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NP#5 12人の怒れる男 東京Aチーム レポ

□注意

・ネタバレが多分に含まれています。観劇予定の方はお気をつけください。
・東拓海のことばっかり話します。
・2019年版観劇済みとして書く部分が出てくるかと思います。どうしても、比べた書き方になってしまうかと思いますが、どちらが良いとか悪いとかそういう結論になっているわけではないです。みんな違ってみんな良い。悪いのは文章力のない私です。すみません。
・金欠というのっぴきならない事情によりBチームを観劇出来てません。

2019年版の感想はこちらです。

□要項


観劇日:7月23日マチネ、7月25日マチネ、7月26日ソワレ、7月27日マチネ
会場:博品館劇場
出演者:東京Aチーム
東拓海、登野城佑真、小林健一、横井翔二郎、吉本孝志、
滝川広大、古谷大和、濱仲太、松田洋治、室龍規、
山川ありそ、尾形大吾、よこのゆたか(敬称略)

□あらすじ

父親殺しの罪に問われた少年の裁判で、
陪審員が評決に達するまで一室で議論する様子を描く。

法廷に提出された証拠や証言は被告人である少年に圧倒的に不利なものであり、
陪審員の大半は少年の有罪を確信していた。

全陪審員一致で有罪になると思われたところ、
ただ一人、陪審員8号だけが少年の無罪を主張する。

彼は他の陪審員たちに、
固定観念に囚われずに証拠の疑わしい点を一つ一つ再検証することを要求する。

陪審員8号の熱意と理路整然とした推理によって、
当初は少年の有罪を信じきっていた陪審員たちの心にも徐々に変化が訪れる。
(公演HPより引用)

□各配役について

1号:東拓海さん

 我らが拓海どん。2019年版大阪に引き続きの1号くんです。なんか去年よりずいぶん大人になったね、1号くんが。感情の出し方とか、表情とか。
 拓海どんはどちらかというと、緩急の”急”を生かしたお芝居をすることが多かったけど、今回はすごく引き算を上手く取り入れてた印象だった。まぁ、突然キレはじめるんですけど。毎度、ギャグみたいな沸点突破の仕方しやがる。
 そして、7号との絡み。ずるくない?おとぎ裁判履修者苦しくてしゃあなくない??今回もよろしくお願いします、大和兄さん。

 比較的1号定点気味で見てるんですけど、いまだに1号くんの意見が変わるきっかけみたいなのがよく分かってないポンコツがここにいます。
 だって、この人事件に関する自分の見解、ほとんど喋ってないんですよ?ほとんどのセリフが場をまとめるためのものなんですよ??向かいのアパートの女性が法廷で鼻をこすってたとこくらいしかなくない??
 「What do you think it!Saaaaaay!?」をお返ししたくて仕方ないトーチはここにいます。

2号:登野城佑真さん

 2018年版、2019年版東京の1号くん。今回は満を持しての2号への配役。可愛いオブ可愛い。2019年版2号くんの山口さんもめっちゃ可愛かったけど、登野城さんも可愛い。ボクちゃん感がすごい。とにかく可愛い。え、登野城さん顔可愛すぎでは??
 そういうことが言いたかったわけではないんですけど、2号くんは休憩時間に飴配ってたりとか空気を和らげてくれる癒しなんですよね…。頑張って仕切ってる1号くんを労ったり、飴ちゃんあげたり、本当に癒される。

 山口さんのサイコ感が凄くて2号くんってサイコ野郎だと思ってたんだけど、あれは山口さんから滲み出たサイコだったんですね。サイコ2号くんも好きでした。

3号:小林健一さん

 ご存じこばーけんさん。演技を拝見するのはマグダラとおとぎ以外では初めてだし、生お芝居は完全に初めましてですね。
 安定のコバケンさん、コメディシーンへの親和性が高い。背格好はさひがしさんとそこまで変わらないと思うんだけど、なんか小さいおじさん感がすごい。高身長の人が多いからそう思うのか、コミカルな身のこなしのせいか。

 出て行った息子への心情の作り方はは2019年版のさひがしさんとは、また少し違うように感じた。もっと弱い男に見えたというか。思い込みで強い言葉を使っているというよりは、弱い自分を隠すための虚勢を張っているような、そんな印象。弱さを知っているか、否か。
 不器用な父親だなぁ、と感じるところは一緒かな。

4号:横井翔二郎さん

 ミスター・ロジカル~エレガントを添えて~。
 いちいち振る舞いが優雅で余裕がある。多少腹の立つことがあっても、努めて表情は崩さず、感情で語気を荒げることも少ない(作中比)。どこぞのトップオブ検察官思い出すわぁ。弄られた時のリアクションがなんか可愛い。

