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スーパーボウル2019のベストCM

今年もアメリカ最大のスポーツイベントが幕を閉じた。

アメリカのマーケターとっては、最大の広告イベントでもあり、そのCM枠は日本の東京キー局の通常のものの数千倍(30秒あたり4億円~6億円)というもはやよくわからないお金が動く一大イベントだ。

それが今年は試合前からの人種問題の議論や、実際の試合の「おもしろくない」結果など、ネガティブな話題ばかりで、視聴率もここ10年で最低と言われた。

とはいえ、1億人以上がテレビ画面の前に集まった巨大イベントだったことに変わりはなく、今年も界隈ではどれがベスト・ワーストCMだったかという話題で盛り上がった。

アメリカでマーケティングの情報を集める私のところにも、それについてのメルマガなどがいくつも届いた。せっかくなので旬なうちに、総合して評価の高かったものに私の視点も混ぜ、ベスト3をサクッとご紹介したい。
(英語が得意でなくても比較的分かりやすいと思う。)

1.バドワイザー 「風がこんなに気持ちよかったなんて」

多くのメルマガ&記事でベストに選ばれていたこちらのCM。
ワンちゃん×ボブディランなんて、ずるい!(間違いないでしょ!)😠って感じだが、動画のクオリティ&シンプルな1つのコピーの秀逸さだけで魅せるその心意気は、さすがバドワイザー(バドはCMが上手いことで有名)。

「環境のために風力発電を使い始めました」という少しお堅いメッセージをこう見せるのも、うんやっぱりお見事!👏

2. ペプシコーラ 「OKなんてもんじゃない」

実はこのCM、ワースト票の方が多かったのだが。。
でも実際のところワーストアワードはジョーク系がどうしても選ばれがちなので、実際は注目されたという意味で一定評価されているとも取れる。
このCMが秀逸なのは、アメリカ人なら誰でもわかる「あるある」を自虐的に使ってるところ。

コカ・コーラとペプシコーラ。どちらが好きという人もいれば、どちらでも構わないという人も多い。でも、レストランなどで「お飲み物は?」と聞かれると、代名詞として"Coke"という人がほとんど。ただペプシしか扱っていないお店も意外に多く、その時の答えは決まって"Is Pepsi OK? (ペプシでもOK?)"なのだ。

それに対して、「ペプシでもOKだと!?OKなんてもんじゃないっ!」といきなりおじさん(失礼。俳優のスティーブカレル)が出てくるのにびっくりするが、そうやって自虐的なあるあるで笑わせてくれるのはさすがペプシ。(自虐ネタは十八番です。) なんとなく次は"Pepsi please"って言いたくなってしまうのは私だけではないはず。

3.Kia 「アド・メーター2019」すべての無名な偉大な人たちへ


最後に取り上げるのは韓国の自動車メーカーKiaのCM。日本ではあまり見かけないが、アメリカではホンダについで7位のシェアを誇るおなじみのブランドだ。コスパがウリな側面がある一方で、実は企業としての考えが先進的だという受け止められ方も広くあり、けっこう注目しているマーケターも多い。

アメリカ中が注目する煌びやかなスーパーボウルの試合が行われる陰で、世の中には(逆に)無名だけど素晴らしい人たちがたくさんいる。そんなストーリーをひとりの男の子が語っている。

正直個人的にはあまり心が動かされなかったが、こちらでの評判はある程度よかったことを考えると、アメリカ人の心を一定掴んだといえる。
「それでもあなたは美しい」「誰が何と言おうとあなたは素晴らしい」というのは昔からアメリカの歌詞のテッパンだが、やはりスーパースターに憧れる一方で自分たちのことも認めて欲しいというのは、人間の真理なのだろう。
そういえばスターバックスもとてもメッセージ性の近いドラマを放映して好評だ。(スタバがドラマ?と思うかもしれないが、アメリカでは全く関係ない業種がメディア顔負けのコンテンツをよく作っている。)
「ごく普通の人たち」が、社会の課題に立ち向かうというストーリー。
社会の分断がさらに広がる中で、スーパーヒーローとは違ったヒーロー像が求められてきているのかもしれない。


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