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12人の怒れる男 7/20 15:00

『12人の怒れる男』、すっごい面白かったです。
出ハケはほぼないだろうと思ってたけど、本当にほぼなかった!議論中は常に12人が舞台上にいる。
これって大変なんだよね……セリフがなくてもオフで芝居を続けなきゃいけない。ものすごい集中力が必要な演出だよね。
どうやらDVD収録回だったらしいので、観たやつが円盤になるのか~。

原作ものだから、ネタバレはなるべく踏まないようにして行ったんだけど、正解だった。
序盤折れそうになかった、34710がどういう風に考えを変えていくのか、めっちゃワクワクした。
基本の対立関係が34710対8で他は割と傍観というか、言うなら日和見な立場で、序盤は、だけど。

対立シーンでの舌戦はそれぞれ見応えがある。
特に8号と4号は互いに理論に基づいた議論だから見てる方もすごく集中したし、感情ではなく理屈で対立していたからこそ4号が潔く事実を認めた時はいっそ清々しかった。
後半の方にあった休憩時間に3号と話してて「彼(8号)はよくやっている」的なセリフを言っていたように思うんだけど、あってるかな?どうだろうか。やや見切れていたのでちょっとわからないなぁ。

ずーっと腹たってた7号を丸め込んだのが11号だったのは、意外だったけど8号にあれはできなかったもんなぁ。外国人で、素直に真摯に陪審員という役割に向き合った11号だからこそあれが言えたのかも。

3号、10号。強い私情で最後まで反論をし続けた2人。まぁ、7号も私情なんだけど、ちょっと毛色が違うかな。

10号は日本ではあまり馴染みのない差別思想を持った人物(で合ってるよね?)。このお話でも、差別思想は軽蔑されるべきものとして描かれていた。5号から順に席を立つシーンでは「誰がこのシーンのケツ持つの??」って思ったけど、まさかの4号。ここのシーンまでは、どちらかと言うと4号も上流階級の偏見のある人間だと思ってたからここでこのセリフを言えることに驚いた。やや嫌味たらしい言動が多いだけで、かなり理知的な思考の持ち主だったと、この辺でやっと気づいた。

最後まで反論を続けた、3号。父親殺しの嫌疑のある少年(18歳)を、喧嘩別れをした息子(当時18歳)と重ねる。中盤で一度、8号に「少年はあなたの息子ではない」と窘められるも、自身の中にある「男の意地」もあり、終始感情的な主張が多かった印象。他者に向けた「それでも男か」のセリフに自分自身がとても縛られた、父親。意地と理性がせめぎあった結果があのラストだと思うと、なかなか他人事として見られなかった。頭ではどちらが正しいのか分かっているのに、意地を張り続けるのをやめることが出来ない。とても人間味がある男でした。

そして、強く主張はしないがそれぞれに意見を変化させた125691112。日本人ってこの辺りの考えの人がきっと多い。多分私自身もそう。
自分を重ねたり、他者の意見に流されたり。自分自身だけで、思考して決定することが出来る人が一体どれだけいるのだろうか。

この中で思考の流れが読めなかったのは1号。陪審員長として場を取り纏めたりするけど、彼はどこでどんな判断をしたのか。ちょっと見逃しちゃってたかな。次はそこをちゃんと見たい。

2号は実は一番被告に思い入れがないように感じた。純粋な興味、好奇心で事件を見始めて意見を変えた感じ。覚えてる範囲で、そう思っただけだから全体を通して見るともう少し違う面が見えるのかも。

12号。最後まで見ていて、一番もやもやするキャラクター。まさしく日和見、長いものには巻かれていくスタンス。流れのいいほうに乗り、自分の意見はないように見える。作中何度か「わからない」という発言をしていたのが印象的だった。彼は後半意見を二転三転させるけれど、本当に彼自身が納得した上での行動だったとは思えない。そんな風に動く人間の行く末が少し気になったりもする。