 2019年の2人とはまた違う役作りに初日は割と動揺しました。この4号さん、なんだか気の強い奥さんの尻に敷かれてそうである。
 そんな4号さんが牛耳る終盤の2シーン。やっぱり見応え抜群でした。特に10号の偏見思想への嫌悪感を押し殺した、唸るような「金輪際~」のセリフが本当に痺れる。蔑まれたい。その後、どうしても感情を抑えきれなくてテーブルに当たっちゃうところまで、本当に理性の塊みたいな人だった。

 他の人たちもそうなんだけど、キャストが変わって少しずつ登場人物の解釈が変わっても戯曲として成立しているのは、そもそもの戯曲の精巧さと、演出および役者のバランス感覚のおかげなんだろうな、と。

5号:吉本孝志さん

 昨年に引き続き5号の吉本さん。今回は関西弁じゃなかったですね。髪型のせいか、少し垢抜けた5号くん。(そういう話じゃない)

 吉本さんの演技が変わったからか、私がこの演目を観慣れたからかは分からないんですが、差別的な話の流れになった時や3号に言いがかりつけられた時の反応がより明確になっていたように感じた。投票後の休憩の時とか特に。
 あいかわらず、ナイフの実演がかっこいい。

6号:滝川広大さん

 同じく、昨年に引き続き6号の滝川さん。髪が金髪になって、何か強そう。物理では負けなし感がすごい。3号さんは下手なことしない方がいい。

 個人的に6号さんって難しい役だと思ってるんですよね。見れば見るほど正義漢で、人の話はちゃんと聞くべきだと思っているし、年長者は敬うべき、というかなり”まともな”考えを持っている。さらに、それを他人に諭すことさえできる人。なのに序盤では他の人たち同様に少年は有罪だと思っている。そこに至ったのは、考えることが少し苦手な質だから、だと私は思ってるんですが、どうでしょう。
 この辺の絶妙な心境を演技で魅せられるのは滝川さんの演技力なんだよなぁ。芯の強さとか、考えがまとまりだすと周りの影響を受けなくなっていくところとか。今年はそのあたりの演技がより丁寧に、明確になってた印象。

7号:古谷大和さん

 お世話になってます、古谷大和さんです。モテたいが故に野球好きで、モテたいが故にパーマを掛けたことにされた7号さん。ほんと、1号くんさぁ・・・。

 7号さんって詐欺師臭するじゃないですか、2019年版も含めて。そこは一致してるけど、手口違いそうだなぁって思った。井上さんは情に訴えかけてターゲットの懐に入りそう、大和さんは芝居がかった大法螺吹いてターゲットを泥船に乗せそう。たぶん、井上さんの方がタチが悪い。
 あと、大和さん7号は煽り耐性低め。分かりやすく芝居がかった態度をとる反面、痛いところを突かれると割とすぐ化けの皮が剥がれる感じ。

8号:濱仲太さん

 安定感。昨年もあのセリフ量、説得力にはぶったまげたもんだけど、今年も流石である。あの長台詞内で説明される事件の詳細がちゃんと理解できるのって、凄ない?滑舌的な聞き取りやすさはもちろん、台詞回しでも重要なポイントがしっかり強調されている。もちろん他の登場人物の主張も分かりやすいからこそ成り立っているわけだけども。

 それに加えて、今年は8号自身の焦りだとか、必死さみたいなものを昨年よりもダイレクト感じた。ナイフの柄の模様の件で「見てくれよ!」って敬語崩れたのが新鮮だったというか。他にも何か所か、敬語が外れたりしてたかな。ずっと聖人みたいな人だと思ってたから、認識が改まったシーンだった。

9号:松田洋治さん

 ハッスルおじいちゃん。絶対に去年よりハッスルしてる。4号さんが業を煮やしてブチ切れるほどのハッスルっぷり。

 老人の証言に疑問が生じるシーンでのあの長台詞、得意げな声色から一転、寂しげにしぼんだ声色まで。あの一瞬で、年齢が急に上がって、老け込むような。あぁいうお芝居は、今まで培ってきた経験から滲み出てきているんだろうな。
 あと、カテコになると途端に軽やかに歩き始める松田さん大好きです。去年は客席からの入りハケだったから、階段をぴょんぴょんと上り下りされるお姿が可愛らしくて仕方なかったです。
 
