【後編】5年間のスタートアップ生活の失敗と後悔を全部書いていく赤裸々note

この記事の続きです。

失敗なんて、思い返せば無限にでてくるのでこの記事で終わりにする予定です。


一応これがどういうnoteか説明すると、スタートアップを数年やってきて、これはめっちゃだめだったなあ、失敗だったなぁと思うことを、つまびらかに書いていくnoteです。前回に引き続き、深夜のテンションで書いているのでエモいです。

もうすこしだけ、心に力を入れて書いていきます。お付き合いください。


事業ありきで人を採用したのは間違っていた

より正確に言うと、十分検証されていない事業に、その事業にしか居場所のないスペシャリストすぎる人に、しかもフルコミできてもらう、というのは失敗でした。

検証不十分な事業はかなり高い確率でピポッドします。なぜなら、思いついた事業アイデアのうち、そのまま上手くいくもののほうが少ないからです。

ピポッドに耐えられる人しかスタートアップには耐えられません。

ある程度事業が固まって、PMFが検証できていたり、収益がたちはじめている段階なら、事業ありきの人採用もいいとおもいます。

もちろん、初期のスタートアップでもうまくスペシャリストとやっていく方法はあると思います。仮設が間違っているとわかったタイミングでピポッドするかもしれないが、あなたと一緒に検証していきたい、というのが相手に十分伝わっていて、短期で入ってもらう、副業で入ってもらうという形なら、うまく付き合っていけるのではと思います。

しかし、当時、フルタイムで転職してきてもらうという選択をしてしまいました。これはかなり間違っていたと今では思います。

もちろん、検証にどうしてもスペシャリストの力が必要な場合はあります。

それでなくても、ピポッドによって浮く人がでるという問題はスタートアップにつきものですから、誰を船に乗せるのかは、慎重であったほうがいいと思います。

採用された人にとっては、短期で転職を繰り返すことになりますから、キャリアに傷がつくと考える人もいるとおもいますし、こんな簡単にピポッドするならフルコミできてくれ、現職をやめて明日から来てくれ、なんて言わないでくれよというのが本音でしょう。これはむやみに彼らの人生を振り回しただけでした。


当人にとってはもちろん、会社の立場に立っても、誰にとってもwinがありません。

そしてこの轍は、先人が百万回踏んだ轍です。防げたはずでした。


何でも自分で解決しようとしたのは失敗だった

スタートアップをやっていると、なんとなく全能感にとらわれることがあります。実際に僕自身、なんでも覚えが早くて、マルチスキルなところはあるとおもっていますが、個人の自学による成長スピードなんて結局たかが知れています。

あるとき僕は会社にいるたった一人のエンジニアで、Webのことは上から下まで広く浅く、一応一通りできるという状態でした。わからないことも、時間をかけて調べたりすればできるという、エンジニアにはよくある感じです。

そして、時間をかけて試行錯誤して、いまにしてみればクオリティの低いプロダクトを、遅いスピードで生産していました。

当時は、「僕一人しかいないし大変だ~がんばらなきゃ。」ぐらいに思っていたのですが、今客観的に考えると、僕の成長が事業のボトルネックになっている状態でした。


ちょっと前に、THE GUILDの深津さんが「自動的に決定する領域と、意思決定すべき領域は分けて考えよう」みたいなことを言っていました。

これに近い話だなとおもうのですが、ちょっと言葉を変えて「自分自身で試行錯誤すべきものと、そうでないものを分けて考える」ということをすべきです。

過去の僕でいうと、本当はどこかにベストプラクティスや、優れたハウトゥー、もっと上手くできる人、知見を持った人がいるのにもかかわらず、多くのことを自分一人の力で解決しようとしていました。

実は「自分で試行錯誤すべきでないもの」というのは、想像よりも遥かにめちゃくちゃ多いです。

PMFも、グロースハックも、ユーザーヒアリングも、資本政策も、経営管理も、人事評価も、採用も、営業も、なにもかも、ほとんどの領域には先達が存在しています。そして彼らの多くは、リスペクトと誠意をもって頭を下げてお願いすれば僕たちの力になってくれます。

もちろんお金が必要な場合も多いですが、ほとんどの場合、余裕でペイします。自力でそこへたどり着くのに比べて1/100ぐらいのコストになります。


僕はこのことに気づくのがかなり遅く、また、適用範囲が広いということに気づくのはさらに遅かったとおもいます。

無駄な試行錯誤をめちゃくちゃたくさんして、貴重な時間と資金を失い続けました。


この問題の難しいところとして「でも楽しそうなので自分でやりたい」という気持ちが出てくるということです。

会社としては常に最高効率でものごとを進めていくべきだと思います。一方で、自分の人生というものを考えたときに、やりたいことはやったほうがいいとも思います。人生は一回しかないしね。

起業家として最もベストなのは、やりたいこと = 会社の成長 であることだと思います。が、本当にこの2つが完全に一致している人は稀なのではと思います。

以前マイネット副社長の嶺井さんが「自分のやりたいことと、会社の方針が合わないときはどうしたらいい?」という問いに、「僕のやりたいことは、会社の成長なので。」とはっきり言っていて、高い次元でこの2つが一致しているんだな、嶺井さんかっこいいな、こうなりたいなと思いました。強い覚悟を感じます。

