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8弾AD環境の黒緑速攻に関する考察

0.はじめに

天門すらぶっちぎり。

最終ランキング及び公式大会であるBA(Battle Arena、以下略)4thの優先権争いが熾烈を極める3月下旬。8弾AD(All Division、以下略)環境において、彗星の如く現れたのが黒緑速攻である。このデッキは速攻でありながら宿敵の天門デッキすら打ち抜きうるスピードとパワーを有し、周回速度と構築コストの低さも相まって瞬く間に使用者を増やしている。

今回はこの黒緑速攻について紹介していく。また以前から存在した型と現在(2021/3/30)流行している型とを比較し、それぞれの立ち回りや強み、また弱みも併せて筆者なりに解説する。またAD環境限定の構築となり、今回に限ってはNDで応用できる部分は少ないのでその点はご了承頂きたい。

また今回の記事は、

・デュエプレを始めたばかりでランクマを戦えるデッキが組めない
・黒緑速攻を使ったことがない、使ってみたい
・黒緑速攻が苦手で何とか対策したい
・単純にヒマ

こんな感じの人たち向けの内容になっていると思う、この拙文が何れかで悩んでいる方の一助になれば幸いである。


1.黒緑速攻の特徴

黒緑速攻は文字通り闇と自然の低コストクリーチャーを中心に速攻を仕掛けるデッキだ。速攻デッキは他にも様々な文明の組み合わせが有るが、それらと比較した際に以下の特徴が挙げられる。

①攻撃できる1コストのクリーチャー数が一番多い
②黒の2マナクリーチャーが曲者揃い
③SA(スピードアタッカー、以下省略)持ちのクリーチャーが居ない
④進化速攻も(今のところ)ない
⑤まともな防御トリガーが存在しない

①「攻撃できる1コストのクリーチャーが一番多い」に関しては、以下を見て貰えば一目瞭然だと思う。

白…クルト
青…無し
黒…ボーンスライム、ロンリーウォーカー、タイラントワーム
赤…ブレイズクロー、ボロック
緑…スナイプモスキート、ポレゴン、ダンディナスオ(条件付き)

数の多さで見れば緑+黒または緑+赤なのだが、この内ボロックとタイラントワームは蒸発する場面も多く安定性に欠けるため、数に入れるのは難しいと感じた。その上でこの強みを活かすなら緑+黒の組み合わせが一番適しているだろう。
1コストクリーチャーの多さは横広げの速度に直結し、少ないマナで多くの数を展開できる。黒緑速攻の最大の武器であり、他速攻との差別化となる。

②「黒の2マナクリーチャーが曲者揃い」に関しては、

・CIP(登場時効果、以下略)で強制で盾を回収する(=1ドロー)ヤットパウル
・殴り順番を強制されるが4000のパワーを持つストリウム
・パワーは1000だが殆どの除去呪文を無効化するデンデンパーカッション

これらに加え緑の怒髪サエポヨを環境によって選べる点が非常に強い。
ヤットパウルは速攻相手だと自殺行為になる可能性があり、ストリウムはサーファーを踏んだ際に致命傷を負いやすい、デンデンはクリーチャーデッキ相手に実質能力無しなどいずれも決して万能ではないが、尖った性能を上手く使えば非常に強力な打点となる。

③「SA持ちのクリーチャーが居ない」、④「進化速攻も(今のところ)ない」に関しては逆に黒緑速攻の弱みとなる。
赤入りの速攻だと「とにかくシールドを割り切ってしまえば、デッキトップからのSAで押し切れる」立ち回りを選択することが出来るのだが、そういったゴリ押しを狙う権利を黒緑速攻は有していない。一度クリーチャーが全滅してしまえば逆転するのが非常に難しいと言えるだろう。