10号:室龍規さん
 2019年版大阪10号さん。圧が強い。ていうか、デカい。調べたら188センチあるとのこと。そりゃあ、デカい。

 2019年版東京10号くんの神田くんは、若くて嫌味な感じが強かったけど、室さんの10号さんはもっと根深い何かがある。より歪んでいるというか。彼が10号さんとして、大人の芝居をされているからこそ、若気の至りでは済まされない感じ。彼は法廷を出た後どんな人生を歩むんだろうか…。

11号:山川ありそさん
 12号とのペアが可愛い。いや、他に見せ場いっぱいあるんですけどね。どうして少年はナイフを取りに戻ったのか、って話してる時の2人が可愛すぎてな…。ドタバタドタバタ上手下手に走り回っててさ……。

 2019年版の竹下さんはTHE善良な移民というイメージが強かったけど、山川さんは何というか強かに生きている移民という印象。7号さんに詰め寄ったり、10号さんにやや物騒な視線を投げたり、12号さんにわかりやすく冷たくしたり。なのに、オフ芝居の笑顔があまりにも人畜無害。怖い。

 原作映画の舞台がアメリカだからこそ、12人の中に描かれた人物の一人だよな。もう一人は10号さん。人種の坩堝だからこそ、当たり前に存在しうる人たち。

12号:尾形大吾さん
 個人的に一番心臓に悪い人。日替わりが受けるか否かがギャンブルすぎる。鋼のメンタル。2019年版大阪12号さんで、今回は標準語。
 等身高すぎて目がバグる。手脚長すぎ、顔小さすぎ、細すぎの役満。あと、弊社の先輩にめっちゃ似ててぷぇってなる。

 去年の東京12号さんは7号さんに続くイライラキャラだったんだけど、尾形さんは可愛いが強い。12号さんといえば手のひらクルクル手首ぶっ壊れ野郎なわけだけど、尾形さんの12号さんは考えてないわけではないんだよな。ただ、自分の意見に執着とか自信が無いから意見が変わりやすいだけで。

 デリカシーとかモラルはやや欠けがちな12号さんだけど、たぶん一番多くの人と絡んでる。セリフ上もだし、オフ芝居でも。笑顔の印象が強いだけに、10号を見放すシーンの笑顔からの蔑みの表情はゾクッとする。

 これは純粋な疑問なんですが、アドリブシーンでよくお滑りになるっているのは12号なのか、尾形さんなのかどっちなんでしょうか??12号の宿命として滑っているのか、尾形さんが滑っているのか……。私気になります。

守衛:よこのゆたかさん
 真面目な守衛さん。幕前でウォーターサーバーをソロソロ用意している姿がなんとも可愛らしくて大好き。

 本編中は合間合間にしか出てこず、セリフもごく少ないけど、12人の議論を見つめる観客以外の唯一の観測者。登場の度に12人を見渡す時の視線はいつも気になる。
 本編では淡々としようとしている守衛さんだけど、幕前の行動はとても人間味があって好き。エアコンの前で涼しー!ってなるのいいよね。

□対策的なアレコレ

・劇場入口にサーモとアルコール消毒。
・チケットは劇場スタッフさんの目視確認。自分で半券をもぎり、箱にIN。
・振替手続きしたチケットは受付で交換。
・ロイヤル傍聴席の特典は隣の受付で対応。
・ロビー複数箇所にアルコール設置。
・お手洗いは少し数が減っている。ハンドドライヤーは使用禁止。
・座席は公式発表通り、前方2列は着席無し、それ以降は市松模様に配席。
→こう言うのはあれだが、普段の観劇より視界が良好。圧迫感もなくて、気兼ねなく観られる。
・RY傍聴席は配布されるフェイシールド着用。スタッフさんが巡回しているので、もたもたしてると組み立て方とか教えてくださる。
→透明度が高いので視界はかなり良好。白っぽいマスクだと内側で反射して気になるので、一緒に入ってる黒いマスクをつけるとさらに快適。フェイスシールドはお持ち帰り。
・役者は鼻と口元を覆うタイプの透明なフェイスシールド。飴、ガムはエア芝居。水はウォーターサーバーに、飲むのはその周辺だけで。
→呼気で曇ったり、結露するのかみんな定期的にシールドの中をティッシュとかハンカチで拭いてる。私は芝居に集中してしまうので、途中からフェイスシールドは見えなくなる。
・終演後は座席ごとの整列退場。後ろの方から1列ずつ。
→エレベーターも人数制限があって結構待つので、頑張って階段で降りる。

□印象に残ったシーン

 去年との違いとか、色々。だいたい1号のことにうるさいです。
 この項目にいわゆる真面目な感想はほぼないです。

・アルコール消毒に余念がない守衛さん。
 椅子12脚と円卓を丁寧にアルコールで拭きあげる守衛さん。今年限定の演出。・・・今年限定になればいいなぁ。
 幕前は本編とは違う次元で進む演目もあるけど、”12人”はちゃんと本編に繋がる。クーラーの仕様とかもちゃんと伏線になってるし。
 守衛さんで視線誘導して、室内に何があるかをしっかり見せてくれるシーン。

