今週のキングダムPART59第699話「首級の数」

 気付けば、次号でキングダム700話、更にコミックス第63巻も発売と色々な大台に突入する手前の今週ですが、そんなキングダムは前夜祭のようなめでたい内容と解離するような過酷な内容なので、どうか、御覚悟を。詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。前回のあらすじはこちらをどうぞ。

対極的な正義

 前回は摩論の演説により、何とか、乗り切ったかに思えた桓騎軍の面々に嬴政が喰らいつく。しかし、そんな反撃を許さない桓騎様は、逆に噛みついてきます。

 一番殺しているのは、お前だと秦王と喰らいつく桓騎様。そんな桓騎様の言葉に反応する黒桜は汚い罵声を浴びせますが、嬴政は黙れとそれを静止して、その言葉を子供じみた屁理屈と言い返します。しかし、桓騎様は折れず、今回の闘いは長い目で見た虐殺の一部であり、それに比べたら、自分自身は大したことは無いと発しますが、嬴政はその言葉は覚悟の上だと語ります。全ての責任は自分にあり、大虐殺による憎しみは第二の白起を生み出しかねない危険な行為と断罪します

 そんな虐殺の憎しみを肌で感じていた嬴政は、そんなことをして、列国と一つになるには、このような悪業はそれを想起させ、それを無に帰す行為と発した瞬間、桓騎様は本気で言ってるのか?と煽り始めます。そうだとキラキラした顔で、返す嬴政。

 しかし、それまで、闘っていた趙の人間と仲良くなれんのかと桓騎様は黒桜に問いますが、それは無理であり、雷土を殺したヤツ含め、趙の人間皆殺しだと発します。哀れみの眼で彼女らを見守る摩論や静観している倫玉を後目に桓騎様は嬴政達に現実を突き付けます。人はそうならない

 お前は、人に期待しすぎだ、秦王よ

 その言葉の背景にあるものや、彼の人生観含め、何がどうやって、このような言葉を生んだかは、不明ですが、この表情を発した桓騎様は完全に悪党、完全に嬴政達の敵として、君臨する最悪の敵に等しい程、凶悪な表情と化しており、完全に二人は何処まで行っても、分かり合えない存在と決定づける場面となりました。

 そんな中でも、嬴政はブレずに、ああ、その通りだ。それの何処が悪い?と真っ向から反論。こんな苦難の道しか、選ばなければならない列国の王であり、お前のように絶望はと言った刹那、彼の表情に言葉を濁らせる嬴政。もしかすると彼の本質をここで見抜いたのでは、無いでしょうか?それは多分、今後、明らかになると思いますが、はてさて、桓騎様の真意や如何に?

 そして、桓騎様は結局、首を斬首されることも無くなります。もしも、理由も無く、殺していたら、首を刎ねる予定でしたが、理由は摩論の弁舌と扈輒を討ち取った昌平君からの評価があってという理由からでした。その中でも、桓騎様は六将を返上してもいいぞとまたしても、煽ってきますが、嬴政はそのままでいいと言われ、もしも、次やったら、承知しないと釘を刺し、その場を後にします。その場の桓騎軍幹部たちはそっと、肩を撫で下ろしますが、桓騎様だけは表情一つ変えず。

 久々の再会

 元々、秦には、戦場で取った首級の数を褒章に返るシステムがあったらしく、データとしても、詳細にその数字が記載されていたそうです。しかし、桓騎様の今回の一件を受け、その記載がなくなってしまったそうです。

 そんな首級を観て、一人項垂れる嬴政。如何な大王様と言えど、桓騎様のあの完成された信念の前に、誰もが、一つになれると思ってないことを決定づける場面だったと思うと七国を一つにまとめることの難しさを改めて、感じたんだと思います。その上、生々しく置かれている頭蓋骨の数々を観て、何も感じない人はいませんよね。それは嬴政も例に漏れず、この一大事を重く受け止めている証明とも、言えるでしょう。

 そんな中、久しぶりに現れた李信。久々の再会となった二人の戦友は、何を語るのでしょうか?これが、少しでも、この救いのない今回の章の良い区切りになって貰えると嬉しいのだけど