⑤「まともな防御トリガーが存在しない」点に関しては、赤白速攻と比較したとき特に顕著となる。ざっくりで比較しても、

赤白…ホリスパ、アポデイ、スクラッパー、リク、コロビナー(コロン)、ピアラハート、ダキテー、その他諸々
黒緑…デモハン、ナチュトラ、ベア子姫、グリンドホーン

黒緑速攻で候補となるトリガー呪文は効果が一発逆転するに至らない、トリガー獣も汎用性に欠ける点が否めず質としては決して高くない。更に言うと緑が絡む速攻は違う色のトリガー(赤黒にスパーク、赤白にサーファーなど)を入れると動きが不安定になる点も弱みに拍車をかけている
そのため、上の③④と相まって、黒緑速攻では逆転の芽を残す構築より自分の動きを徹底的に安定させる構築の方が好まれると筆者は感じている。

またデッキ自体の強さとは別の部分で、構築コストの低さも黒緑速攻における強みと言えるだろう。後に紹介するレオパルド型の総コストは驚愕の5600DMP、SR2枚VR1枚相当で0から環境級のデッキが作成可能な点は見逃せない。


こうやって比較するとネガティブな点の方が多いように思えるが、①と②がそれを補って余りある強みを持つ。AD環境で戦っているであろう読者の方々はそれを体感していると思うし、それほどまでに序盤の横広げ展開は現在有効なのである。

次の項では7弾で使用していたものをベースに筆者が調整し使用していた黒緑速攻を、その次の項では現在ランクマで猛威を奮っているレオパルド型黒緑速攻を紹介していく。


2.7弾環境ベース型黒緑速攻

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マナチャージ…3までマナを伸ばすことが多い
2T目のモスキート…殴らない方が多い
3T目以降の動き…相手に応じてCIP持ちクリーチャーを当てていく
主な仮想敵…赤白アポロヌス、青単ツヴァイ、白緑ダイブリ、除去コン

こちらは除去CIP獣で相手の小型クリーチャーを処理しながらシールドを割っていく除去ビート要素の強い黒緑速攻である。赤黒速攻と比較すると厭らしさは弱いものの、その分速度と横広げに秀でている。
先攻をとって上手く嵌れば相手のサエポヨやスクリュー、コッコルピアやバジル、ヤッタルワンやエルカイオウを除去しながら一方的に此方の盤面が揃うため、相手の動きをさせないまま数の暴力で殴り切ることが出来る。
一方で後攻を引いた時は相手の2マナ獣の処理が間に合わず蹂躙されることも多いため、先攻後攻が大きく勝敗に関与すると感じた。
また低コスト獣こそ多いがSAの不在から4Tキルは安定せず、その点からマナブーストを持つ天門(=5T目に天門を放つ)相手には滅法弱い

基本的には1.2.3とマナカーブに沿って有効なクリーチャーを出していくデッキのため、モスキートの使い方は赤緑速攻と同じく「3マナの動きを重視して2ターン目の攻撃は待つ」ことが多い。
クリーチャーデッキに対するメタ的な要素が大きく、SAやトリガーでゴリ押すデッキでもないため意外とマナ置きや殴りに気を遣うデッキだと言える。


ここまでが7弾で一定の成績を残した従来の黒緑速攻になる。次の項では一気に頭角を現したレオパルド型の黒緑速攻を紹介していくが、動きとしては全く異なると個人的には感じたので是非とも比較してみて欲しい。


3.レオパルド型黒緑速攻

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マナチャージ…2までで十分なことが多い、マナより盤面に置きたい
2T目のモスキート…殴っても良い場面が多々ある
3T目以降の動き…レオパルドを引き込めたら出す動きを最優先
主な仮想敵…ゲオアガピ天門、5Cカチュア、青単テクノロジー、ドルバロム

こちらは横広げからのレオパルド降臨による打点の押し付けを強みとした、踏み倒しこそ行うものの純粋な速攻デッキである。
安定した4Tキル性能、過剰な横広げによる単体除去への耐性、サエポヨ怒髪とレオパルドによるパワーラインの高さによる天門への貫通力を武器に、一度盤面を揃えてしまえば易々と捲られることは無いデッキだと感じた。

以下、対戦時の流れをポイントと共に順に挙げる。

a.1コストはガッツリ積むべき?

よほどのことが無い限りは4種16枚+ナスオで合計20枚積むべき。

1ターン目にクリーチャーを出せたら大きいのは勿論、3ターン目に2マナで2体出せるかが鍵になるので極力積めるだけ積む。

b.1T目には何を優先して出すべき?

