街かどの教育学〜算数・九九〜
「九九が覚えられない。」
「九九を間違って覚えている。」
この場合主に2通りの理由が考えられます。
①聴覚情報処理の未分化
②記号記憶の苦手さ
今回はその中でも聴覚の情報処理がうまく行っていない場合を紹介します。
九九ってどうやって覚えますか?
暗唱しますよね。しかもとてもテンポよく。
「いんいちがいち」「いんにがに」「ししじゅうろく」といったように。
こうしたテンポよく覚えようと考案された九九は、基本的に誰でも読めるようになるものだと思って疑いません。
ところがこの九九を覚えるためにはいくつかの壁を突破する必要があります。
①「し」「ち」のように近い音を聞き分ける
②聞き分けた音にしたがって自分が発音する
③普段使わない読みがあることを理解する
④今やっている段がなんの段か頭に数字を思い浮かべる
そしてこの①と②につまずく子がいるのです。
特にどこでつまずきやすいかというと
「にしがはち」「にはちじゅうろく」
「ししじゅうろく」「ししちにじゅうはち」
「ろくしにじゅうし」「ろくはしじゅうはち」
「しちしにじゅうはち」
「はちしさんじゅうに」
「くにじゅうはち」「くしさんじゅうろく」
などですね。正確にデータをとっていませんが、
「は行」「さ行」が多く用いられているとつまずきやすいようです。
これは覚え方が悪いとかではなく、その子の中で音の聞き分けがうまくいっていない場合があります。
だから実際に発音してもらうと「し」が「ひ」になっていたり、「しちしち」みたいなところは「しっちし」みたいになったりします。
これによってそもそもの数字との合致が起こりにくいのだと考えられます。
そもそも九九の読みは読み上げやすいだろうという前提のもとに進みますから読めて当然と思われていますが、ここにいくつものステージがあるのでそのステージを突破しているかどうかの判断は重要です。
今回のケースでいえば音の未分化によるものですから、音で暗唱するよりも数字をしっかり見ながら計算できるようになる方が早いでしょう。
あるいは発音を一つずつ修正し、九九の表などをもとに視覚と聴覚を一致させていく必要があります。
九九も焦らずじっくりと覚えるのがいいと思っていますが、こうした理由があることに目を向けてあげられると少し気も楽になるかもしれません。
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