 そして、次回はいよいよ、連載700回。お楽しみに。

まとめ

 今回は改めて、嬴政のやってること、桓騎様のやってること、その二つの相反する正義の名のもと、対立し、分かり合うことが出来ないこと、同じ国の人間同士が次の日から、仲良くするなんて、絶対に出来ないと言う話含め、これは80巻じゃ、絶対終わらないなと思う程、根が深く、深刻な問題であり、まとめることの難しさを再認識した回となりました。

 今回の注目すべき点は、桓騎様の周りの面々の表情です。皆、桓騎と言う悪のカリスマについていくと決めた者達の細々とした表情から、分かるように、誰もが、嬴政の青臭い正論についていけないということ、バカバカしい話しという認識なんだと分かるような回でした。昌文君も突っ込みますが、これだけ、観ていると本当に人と人とが、理解し、尊重し、分かり合うということの難しさを改めて、感じました。彼らは盗賊というのも、あるんでしょうけど、その認識は間違ってないし、寧ろ、正論なんですよね。

 我々は嬴政の考えが正しいと思うが、余り、桓騎様を悪党のように、扱っていますが、彼の言ってることは正しく、ましてやこの戦乱が五百年続いた世界で、一つにまとめようと認識自体がおかしく、そちらの方が間違ってると思われても、仕方ないんでしょうけど。だからと言って、虐殺を肯定するわけではなく、詰まる所の価値観の違いというヤツでしょうな。

 今の世の中だって、一つになろうとしているのに、格差や貧困、偏見や差別と言った価値観のすれ違いによる分断はより激しくなり、今は国の体裁を何とか、整えてはいますが、一寸先は闇。何が起きても、おかしくないのかもしれません。ずっと、続く安全は無いし、人々の繋がりがどんどん、希薄となり、繋がることも避けられている昨今。価値観は色々あってこその平等な社会であり、違う思想を持つことを頭ごなしにどうしても、批判するのが、人間であり、正しさを追求する余り、何が正解か、不正解かが、益々、分かり辛く、生き難い世の中なのかもしれません。

 そんな今回の回に正解はありません。何故なら、どちらも、正しいと信じているから。虐殺をすることで、手に入れた正義と虐殺をしなくても、勝利することは出来たと言う正義。どちらも、正しくて、どちらも間違っている。絶対的な正義は無いかもしれないからこそ、嬴政のやろうとしていることの大変さを分かったつもりで、いましたが、実際の所は理解がまだまだ足りなかったということに尽きるんでしょうね。

 何より、桓騎様の言葉は呂不韋と通ずる所があるというか、人を信じることの恐ろしさを知っているからこその言葉とも、思えた今回の展開を観て、そろそろ、桓騎様が観て来た底なしの地獄という物が如何なものだったかを知りたいような、知りたくないような?ともあれ、今後の桓騎様の抱える闇が気になって仕方ないですよね。うーーーむ。

 後は、摩論さん、乙です。ほぼ、嘘で塗り固められた作り話で何とか、桓騎軍の命を救ったのは、紛れもなく、彼に他ならないですよね。彼には論功行賞第一等を与えても、いい位だと思います。それと今回はずっと、黙ってた倫玉の本心も知りたいですね。彼の意見も、桓騎様と同じと思いますけど、今週は彼のことが気になって、仕方なかったですね。本当に気になることが多すぎて、頭がパンクしそうです。

 黒桜さんの言葉通り、憎しみは憎しみで返すしかないという発想だからこそ、この戦争は終わらない=何をしてもいいという倫理の箍が外れた発想になるのは、無理からぬこと。果たして、嬴政はこんな彼ら含め、憎しみや怒りを乗り越え、中華を統一できるんでしょうか?出来ると分かっていても、この無理ゲー感の異常さが、本当に深刻ですわ。

最後に

 そんな次回は、記念すべき七百回記念の巻頭カラーらしいですよ。七百回記念プレゼントもあるらしいので、次回は要チェックでございます。

 最近、僕の思うキングダムについての政治論は如何でしょうか?どちらにせよ、誰かの受け売りであり、ちゃんとした政治信条があるわけではないですが、キングダムは今の時代に大事なことを教えてくれる素敵なバイブルとなっているはずなので、拙い文章ではありますが、最後まで読んで貰えると助かります。

 そんな文章を最後まで、読んでくれた同志はスキと感想コメント、キングダム考察含め、お待ちしてます。

 フォローとキングダム同盟加入お待ちしてます。目指せ、天下大将軍。

 それでは、皆様、御武運を!!!

 

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