モスキート>>>>ポレゴン>ボンスラ。

モスキートが2Tから殴りに行けるデッキなので群を抜いてモスキートが重要。レオパルドマナ置きからのモスキート召喚で圧を掛けていこう。

c.2T目は何を優先して出すべき?

基本的には、ヤットパウル>1コスト×2体(ナスオ>ロンリーウォーカー>モスキート>ポレゴン>ボンスラ)>サエポヨ怒髪ストリウム

ただし相手に速攻の兆しが有ればヤットパウルを出さずにサエポヨ怒髪とボンスラを優先。またヤットパウルを優先する理由は1ターンでも早くレオパルドを引き込み次のターンの選択肢を増やすため。

d.2T目は殴るべき?

モスキート…基本的に殴り。3マナ獣を出したい可能性がある時だけ待ち。
ポレゴン…3T目に2マナで4体まで並べられる保証がある時だけ殴り。基本待ち。
ボンスラ…待ち一択。

2ターン目の攻撃に関しては次のターンで4体並べられるかが最重要なのでそれを基に判断する。盤面の数を減らすポレゴンは基本待ち推奨だが、2ターン目に1マナ2体召喚+3ターン目に1マナ2体召喚+レオパルド降臨の上振れパターンがある時だけは殴って良いだろう。

e.3T目は何を優先して出すべき?

とにかく4体並べてレオパルドを無償降臨させればなんでもおk。

3ターン目以降のボンスラとポレゴンは実質デメリット無しになることが多いのでここで纏めて出すのが一番良い。順調にいけば4ターン目にフィニッシュすることが大半だからだ。逆にデメリット無しで殴れるナスオとロンリーウォーカーは2ターン目に出して2回以上殴れるようにしてあげたい
先攻だと3ターン目に使える札は7枚なので、レオパルドの踏み倒しを含めマナ2:盤面5を目指して盤面を組み立てよう。またマナを3まで伸ばさないと盤面を4まで伸ばせない(2コスト+1コストしか出来ない)場合は、モスキートが盤面に居る場合なら直後に殴ってマナから回収できるので4体展開しても失策になる可能性は低い。逆にモスキートが居ない場合に3マナまで伸ばしてしまうと結果的に打点が減る可能性もある
ちなみに後攻を引いたりヤットパウルを出せば使える札が8枚になるので、マナを3まで伸ばしても3ターン目にレオパルドが出せたり、CIP獣(ヴィネス、ベア子姫等)の準備をしたり、2体目のレオパルド等の選択が入ってくる。

f.3T目は殴るべき?

ポレゴン、ボンスラ以外は殴るべき。

トリガーデモハンでレオパルドが処理される危険は勿論あるが、基本的には殴りに行って良いと感じる。ただし盤面の数が減ったり、最終的な打点数が変わらない可能性のあるポレゴンとボンスラは殴る意味が無いだろう。

g.4T目はどうするべき?

ボッコボコにしてやろうかねぇ!!(CV.銀の戦斧)

後は出して殴るだけである。脳筋最高!!
基本的には残り盾が3枚前後になるため、レオパルド→低パワー獣→サエポヨ怒髪の順で殴る機会が一番多いと感じるが、相手に入っていそうなトリガーに応じて殴り順は変えて良いと思う(丸投げ)。


基本的に先攻後攻で動きが大きく変わるデッキではないこと、レオパルドの引きに多少依存はするものの小型獣だけで殴り切れることも多々あることから、非常に安定性の高いデッキだと筆者は感じた。しかしそれだけで環境を荒らすことは難しいのもまた事実。何がここまで環境へと押し上げたのだろうか?


4.なぜレオパルド型黒緑速攻は今強い?