・ウォーターサーバー持ってくる守衛さん。
 これも、コロナ対策でピッチャーからウォーターサーバーになったのかな?
 揺らさないようにそろりそろり歩いてくる守衛さんが可愛くて好き。

・しょっぱなから1号に絡む7号
守「番号をどうぞ」
7「えーっと、俺何番だっけ?」
1「え、あ、7番じゃないですか?」
 初日はこの時点で既に耐えられなかった。去年、ここで絡みはなかったからね。動揺しましたよ。当たり前のように絡みに行くんだもん笑っちゃったよ。

・説明台詞が説明台詞過ぎる7号。
7「ここに!これくらいの!エアコンが!これくらいの!」
1「分かりましたから!」
7「スイッチがここにある!」
1「分かりましたからスイッチ入れてください!」
 くどすぎてしんどいし、1号がマメに相槌打ってんの好き。

・愛想笑いが張り付いた1号
 特定のシーンというより、セリフのあるシーンの笑顔がほとんど愛想笑い。なるべく笑顔で進行役を務めているけど、絡まれた後とか露骨に嫌な顔する。教育者として善人たろうとするクセがあるんだろうけど、割と二面性が見える。

・さりげなくイジられがちな4号
 6号「番号順に座るのは理にかなってますよ(ドヤ」
 よっこい4号はイヤミっぽさがないから、イジられるとなんか可愛く見える。

・3号と話す4号の手元から無言で新聞を抜き取る7号
 やまと7号は子供っぽい行動が多くて可愛い。やっぱり、遊ばれて困惑しているよっこい4号。

・怪物ルーキーのピッチング再現をしたことが後で自分を苦しめることを知らない7号
 見ているぞ。ピッチングフォームに厳しい陪審員長が見ているぞ……。

・有罪数を数える1号の声のトーン落差
 8号が手を上げてないのに気づいてから後のド低音と圧。

・スラムの話が出ると聞きたくなさそうに顔を背ける5号
 割と分かりやすいので察しがいい人なら初見でも気づける?

・7号に嫌がらせしてみる1号
 「じゃあ、あなたから」「順番って言ったろ?」
たぶん、場を乱す7号への嫌がらせだと思うんだけど、焦った7号の顔見てご満悦な1号くんが割と性格悪くて好き。そういう受け取り方してる私の性格が悪いのかもしれないけど。

・子ども周りの話題を出すとちょっと神妙になる1号
 教育者ゆえか。少年を子供と扱うシーンでの表情は

・7号の行動に過敏な1号
 10号さんに便乗したら、10号さん以上にこっぴどく怒られる7号さん。理不尽。

・3号に仲間扱いされてかなり嫌そうな4号
 3号には度々論理が破綻する発言をされてるから、結構頻繁に不機嫌そうな顔してる。

・ガムは飲むタイプ6号、目敏い1号
 「やめましょうか」でバッテンするの可愛いです。あと、その後の「飲んだ!?」の声が妙に通るのが割とジワる。

・子供の話で暴走する3号の話に相槌打つ1号
 話を区切るタイミングを探して呆れながらも律儀に相槌打ち。はいはい、うんうん言ってるだけなのにすっごい耳に残ってるのは、彼の声が良く通るからなのか、私に拓海どん限定収音バフ掛かってるからなんだろうか。

・ヒートアップした議論を止める1号
 結構、何回もあるんだけど本気で止める時と、脚本上止められないときのパワーの差が結構ある。止められないときが弱いのではなく、マジで止める気の時の出力がデカい。
 1号に限らずだけど、議論中の他の人のパワーがすごいからこそ、その流れを切る時の出力は相当。

・「そうだ忘れてました」
 声のトーンがあまりにも素で好き。普段の拓海どんでも聞かない声音。こういう引きのお芝居が、ぐっとナチュラルになったよね。

・からの「陪審員長をおおおお!!やりたいならドウゾオオオオ!!!??」
 一瞬で沸くやんこの男。
 ここ、とんでもない顔してるんですよ。目のサイズ急に3倍くらいにして白目剥いて、歯茎までひん剥いてんですよ。推しながらひどい顔してますわ…。
 東拓海の凄いところの一つは、「ビジュアル的にそこまではやらないだろう」っていうボーダーラインを軽々しく突破するところだと思う。だってあるじゃん、カッコイイ怒り顔だってさぁ。それよりも感情を最優先するんだよ、この男は。

