映画である！

　「新時代ムービースタディーズ」である！！

　今回ご紹介するのは……55年前の邦画「ああ爆弾」である！！

●第1回（本記事）：これは「志村！後ろ、後ろぉ！」式の笑いである

●第2回：「主人公が復讐を果たすコメディ」を作る時にはこの仕掛けが使える★

●第3回：ダークヒーローはバキュームカーでやって来る

研究開始★

※サムネの男性は、主人公・大作を演じる伊藤雄之助さんです。いやぁ、お顔からして存在感がすごいですよねぇ……！なお、1919年生まれ、本作公開時点で45歳です。

作品概要

ざっくりストーリー

【コメディ要素①】「志村！後ろ、後ろぉ！」式の笑い

三葉「というわけで、映画『ああ爆弾』の後半全部を使って描かれているのは『志村！後ろ、後ろぉ！』にも通じるギャグ★」

嘉村「なるほど」

三葉「そしてこれは、非常に汎用性のあるネタだと思うんですよね」

嘉村「ほぉ、『汎用性』ですか」

三葉「でね」

嘉村「ええ」

三葉「例えば、『学園もの』に適用したらどうなるのか考えてみたんですよ」

嘉村「なるほど！伺いましょう」

三葉「ある日の朝……ヒロインの母が、ヒロインの弁当を作っている。冷蔵庫を見て、『あらあら。この鶏肉、傷んでるわね。捨てなくっちゃ』と呟く」

嘉村「ほぉ」

三葉「そこへヒロインがやって来て、『お母さん、なんで起こしてくれなかったの！？』、『起こしたわよ。あんたも返事してたじゃない』なんてお馴染みの会話が繰り広げられる」

嘉村「ふむ」

三葉「急いで出発しなければ遅刻してしまう！ヒロインは慌てて弁当箱をカバンにしまい、冷蔵庫を覗き込んでいる母に向かって『お弁当、サンキュ！』と言い残して駆け出す」

嘉村「ふむふむ」

三葉「ヒロインは大急ぎで自転車を漕ぎながらも、『今日のデザートはバナナかぁ……えへへ。大好物♥』なんてにやけ顔」

嘉村「……バナナ？」

三葉「そう！じつはそれはバナナではない！」

嘉村「嫌な予感がしますが……」

三葉「それは……鶏肉だ！」

嘉村「……鶏肉とバナナを見間違えたと？」

三葉「まさに！」

嘉村「見間違えますかね……？」

三葉「母は、鶏肉をラップにくるんで冷蔵庫に保管していたんですよ。それが腐り、バナナのような形・色合いになっていた。これは破棄しなければならないと冷蔵庫から出したところで……ヒロインがやってきた！そしてバナナと勘違いしてカバンに入れてしまったのです！」

嘉村「ははぁ……」

三葉「生の鶏肉は大変危険です。カンピロバクターという細菌により、激しい食中毒が発症し、最悪の場合には死に至ることもあります」

嘉村「なんと恐ろしい」

三葉「かくして……ハラハラドキドキのドタバタ劇の始まりです！」

嘉村「ほぉ」

三葉「例えば……ヒロインが『お昼まで我慢できないよ♥』なんて言いながら、授業中にこっそりバナナを食べようとする」

嘉村「あー、なるほど。読者としては『それはダメだ！食べちゃまずい！』とドキドキするわけですね……『志村、後ろぉ！』と同じように」

三葉「そうそう！」

嘉村「ふむ」

三葉「しかし間一髪、教師がそれに気づいて『こらぁ！』。ヒロインは慌ててバナナをカバンに戻す」

嘉村「なるほど」

三葉「しかし一難去ってまた一難！休憩時間になり、ヒロインがトイレに立つ。すかさず、彼女の友だちがいたずらを思いつく。『バナナを隠してやろーっと♥』。そして彼女のカバンを開ける」

嘉村「ふむ」

三葉「友だちがバナナを取り出したところで……」

嘉村「本当は鶏肉ですけどね」

三葉「そうそう。鶏肉を取り出したところで……窓からカラスが飛び込んできた！一瞬の出来事！鶏肉をくわえて飛び去ってしまう。呆気にとられる友だち……」

嘉村「いや、そりゃ呆気にとられるでしょうよ……」

三葉「ええ」

嘉村「……まぁ、災難ではありますが……結果的にはよかったんじゃないですか。危険な鶏肉を食べずに済んだわけですから」

三葉「ところが……その日、東京には強風注意報が出ていた。秒速20mの強烈な風がカラスに襲いかかる！かくしてカラスはバナナ……ではなくて鶏肉を落としてしまう！」

嘉村「ほぉ……」

三葉「鶏肉は落下し……校庭でサッカーをしていた男子生徒の頭に落ちる！」

嘉村「もしかして……その男子生徒はちょうど空腹だったのではありませんか？」

三葉「おっしゃる通りです。ちょうど空腹で、かつ、細かいことは気にしないおおらかな性格の彼は、『バナナじゃーん！超ラッキー！！』とかぶりつこうとする……」

嘉村「ええっ……」

三葉「……とまぁ、キリがないのでこれくらいにしておきますが」

嘉村「ええ」

三葉「雰囲気はおわかりいただけたかなと」

嘉村「そうですね。『鶏肉とバナナを取り違える』という設定はどうかと思いますが……爆弾のような物騒なものがなくても、今回言及したタイプの『笑い』を使うことはできそうですね」

補足

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　最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

（担当：三葉）