見出し画像

沖縄はスーパーマリオサンシャインだった③

シュノーケリングが終わり、少し休んで散歩に向かった。

少し遠くに灯台らしきものが見えたので、そこを目指すことにした。隣のホテルを通って石の道を歩いた。日差しが強すぎてへばったので、日陰に頼りながら少しずつ進む。

「さっきまであそこで潜ってたのか」と思いながら遠く海を眺める。リゾート地として開発されている沖縄の姿を見ていたそのとき、「沖縄ってスーパーマリオサンシャインみてえだな…」と思いが至った。

知らない人のために説明すると、スーパーマリオサンシャインとは2002年に発売されたゲームキューブのソフトで、難易度が死ぬほど高いが傑作として知られている。太陽の光を取り戻すべく、ステージのミッションをクリアしながら「シャイン」という金ぴかの太陽のアイテム(?)を集めるゲームだ。
で、その中に出てくるドルピックタウンという町の雰囲気が沖縄のそれなのである。
青く広がる海、照り付ける太陽、金色に光る砂浜、そして少し遠くにある灯台…あの世界でマリオが歩いたのと同じような姿をしているのだ。

まあわからない人にはわからないだろうが、とにもかくにもリゾートとして開発された沖縄はスーパーマリオサンシャインである。「美しい」よりも郷愁のようなものが去来したのである。

散歩を終えたら明日の旅程のおさらいだ。あすには恩納村を出て南にある南城市に出ることになる。南城市の宿は僻地にあるため、気の利いたショップが少ないらしい。事前に何かを買ってから行ったほうがいいだろうということで、宿をゴールに設定して動き出すことにした。

翌朝、バスを乗り継いで南城市にある奥武島(おうじま)というところについた。なんでもここは天ぷらが有名らしい。奥武島の入り口にある飲食店で涼をとりながら天ぷらを食べた。全体的にうまいのだが、とりわけ謎の芋の天ぷらがあったのだがこれがうまかった。宿に持って帰るために芋のやつを含め、天ぷらをいくつか持ち帰ることにした。

そもそも論ではあるのだが、沖縄は歩いて旅行をするのに向いていない。レンタカーを使わないと旅行が極めて不便である。
私は運転免許を持っているのだが運転がすこぶる下手(側面をよく擦る)、奥さんは免許なしということで、残念ながらレンタカーを借りるということにはならない。新婚旅行に交通事故で死ぬというのはどうしようもないので歩くか電車かバスということになる。

この奥武島もその例に漏れない。バスの時間を確認してから動かないと詰むのである。重たいトランクを引きながら必死に歩き、さらに進むと(多分30分くらい歩いた)、この界隈では唯一といってもいいスーパーマーケットに出くわした。「Aコープ 玉城店」である。

あのときほどスーパーマーケットがありがたいと思ったことはない。東京であればスーパーもコンビニもどこにでもあるから無自覚に「どこにでもあるだろう」と思ってしまいがちなのだが、これは都会のなせる業なのである。「将来は田舎に…」と言っている人をよく見るけれども、実は都市のほうがただ生きるにあたってはよほど楽なのだ。ぼんやりしたイメージだけで田舎にあこがれるのは結構危ないなあと感じた一日であった。(つづく)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?