか平和とかを目指している人のことを馬鹿にしたりしない。努力している人はどんなことであれ偉いんだよ。ぼくは中学1年生のとき、この世で成功するやつは天才か努力家だけだっていうことに気がついてしまったんだ。ぼくはそのときサッカーをやっていてまあまあなところまで行っていたんだ。だけどあの時はちょうど、成長期が重なるじゃない。体型の差で負けたりするんだよね。でも、僕は努力もしなかった。だからすぐ挫折したよ。サッカーはそんなに好きじゃなかったけど。負けることもそんなに好きじゃないからさ。仲よかった友達が先にスタメン入りしたんだ。ぼくはその時サッカー部を辞めたよ。

あ、サラダ来たよ。食べようか。
おい〇〇お前女が取り分けろとか失礼だろ。まだそんなこと言ってんのか。関白宣言はさだまさしの時代で終わったんだよ。あの後の曲聞いたことあるか？関白宣言の主人公、1人でカップラーメン食ってんだぞ？
食べたい分だけ、みんな各自で取り分けよう。
現代ってそういうものだろう？食べたい分だけ食べたいものを、食べれば良い。この海鮮サラダの海鮮ばかり狙っていてはダメだよ。きちんと野菜をとって、栄養もつけなきゃ。

話を戻すんだけど、天才と努力家以外の人は普通の人生を歩むことになるんだろうけど、天才や努力家を認知している人間は、普通の人生を歩むことすらできないんだ。絶望したよ。天才でなければ努力しろって。僕には多分できない。そもそも秀才っていう言葉が嫌いだ。秀才も努力し続けられる天才なんだと思う。ということは天才と努力家というカテゴライズは間違っている。この世には天才と凡人しか居ない。怖すぎて泣けてくるよ。一握りなんて嫌いだ。ひとつまみも嫌いだ。なんだよひとつまみってわからないだろう？塩少々とかどのくらいが少々なんだよ。

一握りもきっとわからないんだ。この世界の天才はほんの一握りで、その一握りに入っているかもしれないという気持ちだけで努力をし続ける事は僕には出来ない。

だから僕は今日みたいな場に来たんだ。お互いが求めている環境。努力し続ける事が出来るか分からない僕には今日みたいな場が必要なんだよ。
僕はほんの少しだけ今努力している。だからカシスオレンジの君と付き合いたい。そして結婚したい。

努力を継続するために、僕に力を貸して欲しいんだ。

いい？いいの？やったー！！！じゃあ僕たちはもうここにいる必要はないね。2人で抜けようか、後の皆さんはどうぞ自己紹介の続きを。
きっと君達にも良い結果が訪れますように。

じゃあ、行こうかカシスオレンジの君。ところで君の名前は？

#お話