【掌編小説】羽二重餅がでてくる物語 第2章


私は、羽生桜子。29歳。独身。
イベント会社に勤務している。

まぁバリバリのキャリアウーマンって
訳じゃないけど仕事ではある程度のキャリアを
積み上司や同僚との関係も良好。
勿論、後輩からは慕われて年収もソコソコ。

プライベートは、残念ながら独り身。
だけど独りも悪いもんじゃない。
好きな時に好きなものを食べたり飲んだり。
年に3回は旅行(そのうち1回は海外へ)
なんて事も。

そんな私も今年で30歳。

仲のいい友人達は次々に結婚、出産。
ましてや、後輩までも・・。

恋愛や結婚なんて時がくれば巡ってくると
思ってる。

実際、私自身が貪欲なだけだ。

正直今の現状には満足しているが、
私にも白馬に乗った王子様が現れて欲しい。
って本心は思ってる。

だから、訂正する。

本当は恋愛に臆病なだけでただ避けてたんだ。

いつからだろう?

恋愛に臆病になったのは・・

そうだ!
確か小学生の時に初恋の男の子に
言われたひとことだった。

私は、父、母、私、弟の4人家族だ。
親族の中で唯一の女の子だった私は
家族や親戚から可愛がられていた。

そんな環境で育ってきた私だったが
成長すると共にだんだんと父に似てきたのだ。
私の父は一重で少し【ボーっ】とした顔だ。

それに引き換え、弟の鈴之助は母に似て
クッキリ二重で世間で言うイケメンだ。

羨ましいったらありゃしない。

なぜ私は父に似たのか?とずっと悔やんでいた。


そして、初恋の男の子に言われた。

「ボーっとした、お目目の一重子ちゃん」
「ハッハッハー」

ショックだった。

今となれば、子供のたわいもないチョッカイって
ことくらいわかる。

でも、

私が自分の目を気にするようになったのは
ここからだ。


スマホが鳴った。
「やっほー!来月同窓会あるんだって
         桜子もくるでしょ!?」
「オガシロくんも来るらしいよ!」

友人から小学校の同窓会の誘いだった。

「オガシロくんか・・」

そう
オガシロくんが私の初恋の人だ。

正直断わろと思ったけど・・・
私は決心した。

見返してやろうと。

よく聞く話で同窓会では当時イケメンだった子は
変わってイケメンでは無いと言うじゃないかっ

店舗のガラスにうつる自分を見た。

今の私ならそこそこイケる!