・とりあえず7号に八つ当たりする1号
 完全に大和さんに甘えている。
 そして、この男の運転席にはどうやらアクセルしか存在しないらしい。前に何があろうが、アクセルを全力で踏み込む。そして、ハンドルは12号に、ブレーキは7号に委ねている。曲がる気も止まる気もねぇ。

「ピッチングのフォームきったねぇな!」
「へったくそ!!」
「よく、それで真似しようと思ったな!」
「はずかし!!」
「僕だったら恥ずかしくて死んじゃうよ!」
「スキニーで野球やってんじゃねーよ!」
「モテたいからスキニー履いてんのか!」
「スキニーに謝れ!」
「野球やるならチノパンでやれよ!」
「モテたいからパーマ掛けてんだろ!」
「モテたいから野球の話してんのか!」
「あのピッチャーの誕生日知ってんのか!」

 120%出力で7号を罵倒し続ける1号くんでした。周りが焦ってワタワタしてても、笑ってても、7号の反応を見るまで一切止まる気配がない。東京楽の「恥ずかしくて死んじゃうよ」が一番パンチ強かった。

 12号が煽るせいで、全員注目の中ピッチングの再現をさせられる7号。からの東京楽での7号の逆襲ですよ!

1「もっかいやってみなさいよ!」
7「じゃ、じゃあお前キャッチャーやれよ!」
1「(一瞬で笑っちゃって、お馴染み困り笑顔)」
 周りの人たちに腕引かれて、7号の対角でキャッチャーのポーズ。
 1号はもうこの辺ずっと笑ってる。1号っていうか、東拓海が笑ってた。舞台上の人たちも大体笑ってる。

7「サイン出せよ!」
1「(やけくそでサイン)」
7「(いつもと同じようにピッチング)」
1「(キャッチして)きったねぇフォームだなぁ!?」
 懲りないなこの1号。

7「あんたが1番だよ」
12「ほら、椅子も椅子もね」
2「(笑顔で椅子を持ち上げている)」
1「……」
2「(椅子を持ち上げながら、空いた手でキャッチャーのポーズ)」
7「wwwほら!そんなに言うならお前お手本見せてくれよ!」
1「(完全にやられた顔)」
 やらなきゃ終われない感じになって、ピッチングする1号。本当に割と綺麗なフォームで客席から拍手が起きる。
 片足上げた状態で止まってる姿勢とか、ほんとにしっかり踏み込んでる感じとか。ちょっとときめくので助けてほしかった。

・「よろしい」
 どの4号でもこのセリフ大好き

・殴るアクションがガチすぎる6号
 勝てない。3号さんは冷静になって。

・「つい」
 怒ってないふりして、この二文字に苛立ち全部乗ってんの面白すぎる。よっこい4号は5号には圧を掛けない。

・「少年と証人たちの証言に」、「少年の部屋が正面に」
 観劇回数重ねるごとに、セリフを覚えてくるからこそ頭が混乱してくる4号さんのこの二つのセリフ。

・「このまま続けますか?」
 4号さんのこのセリフの音色が理性的過ぎて、毎回好きだった。

・「自分じゃ気づかない人がほとんどだ」
 言葉通り、気づかず響いてもいない12号に軽蔑と嫌悪の目を向ける1号が1号で1号です。

・3号に怒鳴られた2号を慰める1号
 ちっちゃいものクラブ感あって可愛い。(なお、1号の身長は178cm)

・3号を追いかける6号
 勢いがガチ。3号が文字通り脱兎のごとく逃げ回ってるのがあまりにもコミカル。
 東京楽でコバケンさんが「舞台上で死を感じたのは初めてでした」っておっしゃってたのが…w「舞台上で死ねたら本望」で、良い話か!?と思ってたら「広大にトドメを刺してもらって…」って続いてしんどかった。

・ドヤ顔のど飴掲げ男
 その名も2号。

・「ガキがやったの知ってたんだから!」、「そりゃ当たり前だろうが!」
 7号さんもたくさん台詞があるけど、この二言は音色が耳に残ってる。

・向かいのアパートの女性(4号)、少年(6号)
 12号さんフリーダムすぎる。

・8号のナイフを手に持ってしゃべりだす3号。なぜか率先してみんなを守る姿勢の1号
 5号くんを背中に庇った時は、さすがに「なんでや」と突っ込んでしまった。心の中で。
 3号がテーブルにナイフ投げたときのみんなの飛び上がりようが見事なので、目が12対ほしい。

