見出し画像

インディーズゲーム、再考

最近、インディーズゲームで遊ぶことが増えた。

リーズナブルで手軽に遊べるのも魅力だが、なんとなくピンときたものがあたりだったときの喜びも大きい。攻略サイトが少ないこともあり、自分の実力だけでクリアできるのか試せるのも良い。仕事の合間や寝る前など、少しずつ楽しめるようなボリュームで、無理なく楽しめる。

まだまだ遊んでいないインディーズゲームは多いけれど、今まで遊んだ中でおすすめしたいものを紹介したい。(ネタバレ無し)

◆天穂のサクナヒメ

パッケージ版が完売続出で“令和の米騒動”と称されたり、農業パートの作り込みがガチ過ぎて農林水産省のQ&Aが攻略サイトになったりと、話題に事欠かない『天穂(てんすい)のサクナヒメ』。

ゲームにおけるレベルアップといえば、その辺のモンスターを狩ったりクエストをこなすのをイメージする人がいるかもしれない。しかし、サクナヒメは稲作をして収穫した米の評価によってステータスが向上する。ダンジョン探索の傍らで、水量や雑草、病気を気にしながら稲作をこなし、品質の高い米を育てる必要があるのだ。実際にボスが強くて詰まったところも、2年くらいひたすら稲作に注力した結果、難なく倒せた。

画像1

サクナヒメたちはダンジョン探索時に狩った動物から得た肉や、アイテム収集で得た野菜を調理して食事する。食材も干し肉や糠漬けといった加工を行わなければ、腐ってしまう。調理して食べたものは堆肥のもととなり、米のステータスにも反映されるという作り込みぶりだ。

画像2

稲作とダンジョン探索の配分がちょうどよく、キャラクターの個性も魅力。エンディングは何気に泣かせにくるのもにくい1本だと思う。

◆VA-11 Hall-A

『VA-11 Hall-A』では、サイバーパンクの世界観とどこかクスっと笑える気怠げな会話が楽しめる。

画像3

そこに住む誰もが監視用ナノマシンを体内に注入され、貧富の差が激しい退廃的な西暦207×年のグリッチシティ。その片隅のバー、VA-11 Hall-A(ヴァルハラ)でバーテンダーとして働く主人公、ジルは客にカクテルを提供し、彼らのおしゃべりに付き合う。店には巷で人気の歌姫や昔馴染みの友人、犬までもがやってくる。

画像4

画像は個人的にお気に入りなキャラ、イカ柴(イカした柴犬)だ。アロハシャツとサングラスが似合う、一人称がおれっちのイカした柴犬。ボスが眼帯をしている柴犬なのも非常にクールだ。

プレイヤーはバーテンダーとして客が望むカクテルを提供するが、相手によっては「甘いやつ」「強いやつ」と、こちらが判断してカクテルを作らなければいけない状況も少なくない。相手が飲みたいものを把握できていれば、チップとしてより多くのお金をもらえる。お金を稼がなければ家賃を払えず、ゲームオーバーになるシビアなゲームでもある。

お酒がそうさせるのか、客との会話の中には下ネタも入ってくる。(残虐なシーンは全くないのに、CEROレーティングがDなのはその辺りが理由なのかもしれない)それでも時折ハッとした格言めいた一言が出てきたり、哲学的なセリフがあったりするのでノベルゲーとしても楽しめる。音楽もどこか懐かしさを感じる雰囲気で、私はよくテレワーク中に流したりもしている。

画像5

プレイ前にこんな粋なメッセージが出るのもにくい。

続編となる『N1RV Ann-A』(ニルヴァーナ)は2020年発売……のはずが無期限延期が発表された。舞台はグリッチシティからセイント・アリシア島にある高級バー、N1RV Ann-Aに移るらしい。8歳の息子の育児の傍らでバーテンダーとして働くサムはどんな客と出会うのだろうか。

◆Outer Wilds

『Outer Wilds』では主人公が新米宇宙飛行士として、初めての宇宙探索を控えているところから物語が始まる。しかし22分後(ゲーム内時間かつ実時間)、恒星が超新星爆発を起こして星系が滅亡してしまう。しかし気づけば初飛行前に時間は舞い戻り、延々と超新星爆発を起こすまでの22分を繰り返すことに……所持品は残らないが、宇宙船に積んでいる情報端末には旅行記録が蓄積していく。

明確なチュートリアルがなく、操作方法や基本情報が断片的にしかわからないことからとっつきにくい印象を与えるかもしれない。しかし、ループの謎を解き明かしていく過程でひとつひとつのヒントがつながった瞬間の快感は味わってほしい。

私は「記憶を失ってまたプレイしたい」「ベストゲームといっても過言ではない」とすすめられ、プレイし始めた。ただ、一人称視点なので長時間遊ぼうとするとどうしても酔ってしまい、少しずつプレイせざるを得ない。毎日寝る前に大切に読む、ミステリー小説のようなゲームだ。

◆UNDERTALE

『UNDERTALE』(アンダーテール)は、私がインディーズゲームにハマるきっかけになった1本だ。思い入れも強いが、なにしろストーリーを説明し過ぎると面白さが半減してしまうジレンマも抱えている。ちなみにWikiには全部ストーリーが書かれているので、読むならクリア後にしてほしい。

『UNDERTALE』は、タイトルの通り地底世界が舞台の物語だ。ヘンテコでユニークなモンスターたちが住む地底世界を、ニンゲンの子どもである主人公は探検しながら地上を目指す。

作者であるToby Foxは『MOTHER』シリーズや『東方Project』のファンを公言している通り、プレイしていると随所でオマージュを感じられるだろう。特にとぼけたような会話やキャラクターでほのぼのする一方、時折狂った世界観を見せつけてくるあたりは『MOTHER2』のムーンサイドやラストバトルを思い出した。

『UNDERTALE』で衝撃的だったのは、「レベル上げ」に対する考え方だ。これまで私たちは、ゲームの主人公のレベルを上げるためにどれほどのモンスターを倒してきたのだろうか。『UNDERTALE』は「誰も傷つかなくていいRPG」というキャッチコピーであるように、プレイした人はレベル上げの概念が大きく変わるだろう。

ちなみに姉妹作品とされる『DELTARUNE』(デルタルーン)もチャプター1のみ配信されている。『UNDERTALE』とは別世界の物語とされているが、チャプター1のクライマックスの衝撃は『UNDERTALE』をプレイしていなければ半減してしまうこと間違い無し。

面白いインディーズゲーム探しは続く

インディーズゲームは日々たくさんのタイトルがリリースされるからこそ、常にアンテナを高く張っていなければなと思う。面白いものがあれば教えてほしい。

いただいたサポートでより良いものを書けるようがんばります。