見出し画像

【第4部の2】空き家の運営を黒字化した経験から〜行政や地域住人を巻き込んで〜

長いもので第4部になりました!
連続で読んでいただいている方はありがとうございます!
自分の活動をまとめる+発信するという目的で始めたのですが、「いつも見てるよ!」という声を頂けて嬉しく思います!

初めてご覧になる方は第0部をさっと目を通してから見ていただけると頭に入りやすいかと思います!

改めて以下構成載せておきます。
==============================
【第0部:概要の説明
【第1部:事業のはじまり
【第2部:いざ!空き家の改修!
【第3部:空き家を改修しても空き家のまま

【第4部:手がけたプロジェクトの紹介】
⑴チョコレート工房project↑過去の投稿はこちらから!

⑵ながせのながや入居者募集project
↑今回の記事になります!

∟⑶4軒長屋リノベーションproject
∟⑷造(みやつこ)リノベーションproject
∟⑸オープンナガヤ大阪

【第5部:取り組んだ活動の紹介】
【第6部:あきばこ家の今後】

今回で第4部の⑵になります。
ここまで読んできていただけた方はほぼ活動を把握されてるのでは?と思います、、!これから初めて読む方は第0部を見ていただけると分かりやすいかと思います!

これまではあきばこ家がながせのながやをどのように"再生"させたのか。ということをテーマに絞ってまとめました。
 この章ではあきばこ家の中で私がどのようなことをしたのか、また“ながせのながや”とは別で生まれたプロジェクトの紹介、リノベーション事例の紹介をさせていただければと考えています。各プロジェクト毎少し長くなるので、プロジェクト毎に紹介できればと思います。

===============================

【第4部目次】
チョコレート工房project (2016/12)
⑵ながせのながや入居募集project (2016/12〜)
⑶4軒長屋リノベーションproject (2017/2〜)
⑷「造(みやつこ)」リノベーションproject(2017/6〜)
⑷オープンナガヤ大阪 (2017/10〜)

===============================

⑵ながせのながや入居者募集project

(↑「ながせのながや」の学生用シェアハウスの住居部分。共用のキッチンとリビングルームになる。)

●ながせのながやの概要

ながせのながやのシェアハウスは1階にLDKと水回り、2階にリビング個室5部屋となっています。

家賃36000円で水道光熱費、通信費込みという金額に設定しています。

2016年6月に完成し、12月まで入居者ゼロのままでした。不動産屋に募集を出さず、どう入居者を付けるのかが不明確なままでした。
とは言っても計画段階から入居者を確実に付けることを想定するのはなかなか難しい側面もあります。そこで何かアクションを仕掛けなければ何も変わらないので、入居者募集を真剣に考え、取り組みました。

実際デザインが例え良かったとしても暮らしやすさや、シェアの関係性、暮らしが見えないなど住んでみないと分からないことがたくさんありました。

それから不動産屋さんに協力いただき、契約書の作成をしたり、入居者募集の背策や運営について実際にどう進めたのかをこの回でご紹介できればと思います。

(↑ながせのながや1階平面図)
地域サロンとはアプローチを分けている。共有のLDKと水回りを1階に集めている。

(↑2階平面図)2階は2軒分を繋げて使えるプラン。個室は約5.5畳。

●シェアハウスについて

1階のリビングと2階にも共有スペースがあることが入居者の気持ちによって選択できるということがミソになっています。

例えばみんなでご飯食べながらワイワイしたいときは1階。少し集中して課題に打ち込みたい時は2階。1人で映画を鑑賞したい時は自分の部屋。というように「したいこと」と「空間」を選べることがシェアをする上でのメリットになり、一人暮らしでは出来ないものです。

シェアハウスに住んだことがある方は分かるかもしれませんが、
「共有部の数=コミュニティの数」となります。
どういうことかというと、リビングという集まれる場が1つだとそこに集まるコミュニティは1に固まってしまいます。
気分によって選択できる場があるシェアハウスは強いと言えます。
そこを踏まえて一階と二階に共有スペースがあることがプラスに活きています。

こういった当たり前かもしれませんが、実際の居住者としての声には強みが出てきます。

三浦展さんの著書『これからの日本のために「シェア」の話をしよう』にもある通り、シェアは単に家賃が安いといったメリットで入居者を引きつけるのではなく、いわゆる「コト体験」をいかに演出するかということが大事になります。ここを空き家のままだと何も見えないので自分が住み、シェアハウスの住み方を見せようといざ入居しました。

●実際に長屋暮らしをしてみて

2018年11月に入居をして、2019年10月まで12ヶ月間実際に住みました。

初めはシェアハウスに一人暮らしでしたが、最終的に3人入居してくれて4人でのシェアハウス生活となりました。個室が狭い分暖房が効きやすく、眠る時は快適でしたが、LDKは寒い寒い笑
長屋や古民家をリノベするときは断熱が大切であると身にしみて感じました。

