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医師が答える 「頭のゆがみQ&A」

こんにちは。

0歳からの頭のかたちクリニック大阪院 副院長の井本です。

今回は、皆様からよく寄せられる「頭のゆがみ」に関する質問について
Q&A方式でお答えしていきます。

①自然に治せる頭のゆがみはありますか?

頭のゆがみは、自然に治ることはないとされています。

しかし、日本では頭のゆがみについて気にする人が少ないことや、かかりつけ医に相談してもゆがみを評価するシステムがなかったことにより、今でも「自然に治る」「様子を見ていても問題ない」と考える方が多いのではないでしょうか。

たしかに、軽度の頭のゆがみの場合、抱っこの向きや寝る向きを変える、腹這い遊びを取り入れるなどの生活上の工夫と、赤ちゃんの成長によって、徐々に気にならなくなるケースもみられます。そのような場合に、「ゆがみが自然に治った」と捉えられることがあるのかもしれません。

しかし、基本的には自然に治るものではありません。少しでも気になることがあれば私たちにご相談いただければと思います。


②頭のゆがみを放っておくとどうなりますか?

正確な頻度はわかっていませんが、国内外の論文で、頭のゆがみと運動・神経発達の遅れの関連が報告されています。

また、後頭部のゆがみが顔面に併発する場合には、耳介の偏位や顎のゆがみから歯並び、口腔内環境にも影響を及ぼし、さらに成長とともに首から下の体幹へのリスクが拡大する可能性も危惧されます。

軽度のゆがみであれば様子を見ていてもよいのですが、成長につれて気にならなくなることはあっても、基本的に自然に治ることなく、さらに悪化するおそれもあります。

まずは現在のゆがみ具合を正確に評価することが重要ですので、お子様の頭の形が気になる場合には、専門の医療機関の受診をおすすめします。


③向き癖をつけないためにできることはありますか?

向き癖を定義するのは非常に難しいのですが、主に以下の3つが挙げられます。

(1)母胎内での環境が一因とされる生まれ持っての寝癖

(2)出生時に生じた後頭部のゆがみから進行するもの

(3)出生後の育児環境により生じ進行するもの

この中でも、(3)の育児環境で生じる向き癖は、ある程度は対策できると考えられます。

まずは赤ちゃんの抱っこの方法を工夫してみてはいかがでしょうか。

抱っこの方法としては、縦抱き・横抱きがあります。特に横抱きの場合、無意識に利き腕の方向で抱っこしている方が多いですが、なるべく左右交互に抱っこしてあげる、もしくは縦抱き(コアラ抱っこ)をすることで改善につながると思います。

そして次にとても重要なのはタミータイム(腹ばい遊び)の導入です。

タミータイムは、赤ちゃんが起きている時に保護者などがみている環境下で赤ちゃんを腹ばいにして過ごす時間のことです。腹ばい、うつ伏せと言えば、日本では 乳幼児突然死症候群の危険因子としてタブー視されほぼ放置された状態ですが、タミータイムを一定時間実施することによって後頭部の歪みや扁平化を予防するだけではなく、体幹が鍛えられることで運動発達を促進するメリットがあることが分かっています。

米国小児科学会では分娩直後のカンガルーケアと共にタミータイムの退院早期からの導入を推奨しています。

後天的な向き癖を作らないためには、やはり出生直後から頭のゆがみを作らないようお子様の頭の形に気を配ることが大切です。手触りや見た目では判断が難しいので、無料で利用できる「赤ちゃんの頭のかたち測定」というスマートフォンアプリを使ってみるのもおすすめです。


④ヘルメット治療のメリット・デメリットを教えてください。

ヘルメット治療には、以下のようにさまざまなメリットがあります。

・ヘルメットを装着すると、これまでと同じ姿勢(向き癖のある状態)で寝ても、ヘルメットが、地面から直接受けていた圧力を分散し、弱めてくれます。その結果、頭の変形の悪化を防ぐことができます。

・外から受ける圧力から解放され内からの自然の成長圧を利用するので、脳の成長を妨げることなく頭の形を矯正することができます。

・向き癖を意識しなくてもよいので、育児の負担が軽減します。

・正しい方法で一定時間以上の装着ができれば、ゆがみの悪化が防止され、想定内の範囲で矯正効果が期待できます。

一方デメリットとしては、低頻度で生じるクッションの皮膚への刺激による発赤や軽度炎症生皮膚炎などの副反応が考えられます。

また、ヘルメット治療は保険適用ではないため、治療費が高額となってしまいます。より多くの患者様に治療を届けるためにも、今後はヘルメット治療の保険適用の実現が望まれます。

赤ちゃんの頭のかたち無料相談会

当院では少しでも患者様、保護者様の不安な気持ちに寄り添いたいと考え、無料相談会を開催しています。ホームページにて、開催スケジュールをお知らせしておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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医師 井本 広済

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