「変わりはてたオガシロに
      あの日の仕返しをしてやろう」


後輩が言った。
「先輩っ、何してるんですか・・?
        中の人、驚いてますよ・・」

「あっ!なんでもない。ほら行くよ」

「待ってろよ〜オガシロ!びっくりさせてやる」

「先輩っ、オガシロって?」


それから

私は当日に着ていく服、靴、鞄を買い
エステへ行き、美容室で髪を・・・
サロンでネイルを施した。

「我ながら完璧だっ!
       これで当日は私の勝ちだ!」

すれ違うメンズは振り返って私をみる。


その夜

お風呂上がりに鏡にうつる自分をみた。

「やっぱり、ノーメイクだと一重だな。。」
「メイクでは何とかなるけど・・」

「気にするな!桜子!あんたは可愛い!」

パンパン

っと頬を叩き自分に言い聞かせた。

そんな時だった。

TVから聞こえてきた。

それは、それは

私の未来を大きく変えるそんなCMだった。


次の日、私は迷いもなく行動に移した。

そう二重にしようと決心したのだ。

先生に話した。
今までのこと、そしてこれからのことを

すこしドキドキはしたが今の時代結構みんな
やってるようだ。

私は書類にサインして新しい扉を開けた。

すぐに終わった。

数日は目が腫れたがその間は有休をとり
自宅で安静にしていた。


腫れはおさまった。

パッチリ二重の私が鏡にうつる。

びっくりするくらい美人だ。

もし母に似ていたら・・なんて

母の若い時にそっくりだ。

「昨日までの私、ありがとう。
 あなたが居たから私は明日へ進めたの」

こうして私は臆病から抜け出す決心をした。

そんな時だった。

スマホが鳴った。

弟からだった。

「鈴之助、どうかした?」

「ねぇちゃん、ねぇ・・」

「ちょっと電波悪いけど」

「とーさんが、、、」

「えっ?お父さんが何?電波悪い」

「階段から、、、おち、、て、、」

「駅前のびょ、、う、、い、、んに」

電話が切れた。

「えっ!?もしもし?鈴之助?」

かけ直したが、

「電源が入ってないためかかりません」

私は何も用意せず、そのまま病院へ向かった。


私は走った。

「お父さん」

「私が二重にしたからだ。。きっと」

「大好きなお父さん。。」

「神様。。お願いします。」

「お父さんを助けて」


病院へ到着し病室へ行くと

「はっはー、かぁさん、俺も歳だな」

「もうお父さんたら」

「歳だじゃないよ!!」

「おっ、桜子」

私はその光景を見て泣いてしまった。

「も〜心配したんだから」
「鈴之助からの電話切れるし、繋がらないし」

「そうか、それは心配かけたな」
「まだお前の花嫁姿みるまでは生きないと」
「ほれ、顔上げなさい」

「お父さ〜ん」
私は顔を上げた。

その顔を見たお父さんは笑顔でこう言った
「かぁさんにほんとそっくりだ」

私の勘違いだったようで幸いにも父は骨折で
すんだ。

「で、鈴之助は?」

「売店で飲み物買いに行ってるよ」

「鈴之助の電波のせいで私は、、
         ちょっと行ってくる」

すると鈴之助が戻ってきた。
「お茶でいいかな?」
「あっ、ねぇ〜ちゃん」

「ねぇ〜ちゃんじゃないよ!
 あんたのせいで私はすっぴんでこんな格好で」

「わりぃ!わりぃ」
すると鈴之助は持っていた飲み物を落として

「はぁ!!!二重になってる!?」

と驚いていた。

私は鈴之助の口を押さえて
「シーっ」

するとお母さんが
「あら、ほんと仲がいい姉弟なこと」

「おい、お前たちここ病院だぞ」
とお父さんが言った。

お母さんは笑いながら
「お父さんも無事だし、久しぶりに桜子にも
会えたし、少しお茶にしましょ」

「はい、羽二重餅。みんな好きでしょ」

私が二重になっている事に両親は気づいて
いるのか?いないのか?わからないけど

一重でも二重でも

私は、お父さん、お母さん

2人にそっくりだ。

                おわり


あとがき

音声配信アプリ【スタンドエフエム】での企画
最近、アプリを覗くと再び配信されているのを
見た。
ネタ切れの私にとっては有難い事だ。

結論から言う。
【羽二重餅】と【はっ!二重?】を掛け合わせた
だけの話しだ。

第1章では
【羽二重餅】を【ハーフタイムまで持つか?】で
表現した。

それから・・・

見事にバスケがブレイクした。

それがコチラ↓


どうやら先見の明はあるようだ。

話を戻す。
この話は、人は誰しもがコンプレックスをもつ
その中にはとても深刻なものもあれば、
意外にもそうでなかったりするものもあると
私は思う。

今回は、一重、二重のこと。

桜子は一重をコンプレックスにもち、
プチ整形した。
だがしかし、
弟の鈴之助は気付いたが、両親はそれに気付いたのでしょうか?

もしかすると
気づいてはいたけど心に秘めたのかもしれません

私なら?あなたならどうですか?

我が子がプチ整形をした時、果たして気付くの
でしょうか?
語弊はあるかもしれないが、今の時代、整形も
髪を染めたり、パーマかけたりと同じなのかも
しれません。

だってあなた自身には変わりないから。

「見ているようで見ていない。
       見えてるようで見えてない。」

それがわかっているから、
見られたいし見たいんだと思う。

私は、肯定も否定もしません。
それで、その人が幸せになれるなら

それも一つの方法だと思うから。

最後に
「このまま終わろとして同窓会は?」
って気付いた方!見てるねぇ〜。

そして、しろさん
漫画の原作者として私にオファーを待ち望んで
おります。

        おやつちんみのユウのほう

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