僕も仕事は楽しくて好きなのですが、正直まだそこまではたどり着けていなくて、今もよく悩んでいます。


何度か投げ出してしまったこと

前編でもいいましたが、何度かスタートアップを辞めており、トータルで言うと今は7社目のはずです。25歳で7社というとわりと驚かれますが、数ヶ月で辞めたり、並行して働いていたりするので、意外とこんなもんかなと思います。

健康に転職していることももちろんありますが、僕自身が本当に辛いとおもって辞めたこともあります。

そのなかには、僕一人が勝手に働きすぎて辛い、とかではなく、事業がうまくいってなくてチーム全体がみんな辛い、という状態だったことがありました。

長いあいだ事業がうまく行っていないときのスタートアップは地獄です。

言葉の端々にストレスがこもっていて、すべての会話やミーティングがありえないぐらいギスギスするし、メンバー同士が敵対にちかい状態になります。ただ会社にいるだけで強いストレスを受けます。

このままだと生産的ではないから、もっとリラックスできる姿勢や環境でミーティングしよう、などと提案しても、発言自体がまるまる無視されたりもします。なぜなら、聞き入れる余裕をだれももっていないからです。

そして僕は、もうムリだ、一回すべてを放棄して休みたい、とおもってやめるわけなのですが、一方で残りのメンバーは投げ出さずそのまま頑張り続けたというのも事実です。

僕はあのとき、なにもかもが限界でした。それは本当に本当です。

しかし、残ったメンバーは、僕が一人辞めていくことについて、裏切られたな、という気持ちは正直あったと思います。

それでもそこをぐっとのみこんで精一杯送り出してくれて嬉しかったし、その後もまた一緒に仕事したりしています。

僕の人生はほんとうに人に恵まれているなと思っています。感謝。


主体性が足りなかった

主体性がたりていない、もうちょっと増やさなくては、というのはずっと考えています。

前提として、僕は一度も、創業社長の立場になったことはありません。

そして、創業者とそれ以外の幹部には、圧倒的な覚悟の差があると思っています。

創業社長は、人生がこの会社にかかっている、かけている、という立場です。

そしてそれ以外の幹部は、その気になれば辞めることもできる、という立場であることがほとんどだと思います。

この違いは決して埋めることのできない違いです。


以前、元エウレカNo2の西川順さんが

「No2は決してNo1の覚悟には及ばない。私も私なりに覚悟を決めて全力を出していたのは間違いないが、それでも絶対に届かないなと思った」

みたいなことをいっていて、ハッとしました。

この覚悟の決まり方が、会社へ向き合う主体性にそのまんま反映されるんだとおもいます。


僕が自分の主体性の無さについて、最も後悔していることは、エンジェル投資家としてお金をいれてくれていた先輩社長に、もっと事業のアドバイスを貰いに行くべきだと思っていたのに、実際にはそうしなかったということです。

こういうふうにいうと傲慢に聞こえるかもしれないですが、「アドバイスを聞きに行く」という行動が正しい、より会社をいい方向に導けるということには完全に自信がありましたし、何度も経営陣に提案しました。

未熟な僕らの事業アイデア、市場知識で戦うより、経験豊富なメンターに指南するほうが明らかに強い一手でしょ、自明でしょと思っていました。実際、メンターから上手くアドバイスを貰って事業を伸ばしていくところをCandle社で何度も目撃しており、僕にはより一層そうみえました。

むろんアドバイスは程々に聞くほうが良い、という場合もあると思いますが、学生起業家とは経営者としてのレベルが1と1000ぐらい離れているので、とりあえず素直に言われたままやるだけで100倍改善すると思っていました。

このことには確信がありました。しかし結局は、提案が却下されたということで諦めてしまっていた。

今にしてみれば、このとき僕がすべきだったのは、「勝手にメンタリング会を設定する」または「自分で聞きに行く」でした。

結局、そうこうしているうちにアドバイスをもらいたかった人はめちゃくちゃ忙しくなり、連絡が取れなくなりました。

僕は直接コミュニケーションする関係ではなかったので、投資家とは距離がありました。なので投資家からすると「いやお前誰だよ」状態で、僕から相談しにいきやすいか、と言うと、正直めちゃくちゃしにくくはありました。

しかし、これをしなかったことによって会社の成長は年単位でおくれたとおもっていて、それは僕の主体性がたりなかったから、というふうに捉えています。

人や環境を変えたいなら、まず自分から、というやつですね。


おわりに

少し前にNo2サミットというイベントに登壇させてもらったのですが、そこで嶺井さんや西川順さんなどの先輩方と接する機会があり、めっちゃかっこいいなと思ったんですよね。ああいうふうになりてえな~と思いました。

それで、勢い余って「なにかアドバイスください!」といったら、「続けることが大事だよ」と言われたので、僕もなんとか踏ん張っていきたいな!と思います。

明日からも頑張って行きます!

うおー!


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