このお話で怖いのは、8号以外が物語開始時点で思考停止していること。与えられる情報は全て正であると鵜呑みにし、そこから導かれる最も安易な解に疑問を持たない。多少の矛盾は意識から消え失せる。少し考えれば気づくはずの論理破綻に気が付かない。怖いしかない。
あと、そもそも感情で判断するのはやめよう、という話題が上がっていた時点で、題名との矛盾がとてつもないね。強烈な皮肉にしか聞こえなくなっちまった。

という感じで、これ舞台の感想っていうより原作のストーリーの感想みたいじゃないか。一応、演出込みでのではあるけども。
舞台の感想書こうぜ。でも、大体4号くんの話しかしないよ!!

4号入室。一目見た瞬間に思ったこと「拓海くんでっか!?」。
映像とハイステでしか見たことのなかった拓海くん。180センチ弱って冷静に考えて普通に高身長。
円卓の下の足元とか近くに来た時の足元とか見たりして、靴大きいなぁって。ホント、ただのオタク的な感想しか持てませんでした。
同じように10号見て「神田くんでっか!?」。そして信じられないほど華奢。あと、靴がおしゃかわ。

拓海くんのグレーのスリーピースがとても似合っていてかっこいいです…。欲を言うならもう少しパリッとした良い素材のスーツにしてあげて欲しかった。スタイル良いからオーダーメイドとかでしっかり作ったスーツなんてカッコイイ以外のなにものでもないと思うんだ。
とにかく拓海くんの話なんですけど、横顔が美しすぎて死にました。鼻筋めっちゃ通っててさ、ちょっと上唇がツンと尖ってて、フェイスラインもすっきりしてて、あざといにもほどがある横顔。なんて素敵な造形!!この世に生まれてくれてありがとう、ですよ。ほんとに。
そして、なんといってもオールバックに眼鏡ですよ。死ぬ。前髪を下した可愛い印象の拓海くんも好きだけど、額を出したときの狡猾そうな印象もとても素敵。今あれですね、もともと好きなのにギャップ萌えでさらに沼に突き落とされてる途中って感じですね。足元とられてこのまま沈んでいくしかなさそうです。
最後に!この4号既婚者である!妻と映画観に行った話聞く前に指輪に気づいてしまって、心がめっちゃざわざわしましたよね。4号さんはすごい亭主関白っぽいよね。華奢できれいな奥さん連れて映画館行ってディナーして帰るんでしょ。何それときめく。
とはいえ、心のざわざわが本当にとんでもなかったので、ガチ恋に足を踏み入れそうになってて危険。東拓海魔性の男である。

始めの方は拓海くんばっかり見てたんだけど、今回の拓海くん、嫌らしい笑顔か、機嫌悪そうに眉顰めてる顔しかしてなくてな…。最後の論破シーンでは、戸惑ったり、呆然とする表情が見られたけど、全然知らない拓海くんがいっぱいで何度かときめきで死にかけました。
特に、嘲笑する拓海くんが、こういういい方はあれなんですけど、本当にもう本当に性癖でした。拓海くんの対角の席(最前一番下手)でつられて変な笑い浮かべてしまっていた。拓海くんの目に入っていないことを祈りたい。
というか、あの席、目の前がエアコン下の椅子だから、たまに全員の視線がこっち方面に向かってくんの辛かったw私も陪審員の振りしなきゃいけないのがライブ感あって楽しめた。頑張って「スンッ」って顔を作りましたよ。でも何回か、シリアスなシーンで変な笑顔してた自覚ある。舞台上の皆さんの目に留まっていないことを本気で祈りたい。本当にすみませんでした。あんまり面白くてやばい笑顔してました。

「まっすぐ家に帰りました。……まっすぐといってももちろん直進しかしなかったわけではないですよ?」
根に持つ4号さん可愛い。そして、東拓海煽りスキル高い説。煽ってるときの表情がめっちゃ腹立つw