・机に立っちゃう系男子7号
 茶々を入れる入れないのくだりで、4回観た中の1回だけだったかな。机の上まで乗っちゃったのは。
 あのシーン、どんどんエスカレートしていった感があって、10号さん止めるの大変そうだった。キャラ的に。1号とか6号なら振る舞いの一環で止めやすいんだろうけど。

・足の幅で距離を測る8号の後ろをついていく2号
 まるで親鳥の後を追う雛鳥。
 どこかの回で、足のサイズが8号と違うせいで、歩幅に隙間ができてた2号くんに「足くっつけてないと意味ないんじゃねーの」ってツッコミが入ってて。言わないだげて!と思わずにいられなかった。

・動きがうるさい12号
 お風呂場の位置は求めてねぇんだわ。
 それを制する4号とか、8号の圧が日に日に強くなってて笑う。

・暴走する3号
 一連のセリフに、それはもう丁寧に丁寧に地雷を埋め込んである。
 言い切った後の、10号以外が3号に向ける目に宿る怒りが凄まじい。

・様子を見に来た守衛に見取り図押し付ける12号
 押し付け方がどんどん雑になっていってたの面白かった。何なら、そのまま部屋から押し出しそうな勢いだった。

・ハンガー振り向き
 一応、私4回観たはずで、ハンガー振り向き以外にも2つネタ見てるはずなんですけど……何か、どっか行きましたね!
 ブザー推してワイヤーハンガー持ってきてもらうという暴挙にちゃんと付き合ってくれる守衛さん。そして、唐突に頭にハンガー付けられてもしばらくは泳がしてくれる守衛さん。流石に途中でおこの守衛さん。守衛さんが完全に巻き込まれてて草しか生えん。

 東京楽で笑ったのは、守衛さんが頭にハンガー付けたまま扉から帰っていったのを見た1号が一瞬で視界から消えたこと。笑いすぎて膝から崩れ落ちる推し。

 あ、一つ思い出した。トイレレバーでどっち向きに流すかってやつか。「年間一万五千円の節水になるんですよ!」じゃねーわw

 この後、雨雲が出てきてが舞台上が暗くなる段取りなので、ネタによっては照明転換で強制終了する場合がある。それが逆に面白かったりする。

・「真剣に!!!」
 しばらく大人しかった1号の強テンション。バツが悪そうな12号さんが可愛い。

・「・・・あ、僕か」
 なんか好き。

・天候を操りし者
 その名は、2号。
 初日、このシーン忘れてて雷の音で客席から飛び上がった。

・去年の試合を思い出す1号
 考察の余地あり。正直、一番1号の考えの流れが分かってない。推しが演じているのにもかかわらず。去年からそう。

・クーラーついてはしゃぎまわる大の大人
 2号、6号、11号、12号、あと5号もいたかな?
 小柄な2号が「6号が目の前に立ってて風が来ない~!」ってやってるのが可愛い。場所を譲ってくれる6号も可愛い。

・「どなたか建設的なご意見を!」
 このあたり、もう1号さん仕切り疲れてきている。
 直前に6号と7号のごちゃごちゃ止めたりしてるから、この辺の息の荒さがすごい。ゼェハァしてんのがマジで聞こえる。口元だけとはいえ、フェイスガード息苦しいだろうしなぁ。

・4号さんに茶々入れする人たち
 真面目なシーンなんだけどw
 「ラトナ・サリ・デフィ」は抱き合わせの二流映画に出てる割にファンが多い。いや、二流映画っていうのは4号さんの苦し紛れの言い訳かもしれないけど。1、2、5、6、12号辺りがキャッキャしてるのがミーハーすぎて可愛い。4号さんが怒るんだけど、なぜか6号だけは「あなたまで何やってるんですか」と名指しで怒られる。不憫。
 4号さん1敗目。

・本日ののど飴は終了した2号
 飴を隠す仕草がわざとらしくて、笑ってしまう。そして、その後こっそり1号くんに握らせる。1号くんと2号くんはお互いへ気遣うシーンが多くてほのぼのする。
 東京楽ではこっそりじゃなくて力強くがっちり渡してて、客席からだいぶ笑い声が上がってた。

・7時まで頑張る12号
 手のひらグルングルン12号。

・ナイフの再現する3号にガチハンマーロックを掛ける6号
 ほれ、言わんこっちゃねぇ。勢い凄くて普通に痛そう。

・12号の事件再現
 はい、皆さんご存じ、12号荒ぶりシーン。初日はまだ大人しかったんですけどね…3号は電車してましたけども。ちゃんと、1号の悲鳴にたどり着いてたんだよね。全くやる気のない1号の「キャー・・・」が個人的に新鮮で好きだったので、それ以降も期待してたんだけど観れませんでしたね。
 巻き込まれ人数がどんどん増えていって、最終的に6両編成までたどり着いてしまったんだな…あれをあのセリフで止めるのは割と難しいよね、5号。