なぜ環境で戦えるのか?それは除去の種類がレオパルド型にとって追い風となっているからだと筆者は考える。ここで先ほど上げた仮想敵のトリガーおよび除去手段を主観の下に纏めると、

ゲオアガピ天門…エタガ、ハンド、アガピorゲオルグのタップキル、メツ
カチュア…上に同じ+ナチュトラ
テクノロジー…スパスラ、サーファー、ネオングライド
ドルバロム…デモハン、ジャラ、メツ

御覧のようにメツを除き大半は確定除去かバウンスであり、早い段階での横広げを武器にするレオパルド型黒緑速攻とはいずれもすこぶる相性が悪い。本来有効なはずのスクラッパーや裁きといった火力除去は他の環境デッキに対して効かないことが多く、現在の環境デッキにこれらを積む余裕は無いと感じた。
一方でメツは出されたら負けも同然だが踏み倒しやコスト軽減が難しく、よほどのトリガーを踏まない限りは出されない。そしてこれらの仮想敵はほとんどが環境トップであり、それらに強い点はランクマにおいて非常に大きな価値を持つ。

特に本来最大の障壁となる天門においてはバルホルス+エリクシアといった鉄壁を構えられることが無くなったこと、天門が対コントロールに重きを置いて受けトリガーが8枚前後と一時に比べて守りが薄いこと、レモンの弱体化などが合わさって貫通しやすくなっているのだと思う。
もしかすると速攻系統で初めて天門系統に五分以上が付いた瞬間なのかもしれない、しかも天門がトップメタを走っている時期にだ。レオパルド型黒緑速攻が流行る理由はこれだけでも十分だろう。


さて、環境トップに対して素晴らしい強さを見せるレオパルド型黒緑速攻。果たして隙は無いのだろうか?


5.レオパルド型黒緑速攻の弱点

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冗談抜きにこの1枚で詰む。フィオナの森にはアポデイが良く効くぜ!
踏んでからの立て直しが殆ど不可能なのに加えて、本来設定された発動条件の厳しさが有って無い点はまさに天敵。

またこのカードを無理なく積むことが可能なデッキには、

・メカオー
・ドリームメイト
・赤白速攻

等が挙げられる。
メカオーは生粋の速攻殺しであること、赤白速攻は早さと受けを両立したデッキでありトリガーの差で元々不利なので仕方ない面も大きい。
ただドリームメイトに関しては本来は早さで勝てるはずがこの1枚だけで相性がひっくり返されかねないこと、そしてデッキ自体がナーフを受けはしたものの依然強いデッキであることから、今後見る機会は再び増えると予想している。

その他にもトリガーがどうしようもなく薄いためツヴァイやアポロヌス相手にあっさり貫通されたり、リソース勝負になるとどうしようも無いためトリガー厚めの除去コンにすり潰されることも珍しくない。単発で見れば力押しが成功することもあるが、回数をこなすほどに苦手と感じるデッキは意外なほどに多いと思った

ただしこれらのデッキが環境トップのゲオアガピ天門に対して有利がつくかと言えばそんなことは中々無い。メタゲームの合間を縫うようにして本来デッキパワーがお世辞にも高いとは言えないレオパルドが暴れているのは本当に面白い。
速攻に関する記事の度に書いている気はするが、「速攻デッキの環境に応じたカード選び」は本当に大事だと改めて感じた。ツヴァイより安定して盤面を作れる、ツヴァイより1ターン早く展開できることに気付いたデッキ考案者は凄いと思う。


6.さいごに

「黒緑速攻」というデッキタイプは進化クリーチャーを中心に紙のころから存在していたみたいだが(エアプ)、それとは異なる型が7弾で、更に新たな型が8弾で開拓されるのは素直に凄いと感じた。単体では構想外だったカードが環境の変化や新規カードの収録によって多少化けることは割とあるだろう。しかしそれが環境トップのデッキを喰うほどになることは相当珍しいと思うし、そういうのにロマンを感じる人は尚更楽しいと思う。

またデッキ構築費用がとても安く、初心者の方にもお勧めできるデッキとなっているので是非とも一度握ってみて欲しい。速攻はトリガーを踏むドキドキも有って凄くスリルを感じられるデッキだぞ!(布教)

果たして8弾環境集大成のBA4thで大暴れできるか、2nd以来の速攻デッキが頂点を掴めるのか、個人的に凄く期待している。

2021/3/30 こじぃ

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