ド頭で書いたけど、4号がテーブルにナイフ突き立てるシーン。まさかそんなことすると思わんやん。びっくりして固まってしまった。しかもそのシーンでも4号がドヤ顔なのがとてもよかったです。

7号の大阪弁。流石の劇団Patchですね。ものすごくナチュラルで、違和感なく見られた。やっぱり自分が関西だと、似非で喋られると気が散るというか。話に集中できなくなるんですよね。標準語なのに不自然なアクセエントだった場合も然りなんだけど。方言が混ざるものはそこが本当に大事。
そのせいで、めっちゃ腹立ったけどな。何度、「黙れや、シバきまわすぞアホンダラ」と思ったことか。この、人を苛立たせるちょけた演技、井上拓哉さん。覚えたぞ。

そしてもう一人の腹立つ要員。10号。人を見下す、差別思想の男。夏風邪をひいているざまぁみろな男。
風邪による咳が割とガチなもんだから、普通に心配になる。10号くんのドスの聴いた声、国見英の時からは想像できなさ過ぎて、はじめ本当に頭混乱した。拓海くんといい、神田くんといい、振り幅すごい。役者って本当にすごい。

4号と10号といえば、終盤のあのシーン。上でも書いたけど、4号が最後まで座ってて、「あれ、4号これどう締めんの?」ってなってたら、あの一喝。「黙れ」って言ってたんだっけ?これまたびっくりしすぎてセリフを聞き取れず。10号を指さしてる姿があまりにもかっこよすぎて、泣きました。ほんとです。人間って「かっこいい」っていう感情で泣けるんですね。その後、10号がエアコン下に座るから4号の視線もこっちに来てたんですけど、その時鼻すんすんさせて涙をぬぐってました。これはさすがに手元動いてしまってたから、目に入ったと思う。申し訳ない。
10号はどういうバックボーンがあって差別思想を持っているんだろうか。利口な人間なら、あそこまで孤立する前に隠そうとするはず。心の底からその思想に染まっていたんだろうか。他の11人に訴えかけるが無視される。哀れにも、滑稽にも見えるシーン。それまで、崩れることのなかった10号の相貌が不安に揺らぐ姿がすごく美しかった。
そのあとは、結構長い事エアコン下にいる。ジャケット頭にかぶって。あの席に人座ると本当に近くてこっちが緊張する。ジャケット被ったまま頭振る10号くんが可愛いと思いました。

ちなみに、あそこに拓海くんが座った時、本当に近すぎてため息が聞こえて「ヒィッ」ってなりました。肉声で芝居みられるだけで感動なのに、ため息聞こえるとか何が起こってんのかわかんないよね。

なんか、もっといろいろ書きたいことあるんだけど時間がないからとりあえずこんな感じで。

あ、最後に。
これは途中で気づいた演出なんだけど。意見が無罪に変わった人から上着を脱いでいくんですよね。5号さんがいつの間にか脱いでて「??」ってなったので気づいたけど、9号さんはだいぶ早い段階で脱いでる姿は見てたから、あとから「なるほど~」ってなった。たぶん、脱ぐことが大事なのではなくて、白くなっていくことに意味がある演出なんだろうな。8号さんはジャケット脱がないけど、はじめから白い。
そして、4号さんですよ。彼は何故か2段階で脱ぐ。ジャケット脱いで、間を空けてからベストを脱ぐ。
ジャケット脱いだのがどのタイミングだったのか覚えてないんだけど、「陪審に私情を入れるべきではない」っていう話題の時だったんじゃないかな?心象が悪いところから、フラットに正した時にジャケットを脱いで、意見をはっきり無罪だと変えたのがベストを脱いだ、とか。
4号さん寄りで考察してしまって申し訳ないけど、4号さんはすごく自身の感情をコントロールできる人なんだと思った。ある意味、唯一8号さんと対等に立つ瞬間があった人物だったのかな。

楽日はマチソワで見るので、疑問に思ったところを考えながら観劇したいと思います!
あー、良い舞台観たー!

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