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羽犬(HAINU)

俺は埼玉県川越市で産まれた。ここは文字通り、入間川という太めの河川を越えないと入れない場所にある。河越城の城下町で、河越が転じて川越になった。

10代になって東京都板橋区へ引っ越した。ここは文字通り、板橋という橋の周辺にある町で、この橋は源平盛衰記にも出てくるほど歴史が古い。

いま住んでいる福岡県には羽犬塚(はいぬづか)という街があって、ここは文字通り、羽の生えた犬の墓の周りにできた街だ。

感想を言っていいなら
「え?」である。

「え?」っていうか、「は?」ですらある。

いや、羽犬って何だよ……と思う隙もなく、その街には羽犬の銅像がいくつもたっていて、それもかなり、黒光りしていらっしゃる。像を見る限り、羽犬というのは中型の和犬にデカい羽が生えた生物あるいは妖怪か精霊のようなものだ。

羽+犬で羽犬(はいぬ)っていうネーミング技法は羽虫や羽蟻でしか聞いたことがなくて、犬への扱いのカルチャーショックで貧血になりそうだ。レバニラを食べよう。

俺はちくしょう達にてんで興味がないが、和犬は好きだ。
中型の和犬の魅力は、大地を全身でわし掴みするようなその姿勢、つまり地球との向き合い方であり、生き様そのものである。

柴犬をはじめとした中型の和犬たちは、いまや世界中で愛されており、柴ドリルなどと検索した日には心を奪われ、並の人間なら無限の螺旋に取り込まれて死ぬ。

羽犬はその力強さに加えて、羽まで生えちゃっている。見れば見るほど見事。あっぱれなほどの前傾姿勢。

大地を掴んだまま飛んでしまうんじゃないかという、期待にも似たおそれ。この気持ちは畏敬だ。
英語で言えばれすぺくと(respect)だが、ふあいす(faith)にも近い。

自分は、まだまだこんなに真剣に生きられていない気がしてきた。羽犬の足元にも、いや手羽元にも及ばない。またいちからやり直しだ。

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わたしはあのとき助けて頂いたヤマコンです。このご恩は一生忘れません。

ありがてえよ
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