全裸監督 第15章 要約

第15章 8000万円(村西とおるの眼球毛細血管が破裂して血の涙を流して借りた金)

負債50億ながら自己破産を拒絶する不思議な男。銀行は貸した金が不良債権化すれば税金が掛からないためしつこく自己破産を勧めてきたが、村西は北大神田書店時代やダイヤモンド映像での成功体験から自己破産を拒否しつづけた。真意は、返済できる自信があったからだが、一文無しの村西とおるのもとを訪れるのは債権者だけ。ついてくるのは乃木真梨子だけという状況。命を担保にした高額の借金を返済する日々のなか、8,000万を借りるために、初対面の京都の金貸し相手に頭を下げた瞬間、目の前が真っ赤になり、分厚いヒノキのテーブルにぽたぽたと血が落ちた。村西のこの凄まじいストレスに何かを感じた金貸しはすんなり8,000万円を貸してくれた。人たらしの本領というべきか、情熱が人を動かす逸話である。

『ビデオ安売王』は1993年に佐藤太治という男がセルビデオ販売をメインに全国展開したフランチャイズ。そして、セルビデオを大量に制作するために、テレビの演出家/テリー伊藤を総合プロデューサーに迎え次々と斬新な企画で作品を出す。伊藤の元部下だった高橋雅也(のちのソフト・オン・デマンドの高橋がなり)もプロデューサーとして関る。時代は、レンタルビデオからセルビデオが主流になる変革期でもあったが、安売王の快進撃も長くは続かず、あえなく倒産。村西とおるも監督として招聘されて何本か制作したが、その報酬は全て借金返済にまわされた。

村西とおるが社金返済の過酷な取り立てに最も苦しんでいた時期は、1994年から96年にかけてだった。金を借りていた人との様々なエピソードが延々と続いて、最後は100円ショップのダイソー/矢野社長とのエピソード。全国3000店舗で村西作品のCD(当時はまだDVDが無かった?)を100円で販売したいという依頼。その数240万枚を前金(1億数千万)で発注したという。村西作品は今でもダイソーで売っているのだろうか。


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