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【週末投稿】四季がある日本のバナナ #27(複数株構成になってホンマや)

バナナ株を初めてゲットした時は、単独株(1本株)である事が多い。海外のバナナ動画を見ると、吸芽はショベルで分離されたあと、「なた」などで荒く根塊周辺の根をカットして荒治療され、そのまま土に埋めて移植完了となる。しかし四季がある日本のバナナは沖縄等亜熱帯時期が長い所以外はうまくいかない事が多い。

水芽などが付いている複数株で導移植入ができると、単独株の移植と比べて水芽の成長に大きな差がでる。実は単独株は孤独であり、今まで育った環境と違うところにいきなり植え付けられるために、その環境に慣れるのに時間が掛かる。ため成長が比較的遅い傾向にある。

複数株構成でも初めての環境に遭遇するのは同じだが、子株は親株から栄養を分けてもらう事で、単独株に比べてすくすくと育ちやすい傾向にある。

単独株を地道に育てて無事開花結実までたどり着けば、そのころには吸い目が複数本出ている事が多いから、その後の子株達の成長は前述したように、効率良く成長できる環境に到達できた事になる。この様な環境で育つ吸芽は葉数は少ないのに背丈があるタケノコ形状になる事が多い。

関東の私の環境では水芽から育って結実収穫に至るまで3年掛かる(国内によって2年で収穫可能な所もある)。株単独で考えると、実の収穫は3年ごとにやってくる事になるのだが、その間に出来る吸芽切り離さず育てて、うまく管理する事で、ファミリー単位で毎年実を収穫できる環境を作り上げる事ができる。例えば、親株、子株、孫株という3株構成にして、それぞれが毎年越冬が成功すると、それぞれの株が開花結実して毎年実バナナを収穫できるようになるのである。

水芽は品種の違いやメリクロン化によって、比較的沢山出る傾向のものと親株がある程度大きくならないと全く水芽を出してこないものもあるが、開花期が近くなればまず吸芽は出てくるので焦らなくても大丈夫だ。

上記の様に水芽が多くなってきたら、株数の管理をする必要が出てくる。
株の調整は1ファミリーに対して、3~4株以内になるようにした方が良い。1株の場合だと、ほぼ全ての葉が太陽の日の光に当たる事ができるであろうが、複数株になってくるとそうもいかなくなる。多くなった株は他へ移植したり廃棄や緑肥にするなど数を調整する必要が出てくるのである。

切り離す株は貧弱な株だったり、今後ファミリーに影響が出そうな向きや間隔で生えている株を分離すると良いのだが、分離する時期は考えた方が良い。上の写真の状態が春から初夏までであれば分離して、すぐ移植等すると良い。次にやってくる冬を考えると、移植後に十分根を張らせないと越冬に耐えられなくなるからである。また上の状態が夏以降であれば分離せずに越冬後に分離判断をしてほしい。なぜならファミリー全体のすべての株が露地越冬できない場合があるからである。

植物の耐寒性獲得への進化は数十年単位では困難であると思うのだが、四季がある日本のバナナは、このように越冬して生き残った株だけが後世に生を繋げてゆく訳で、わずかながらこれだけの事でも寒さに安定的に耐えてゆく性質を獲得しつつあるように感覚的であるが感じている。

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