ただこういった大学生活の中で普通のマンションに住むよりも得られる経験は貴重なものでした。

(↑1階共有部から裏庭を覗く)
裏庭には高さ7〜8mの木があり、西日が葉の間から差し込む。

●いざ!入居者募集

2017年12月に自分が住み始めてから入居者が決まるまで、数々の施策と苦労を要しました。その経験を振り返っていくことが出来ればとおもいます。

施策①:とりあえず鍋パーティー
まずは人が集まっているなという雰囲気を作るために必死だった自分はとりあえず冬の鍋の季節だったので友人や後輩を誘い、鍋パーティーを数度企画しました。
ただ結果としては友人と後輩は誰も住んでもらえませんでした。

施策②:新入生向けの広報

(↑実際に配布したチラシ)

入試日にたくさんの学生が不動産情報を得て帰ることが多いと聞きつけて、入試日や学生証発行の日に合わせてポスターとチラシを作りました。
チラシに関しては効果はゼロ、、、。シェアハウスなんてテラスハウスって番組の世界と思っている人が多いのか、全く効果なしでした。
ただ、チラシを配っているときに偶然通りかかった不動産屋さんの社長が声をかけていただき、後々ポスターとチラシの店頭掲示と入居者との契約書作成のサポートをしていただけることになります。

また、ポスターはこれもまた偶然通りかかった文芸学部という全く接点のない学部の当時2年生がココに住みたい!と即決をしてくれて初の入居者が7月に決まることになります。

施策③:シェアハウス合宿企画
シェアハウスとはそもそもどんな暮らしなのか。ということを合宿形式で参加者を募ってかつ、足りていない家具をワークショップで作るという企画を作りました。
足りていない家具を一人で揃えるよりもみんなで楽しく作り、かつ入居に繋がる一石二鳥の企画を作りましたが、参加者が集まらずボツとなりました。

施策④:乗り換えキャンペーン
これまでは新入生をターゲットに広報活動をしていましたが、大学の下宿先は親と決める場合が多く、不動産屋が大学通りに10社以上乱立する地域では厳しいと分かりました。

そこで、ターゲットを在学生(1〜3年生)に変えるようにしました。
その1として、実家暮らしの学生がやっぱ下宿したいというニーズを突こうと学部内に宣伝をしました。ただこれはシェアの文化が根付いていない学生が周辺の普通のワンルームと天秤にかけてあっけなく振り落とされてしまいました。

ということで、、次は既に下宿している学生の入居先の契約期間更新の時期を突こうとしました。ただ、ほとんどが入居したてで退去するには違約金を払わないと、、という理由で上手くいきませんでした。

ただ、住みたい!けど違約金が、、という学生に向けて知恵を絞りました。
したいことがあってそこに障壁があるなら潰すか避ければ良いだけ!というスタンスで違う施策を考えました。
それが乗り換えキャンペーンです。

携帯会社っぽいですよね笑
不動産の解約違約金が家賃の1ヶ月、多くても2ヶ月なのでその分乗り換えてくれるなら1〜2ヶ月家賃無料にするよという単純な構図です。

実質引っ越し代だけで、住み先を変えられるという企画でした。(実際今私が上京してからそんな暮らしをするようになりました。)
この企画が刺さり、1人住んでもらえることになりました。

⑤管理人割引き
入居者が2人決まり、3人での暮らしとなりました。ここまでくるとようやくシェアハウスらしくなってきました。
ただ、問題は掃除や消耗品の補充を外部委託するのか、それとも共同でやるのか、管理人がやるのかがシェアハウス運営の1つのテーマになります。当時は私が担っていましたが、私が4年になり卒業が見えてくると今度は引き継ぎが大変になります。

また、入居者が私以外はあきばこ家のメンバーでないため、管理人としてあきばこ家のメンバーを立てようとなりました。
そこで、これだけ企画作って実際感じたことをありのままに話し、少し可能性のありそうな学生にひたすら当たりました。

そして、その管理人も決まりました!

私が4年生(2018年)の6〜7月辺りに私から数えて4人目となりました。
支出と収入の損益分岐点的に入居者が2人は入ればプラスであるので、ようやく健全に回るようになりました。

●契約書の作成

チラシを配っているときに声をかけてくれた不動産屋さんの社長の紹介で、この地域にあるシェアハウスを紹介してあげるとのことで、案内いただきました。
共有部の管理体制や入居者同士のトラブルの未然防止、暮らしやすい設備とは?ということを学ばせていただきました。

契約書はテンプレがあって、それに合わせて内容を変えるだけで良いのです。
ただ、シェアハウスなので契約書には細かすぎて記載しない使い方のルールや倫理的内容を別紙にまとめて契約書と同等の効力があるものとしました。

---------
入居者募集は今後人口減少と空き家の増加が進む中、どこの不動産も再生して入居者をつけるのは難しいので的確に入居者のターゲットを揃えて改修にあたる必要があると学びました。

入居者が無事決まり、ここ数年は続いてますが今後は分かりません。
ですが離れていてもサポートはしたいなと思うところです。

長くなりましたが読んでいただきありがとうございました!

次回は4軒長屋改修プロジェクトについてお話し出来ればと思います!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?