・10号の例のシーン
 10号の独白はもちろん見どころだけど、それぞれの反応にも目が行くシーンだと思う。個人的に一番ぎょっとしたのは12号。乾いた笑い声からの無表情、追いすがる10号を振り払う乱暴な仕草。ひぇ。
 4号さんがセリフの後に台パンして、嫌悪感からかしばらく顔伏せてるのいいな。そろそろ語彙力なくてうまく言えなくなってきた。

・「あんたが変えろって言ったんだろ」
 それまで、声を荒げたりしなかった12号の咆哮。
 4号に迫られて意見を変えた直後に、舞台端に逃げて行って緊張から解放されたようにハンカチで汗ぬぐってる姿は、それまでの調子のいい12号からは想像つかなくて興味深い。発言に責任を負うこと、自分自身の意思を発信することに、強い苦手意識があるように見える。

・3号の息子に対する思い
 2019年版のさひがしさんは息子の写真を破り捨てていたけど、コバケンさんは写真を大事そうにみていたのが印象的だった。同じ脚本から役作りしてもこういう差異が生まれるのが芝居の面白さだよな。
 10人の目も怖いんだよな。11対1の状況を動かすことの難しさを強調するシーンでもあるのかな。

・退室する8号
 室内を見渡して複雑そうな表情をして考えを巡らせる。去年はロイヤル側からしかたぶん見えなかったけど、今回は前からでも見える向きで演技されていた。
 勘違いしそうになるけど、この作品はミステリではないんだよな。あくまで、”有罪に確信を持てない”、”合理的な疑問”があるから”無罪”とする、現行の法律にのっとった上での評決でしかないわけで。それがこの作品の特徴だし、面白い部分だと思う。

 私は割と安直で白黒はっきりさせたがる質だから、こういう作品のオチは”真実”、もしくは完全な”偽り”だと決めつける傾向があるんですよね。だから、このグレーな幕引きは消化が難しいなと思ったりもする。これは、原作のシナリオ的なお話。

□1号さんについて

 終始彼が何を考えているのか掴めないまま、2年目の観劇を終えてしまった……。推しだから一番意識的に観てたはずなのにな。


 ナイコン版12人は意見を変えた際に上着を脱ぐという演出がある。上着を脱ぐのは有罪から無罪に意見が変わったタイミング。スリーピースの4号、4号の意見を聞いて一時的に上着を羽織る7号、無罪と有罪を行き来した12号、とちょっとした例外はあるけど、上着の有無を見ればその時の陪審員たちの意見がなんとなく分かるようになっている。
 で、問題の1号が上着を脱ぐタイミングなんだけど、11号が急に意見を変えた7号に食って掛かったシーンの直後。君は何故そのタイミングで意見を変えた??11号の意見がそこまで1号に響くものかと言われると、うーん、という感じ。そりゃもちろん、有罪無罪の判断基準を改めて提起しているという意味では、響いてるとは思うんだけど、それだけで急に目が覚めた感じになるだろうか。

 1号はアメフト部のコーチ(原作だと体育教師もしている)で、陪審員長には自ら立候補したらしい。ルールや社会規範を律儀に守るタイプで、話し合いの場でも秩序を保とうとする。自身でも事を荒立てる発言、行動は避けようとしている。子ども扱いをされることが地雷らしい。
 あまりにも1号の考えが分からな過ぎて、去年の上演台本を読み直したりもしたんですよ。したらこの人、自分の意見全く発言してないんですよね。あんなに喋ってる印象があったのに、採決の時以外事件に関する意思表示をほぼしていない。叫び声についての証言の有無と、証人の女性の様子思いだした時ぐらいか。これも意見というよりも、事実確認に近い。なんだ、この人何なんだ。

 前に書いた”おとぎ裁判”の感想・考察記事を読んだ方はご存じかと思うんですが、自分深読みしすぎてありもしないバッドエンドを導き出すタイプのオタクなんです。何の話だってことなんですけど、もしこの作品が原作物じゃなかったら絶対1号と8号は深読みしまくってたと思うんだよね。
 少年が実はとある政治家の落胤だったとか、8号や1号は実は評決を操作するために送り込まれたエージェントでは・・・みたいな。もちろん、この戯曲はそういうお話ではない。プラチナデータやらジョーカーゲームの見過ぎである。でも、面白いよね、最後の最後で観客が信じていたものが覆る感じ。そういう叙述トリックとか大好き。

