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【週末投稿】四季がある日本のバナナ #23(無肥料の利点、欠点)

こ多くの経済栽培をしている南国のバナナ栽培は、農薬、化学肥料などを沢山使い、病虫害を抑えて大量に生産されている所が多い。しかし一部では、有機肥料の利用やミミズによる残渣リサイクルを使い、出来るだけ化学肥料を使わずに「プレミアバナナ」として出荷している所がある。この有機肥料バナナは、海外で主に日本人が育成指導をしていたり、経営している所がありうれしい限りである。

さて、四季がある日本のバナナでは農薬、肥料問題はどうなるのであろうか。今回は肥料問題について考えてみる。

国内の農作物でも無農薬で生産したものが売られている。一般的には通常のものと比べて価格が高い事が多く、消費者のお財布を考えると日常的に購入できる人は多くない為、売り場面積も残念ながら小さい状況だ。

これはご承知の通り、「無肥料」とは外から肥料を持ち込まない栽培方法を示している。生産者側から見ると、化学肥料を使う時よりも成長速度は遅くなるし、収穫時の大きさも違う場合がある。しかし、無肥料栽培はその土地の「地力(本来持っているその土地の力)」を使った農法なのであり、土の中でしっかりと微生物が働いて自然の生態系が循環する状態、つまり森の循環と同じような状態を作る事で、作物を育ている考え方だ。

逆に考えると、無肥料栽培で出来上がった野菜たちの色合い、容姿、味が本来のあるべき姿(自然な姿)であり、化学肥料や有機肥料など外から投入したもので育った野菜は、過剰に太った野菜であるとみる事ができる。栄養面でみても、近代農業で生産される野菜のビタミンやその他の有用成分は昔に比べて薄くなっているという報告を聞くこともある。

どんな土地でも無肥料栽培が栄養や滋養の面で良い野菜類が収穫できるかというと違うのである。先ほども申し上げたとおり「地力」のある土地でないと、十分に育たなかったり、病虫害が過度に発生する事がある。地力を付ける方法はここでは割愛するが、化学肥料を使っていた土地を地力のある土地に戻すには、それなりの年月が必要だ。

さて日本でバナナを育成する場合も同じ考え方が出来る。
ものの本には、「バナナは水と肥料が大好き」という書き方を良く目にする。確かに有機肥料や化学肥料を投入すると投入しない場合に比べてぐんぐんと成長する勢いが違ってくる。実を収穫しておいしく食べたい方にとっては、上記で述べた様に無肥料では収穫量が多少落ちる可能性があるのだが、他の生産者の言葉を借りれば、無農薬のバナナのほうがおいしいとの事だ。私は無肥料無農薬にて、関東で無保護露地栽培したバナナを収穫して食べているのだが、同じ場所、条件で化学肥料を投入して収穫した事がないので比較出来ていないのが残念だ。

しかしだ、経済栽培地域の様な南国ではない「四季のある日本」では、バナナの成長が絶好調環境である25度を超える期間は短く、温室等環境を構築しない限りフィリピンやエクアドルのようにはいかない。限られた期間で育成するため、関東では収穫までに3年もかかってしまう現実がある。少しでも早く成長させて開花に結び付けたい事を考えると、無肥料よりは肥料を投入して少しでも成長を加速させたい事も十分にうなづける。

あとは、無農薬栽培にするのか、肥料投入して育成速度を速めるのか、よりおいしいバナナを追求するのかは、メリット、デメリットを考えて進めるのが良いと思っており価値観の問題になってくるのと思っている。今後の章で話したいと思うが、バナナ育成方法には複数株構成で通年管理してゆく方法が一般的である。これだと結実に2~3年かかる場合でも、親株、子株、孫株みたいに育成させれば、毎年の収穫も可能になってくる。

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