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【週末投稿】四季がある日本のバナナ #26(本当の開花予想法)

経済栽培している熱帯地域のバナナはいつでもグングンと伸びるが、四季がある日本のバナナはそうはいかない。数株しか育てない小規模栽培の愛好家にとっては、1年のうちに何度も開花を経験する事は日本では稀だ。しかし、長年栽培すると経験と観察眼が鋭くなり、株を見ただけで開花時期が予想できるようになる。経験を積んでも開花が近くなるとやはり何時でもわくわくするものだ。

一時期、日本の園芸情報によると、バナナは葉が40枚くらいでると結実するような事が言われていたが、それは熱帯地域の話であって四季がある日本のバナナには当てはまらない(#12 デグレードとの闘いを参照)。
それでは開花前にどのような傾向がバナナにみられるのか見てみよう。

開花の兆候は、おおよそバナナの品種が違っても共通しているため、一般化して話をすることができる。しかし以下に述べる事は通常の「栄養成長期」と「生殖成長期」の相対的な比較になるため、現場の株を観察して該当する変化が見つかったとしても、どのくらい変化すると開花するかは育成現場の環境に左右されるので、開花を体験してから初めて、その育成環境での傾向度合いが分かり、予想が出来る様になるのである。

■その1 葉柄間隔が詰まってくる

植物自体の体を作る時期である「栄養成長期」は、以下の写真の様に葉柄の間隔が広いが、生殖成長期にはこの間隔がどんどん狭くなってくる。

       【栄養成長期のバナナ。葉柄の間隔が広い】

    【生殖成長期のバナナ。葉柄の間隔がとても狭くなっている】

通常の背丈が大きくなる種であると違いが分かりやすいのだが、矮性や超矮性バナナは背が低いので、見分けがつきずらいかもしれない。

■その2 止め前葉、止め葉が出てくる

バナナは開花する前に、葉身の長さが急に短くなる現象が観察される。実は上記写真をご覧いただくと、過去の葉の長さ(葉身長)と比べて一番先端の新しい葉は周辺と比べて短い葉が出ている。バナナは開花する前になると急激に葉身(葉柄部分を除く、葉自体の長さ)が短くなる。

※縦軸の単位(cm)、横軸は時間

「その1」の現象が観察されてから数か月後や、秋に「その1」が観察された後に越冬に入り、春に新葉が出てからこの様な現象が現れる事がある。

            【止め葉がでた、バナナ】

■その3 葉柄などが赤っぽくなる

「その1」の現象が起きて、止め葉が出る前に葉柄などが通常よりも赤っぽくなる事がある。


バナナの開花は、たくさんの花が集まった花包という構造をしており、花の色や形が種によって多少違っている。

花には甘い蜜が出来、アリなどがはるばる地上からやってくる。上記写真のあと、実がだんだん太ってきて、売っているような実になるのである。



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