 あとは1号さん、民主主義の体現者説。1号が意見を変えるのは7号が無罪へ意見を変えて形成が多数決において、無罪が過半数になったタイミング。作中の陪審員制度においては、陪審員の意見の全員一致が必要とされているので、過半数に大きな意味があるわけではないんだけど、民主主義的な考えをすると重要な場面かなぁ、と。

 閑話休題。
 10号の「ガキみたいな」でブチ切れて一度仕切りを放棄して以降、少し思考に余裕ができたように見える。それまでは意見を聞いても物分かりのいい顔して思考放棄してる感じがあったけど、それ以降は考え込むことが増えたように見える。
 12号の差別発言を窘める、10号の差別的発言を拒絶する、3号の私情の込んだ意見には不快感を示すなど、多くの陪審員と同じように一般的な価値観を持っていると思われる。併せて、子どもの生育環境に関連する統計、偏見に対しては他の人物よりも敏感に反応しているように見えた。

 教育者として生徒の模範になることがクセにでもなっているのか、学校という特殊環境に身を置いているからか、陪審員として”ルールに則って”議論を進めようとする。目的よりも方法を重視する点は、教育の現場にありがちな価値観のようにも思う。ブラック校則とかね。いや、形骸化したルールなんて教育の現場以外にもごまんとあるけどさ。根源は教育制度にあると思う。
 で、1号はそれに毒された行動がすごく多いように感じる。あと、自分の意見を強く言わない陰湿さみたいなものも。
 これはあくまで日本的な考え方であって、原作のアメリカの教育環境がどうなのかはちょっと私は分からない。アメリカの教育制度に詳しい人教えて。

 10号が呆れたように吐き捨てた「ガキみたいな」は的を得ていると思う。大人11人に対して学生に接するようなムーブをしてるのをそういう風に揶揄されるのも分かる。HRで空回りする委員長って感じがしてしまうもんね。ただ、あの激昂具合を見ると、ガキ扱いされること、仕切り役として軽視されること、のいずれかが地雷になっていそう。それが学生時代のトラウマなのか、教師としてのジレンマなのか。
 1号くんのアメフト部のコーチとしての日常が気になります。大丈夫?反抗的な生徒が多くて舐められてない?同僚に虐められてない?君のトラウマはどこから?
 好きなキャラクター重めの設定乗せたがる悪癖。せめて推しには幸せに生きてほしい。

 結局のところ1号の意見が変わったのは、8号が提起していたいくつかの疑問点を彼なりに咀嚼しきった段階で、7号が絞り出した「有罪に疑問があるから」を聞いたからかな、と。
 一つの(自分にとって)決定的な矛盾点をもって”合理的疑問”ととらえる人もいれば、複数の矛盾点が出たことで”合理的疑問”とする人もいる。1号はどちらかと言えば後者だったって感じか。

□まとめ

 こんなご時世で、常とは違う体制ではあったけど、今年も観劇出来てよかったなぁ、というのがまず一つ。会場の変更、座席の変更、物販、演出などなど、観劇する人の安心、安全を考えたたくさんの配慮がありました。絶対という言葉はないけれど、とても安心して観劇に臨むことが出来ました。

 で、これらの配慮があるが故に、見ごたえという意味での不安はあったんですよね。去年の会場は下落合のTACCS1179、キャパは80席程度。今年のもともとの会場ですら、去年の2倍の広さがあったというのに、博品館に変更になって更に2倍超。この広い空間を果たして、あの熱気、熱さで満たすことが出来るのか、と。
 まぁ、ここまでの感想読んでもらえてれば、全くもって杞憂だったことが伝わってるんじゃないかと思いますけども。もう全然、あっつくてしゃあないです。気持ち的に。今年は空調グンバツなので、あくまで気持ち的に。
 また、去年みたいに客席道連れの途中まで空調なしの演出も見られる日が来ますように。

 この作品の見どころの一つはそれぞれの人物の正義感だと思います。1号が子供や教育関連の会話で反応するように、他の人物もそれぞれの価値観、正義感で行動してます。8号に対立する人たち、という単純な言葉で括れないところがミソで、11号が言う通り利害関係が無いからこそ一枚岩という言葉とは程遠いし、人間性滲み出てるというか。私は全体俯瞰の1号寄りで見たけど、誰に焦点を当てて観ても面白いです。複数回ご覧になる方は気になる人物を追うのも楽しいと思います。全キャストさんしっかり役を作り込んでいらっしゃるので、誰を追いかけても絶対に後悔しない。

 大阪公演ご覧になる方は、楽しんでくださいね!

 来年は、もっと気兼ねなく演劇が、観劇ができますように!
 アデュー!


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