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【週末投稿】四季がある日本のバナナ #22(家内越冬、最後の手段)

日本でバナナを栽培する場合、温室など太陽の光が入り一定の温度が保てる環境が手に入るのであれば育成の問題はほぼクリアなのだが、一般のご家庭でバナナを育てるのは、沖縄、八重山地方、小笠原などの日本でも暖かい所を除いてはなかなか難しい。

バナナ愛好家は、様々な工夫をして耐寒性のある品種を導入して、温室環境以外で露地越冬できる方法を模索してきた。根本の土寄せ、仮茎のコモ巻き、穴を掘って地下に春まで保存する方法などさまざまな試行だ。結局、霜が当たる場所での露地越冬は成功例があるのだが、蒸れによるカビの発生や株の腐敗問題との闘いがあり、手間や経費を考慮すると、効果的・効率的な方法が今のところ見つかっていないと思われる。

参考:路地に植えるのに適した場所
【週末投稿】四季がある日本のバナナ #14 (結実失敗を誘う流通株)

露地で霜の影響を受けない環境が見つからない場合は、最後の手段として秋にバナナを鉢上げして、ベランダや家の中に取り込む事で寒さから逃れる方法が考えられる。しかし収穫を念頭に置いている栽培では、以下に述べる収穫リスクが発生する事を承知しておかなけらばならない。これを実施する方の事情としては、背に腹は代えられないという事になるわけだが。

バナナとしては急に根っこをカットされ狭い鉢に移植されるのだから本来はたまったものではない。移植ストレスがそれなりにかかる。数回同様の年越しに成功して結実したとしても、露地で移植せずに冬の寒さに耐えて結実した株と比べると収穫量に差がでてしまうのは仕方がない事なのである。

それでは実際の例を考えてみる事にしよう。

■ベランダに放置する方法

これはある程度の耐寒性のある品種でないと、失敗してしまうのだがベランダに置く事で、霜による影響は受けづらくなる。寒くなるため葉も年を越した頃からだんだんと枯れてくる。秋からだんだんと水やりを減らし真冬は水を与えないで様子を見る。

  【関東のベランダ越冬に成功した Dhusre バナナ 2019.03.02】

この方法は家に取り込むよりも手間がかからず楽であるが、失敗するリスクを考えて、複数株で行ったり数株は家で越冬するなど育成環境を分散させる事で手持ち株が枯れて無くならない様にすることも必要だ。

■家内で越冬する方法

小さい苗なら問題ないが、株が大きくなると重さや大きな葉で移動するのが厄介になる。置き場所の理想は窓辺で太陽光が当たり、気温も15度以上キープできる場所が良い。しかし気温が確保できない環境や、太陽光が当たる場所に置けないなど、制約が多い事もあると思うので、参考に工夫例をご紹介したいと思う。

1)気温確保とカビの対策
バナナのために室内で暖房を高めにできるのであればそれでもいいのだが、卓上型除湿器が購入できるのであればお勧めしたい。除湿中の廃棄空は室内温度より数度高い乾燥した空気のため、これで室内温度をを上昇させることが期待できる。経験値として除湿設定を55%以上で稼働するくらいがカビの発生も少なくて良いと思われる。

太陽光が入らない環境だと、鉢表面にカビが発生することが多く、見た目や人の健康にも良くない。過酸化水素の希釈したものを水やり時に混ぜる事で鉢内の土を柔らかく保ち、土表面のカビも抑えられるようだ。M.O.Xという商品を私は利用している。希釈液を散布すると短い時間ではあるが酸素は発生して土中まで酸素が行きわたる。

上の写真は高い位置でバナナを設置した例で温度を稼ぐことができる。サーキュレータを使わなければ、高い位置のほうが気温が高くなるためだ。

2)日照の問題と最低気温設定の考え方
窓際に置くことが出来ず、日照の代替が出来ない環境であれば、植物育成用の蛍光灯やLEDを利用する方法がある。

越冬中の気温について、もう少し考えてみる。
バナナは23度超えた所から活発に伸び始めるものや、18度くらであっても成長するものがある。またそれらより低い温度だと弱ってしまう品種もある。光が無くてもじっと我慢する品種もあれば、枯れてゆく品種もある。これらはカットアンドトライが必要だ。

ベランダ越冬とは違い家内はバナナにとって中途半端な気温のため、気温によっては、休眠したり成長したりするのである。
そのため家内でどこまで気温をキープできるのかにより、積極的に成長を促しながら越冬させるのか、気温を上げずに休眠させて春を迎えさせるのか、方針決めをした方が家内越冬を振り返り、評価するには有効である。

Red、EleEle 、GrossMichel、Cavendish系バナナなどは、寒さに弱く耐陰性の低い品種は「積極的育成環境」が好ましく、Namwa、IceCream、Apple、Orinoco、Mysole、Dhusreバナナなどは、10度くらいまで数カ月耐えられて耐陰性の強いバナナは、「休眠環境」でもなんとか越冬が出来る事が多い。

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