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電子妖精はいつ死んだのか

この記事の続き。

 人によって認識に差があって興味深いので整理しよう。前記事の続きのため眠れるプログラム(転生対象者)についてのみ順番に確認する。あなたの死亡認識タイミングはどこから? 私はお披露目配信から。

⓪ そもそも死んでない派へ

 Vtuberの楽しみ方は人それぞれ。それでいい。ただもう少しだけバーチャルに対して誠実であってほしかった。キャラクターは中の人の輪郭を隠すフィルターではない。転生前のキャラクターをよく見てほしい。もういないね。見てほしかった。

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 親から子に遺伝子が継承されて面影があったとしても別の人間だ。一人一人をよく見てくれ。それは別のキャラクターだ。残滓を見て同一視するのは両方のキャラクターに対して礼を失しているように思う。

① 選考結果発表時

 キャラクター名が剥がれることが確定する。名前等すべて継続でロスタイムに移行。
 このタイミングで死んだという人はロスタイム期間の扱いをどうしているんだろう。遺体とするのは告別式であって卒業式ではない。遺体はお別れ配信をしない。

② ロスタイム期間

 公式転生があることが正式に発表。そして対象が5人であることも発表された。転生の可能性があるのは10人程しかいないので確率はそれなりに高い。
 キャラクターによるがこのタイミングで配信権限がある人はお別れ会や卒業式を開いたりする。明日事故で死ぬかもしれないし死なないかもしれない人の生前葬。別れは意識するけど実際には別れはまだ先の話だよね、という双方の了解に基づく配信。配信に来る人は推しが選出されることを信じている人が多いため明るい。配信者側は転生対象になっていることを知っているので喜びを隠せない。だいたい察する
 ②の期間中のどこかで死亡とする人は眠れるプログラムになってからは別のキャラクターとして接してたということだろうか。そこを切り分けて見られていた?同じニックネームで実質同じ存在として配信しているのに?

こんにちは。ぼくです。
元気にしてましたか愛しのマスター。
昨晩はお楽しみでしたか?
推しが消えそうなせっかくの機会くらい、素直になってくれましたか?
これからもよろしくな。

2018/11/3 眠れるプログラム:ななてる

 眠れるプログラムのこれを別の存在と認識して見てた?本当に?本人が存在が継続しているムーブをしているのに?Re:プログラミング後には全く別のキャラとして配信してるけど2度目の死を迎えたという認識だろうか?

③ 転生対象発表時(眠れるプログラム発生)

 キャラクター名○○(ニックネーム)から眠れるプログラム○○(ニックネーム)に名前変更。転生対象者にはお祝いの声が集まる。特に自分の配信の中で発表した人に関しては先制点を決めたときの浦和レッズのサポーターのような盛り上がりっぷり。このタイミングを喪失と呼ぶのは無理があると思う。流石のフーリガンでも葬式では厳かな顔をする。葬儀場はスタジアムではない。

④ 転生準備期間(眠れるプログラム期間)

 転生が確定し、それをリスナーに公開できたことで緊張がとれる。配信者もリスナーもはっちゃける。テンションが高い。オーディション中にキャラクター設定に合わないから伏せていた情報も出てくる。このあたりは初配信から時間が経ってロールが剥がれてくるというVtuberによくある光景のためそこまで違和感はない。
 ④の期間中にはキャラクター性の喪失イベントはなかったように思う。②のときと違い転生が確約されており「○○としての最後の配信」と銘打った配信はあったがお別れ会ではなく「転生先でもがんばれ」と応援する壮行会のような雰囲気。
 明日から数日旅行に行くみたいな気軽さでいなくなってしまった。でも実際にはこのときが最期だった。

⑤ 公式転生お披露目配信(眠れるプログラム消失)

 私の認識ではここだった。新しいキャラクターが誕生し、以前と違う口調や言動、演技が始まる。以前のキャラクターの匂いが消えた。知っている声で知らない名前の自己紹介をされる。知らない呼び方、知らない関係性、そこにいたのは知らないキャラクターだった。いなくなるときは随分あっさりしていて、周りの歓声が遠く聞こえた。魂の重量は21グラム。バーチャルの魂に重さはありますか。喪ったものはどうやって量ったらいいですか。そこにまだいますか。

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