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雪の日に二人っきり

就職中だった私は、ついに内定が取れた


去年も社会人だったけれど色んな事情と精神面がしんどかったり続けるにも続けられなかった

社会に出るのってこんなにガラリと環境も風景も変わるんだ。

正直、怖いことばっかりで社会に出るのが怖くなった

今働いていてもそう思っている

その日は私はバイトが無かった


居酒屋で、よく私の話を聞いてくれる仲が良い夫婦と話していた


彼の話になり、最近連絡も来ないししてないです笑
モヤモヤするなってことを話してた


でもその夫婦は私を色んな温かい言葉で沢山褒めてくれるんだ

彼の事も


「きっと、気になってるんだよ〜そんな騙すような人じゃないって〇〇ちゃんの話聞いててその人の良さが伝わってくるよ」って。


彼のことも貢献してくれるんだ


それが、自分の事のように嬉しい


連絡が来ないのも「気を遣ってくれてるんだよ」ネガティブ思考な私にポジティブに変えてくれる


彼はこの前私にこう言ってきた


「実は俺、〇〇〇さんの事一番気を使っていた」


初めて言われた

気を使う要素なんてどこにもないのに。

彼からもらう言葉一つ一つが嬉しく捉えてしまう

ちょっと気持ち悪いのかもしれないと思うけれどね


夫婦と彼の話をしていた時、いきなり彼から連絡が入った


あまりにもタイミングの良さに少し鳥肌が立った


面接の事だった


そういえば、彼に応援してもらいたくて面接前日に声をかけたんだった


そしたら活気のある声と顔で応援してくれた


嬉しかった、好きな人からの黄色の声援が


私はその時会いたくて仕方なかった


思い切って、『少し時間ある?報告したいことがあるの』

と言ってみる


なんかあったの?なんて聞かれたあと公園で待ってるとメッセージが返ってきた


私は急いでコートを着てドリンクを飲み干して会計した後に夫婦に背中を押されて雪の中全力疾走した

靴の中がビショビショなる

本来、寒いのに気持ちが舞い上がっていて寒さなんて如何でも良かった


公園につき、あたりを見渡すと誰もいない


ラインで彼にどこ?と麻痺した指でうち送信ボタンを押す

「あいた」


そんなことを言われ反対方向に体を向けると彼がこちらに歩いてきた


私も走って彼のところへ向かった


「足寒くない?」


『笑さむい』


彼に会うだけで一瞬で体温が上がる


彼に伝える  


私はもうダッシュしたせいで息が荒れていた


『、、、内定、、とれたよ、、!!』


そう言うと彼は私より喜んで


「よかっっ、、たぁ、、!おめでとう!!」


一番に伝えたかったとまた心に潜めていた言葉が口から出てしまう


でもいいんだ


伝えられる時に伝えなくちゃ


いつこの人と話せなくなるかわからないから


「今日一嬉しい」


!!!!!

「〇〇〇さんの魅力が面接官に伝わったんだよ」


!!!!!

もう限界


なんでそんな優しい言葉言うの


好きな人にそんな甘い言葉言われたらどんどん好きになるに決まってる


それでも彼は私の気持ちなんて知らずに矢を放つ


「本当は、昨日か今日ラインしようと思ったけれど〇〇〇さん、もし何かあった時気持ち落ちやすいから出来なかった笑」(的な事)


正直、連絡欲しかったって思ってた


でもそこまで深入りするような関係でもないから


欲しかったけれど期待なんてしてない


寒いから帰るかって分かれようとした瞬間


家の方向を聞いてくる

送ってくれるの?というとせっかくだからと返される


彼と肩を並べて歩くのは二回目


寒い雪の中

話す度、高く煙が上へ上へと上がる

私が話す事、面白いとか言って大きく笑う


私の家へ着いたときすぐには家に入ろうとは思わなかった


まだ一緒にいたい


話していたい


ずっとこの時間が流ればいいのに


向こうも帰るという一言も言わず、さっきあんなに話していたのに家の前に着いたと同時に沈黙になる


少し会話をして私からじゃあ。と声を掛ける


おめでとうって言って私をまたドアに入るまで見送ってくれる


私は見えなくなるまで彼に手を振った


彼の笑った声が聞こえてドアが目の前で閉まる


あの寒い雪の日は、忘れることなんてないだろう


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