【エロゲーのマーケ】いまだ満たされぬ欲望の方へ|『教えて おねだり将棋』
前回までのあらすじ
三葉と清水はユニークな『エロ要素のある将棋ゲーム』について盛り上がったのだった!詳細はこちら(本記事の前に読むことをお勧めします)。
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『教えて おねがい将棋』
※本作の概要は前回の記事にまとめてあります。
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<登場人物紹介>
・清水:マスター・オブ・アニメ。年100作以上のアニメを見続けて20余年。
・三葉:清水とは中学時代からの友人。学校を卒業後、マーケターとしてメーカーの商品開発などをお手伝いしてきた。本記事ではマーケティングの観点からあれこれ話しています。
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これは単なるネタゲームではない!
三葉「早速ですが……」
清水「ええ」
三葉「本作が商業的に成功するかどうかはわかりませんが……少なくともコンセプトに関していえば非常に興味深いものがあると思うんですよ」
清水「ほぉ」
三葉「いえね、本作は一見すると『将棋』と『エロ』を半ば無理矢理くっつけた作品であって、『単なるネタゲーム』、『単なるバカゲーム』に見えるかもしれませんが……」
清水「ふむ」
三葉「私は言いたい!それは違う!」
清水「……力が入ってますね」
三葉「私は言いたい!『バカゲーム?……バカはお前の方だ』と!」
清水「いや、それは言い過ぎです……」
「将棋ゲーム」と「アイドル画像・動画」を組み合わせたら、<新しい価値>が生まれた話
三葉「ご説明しましょう」
清水「ええ」
三葉「改めて整理しますと、本作は『<将棋ゲーム>と<アイドル画像・動画>の融合』といえるでしょう」
清水「『アイドル画像・動画』というのは?」
三葉「アイドルやコスプレイヤーの写真集、イメージビデオ、アダルトビデオなどなど……ここではそれら全般を指しているとご認識ください」
清水「承知しました」
三葉「でね、その『将棋ゲーム』にしても、『アイドル画像・動画』にしても、ビジネス的な視点から見るとなかなか厳しいご時世だと思うんですよ」
三葉「……という具合です」
清水「ふーむ。いずれも、相当な有名人が関わっているとか、何かしらのブランドとコラボしているとか、強烈な話題性がないと厳しそうですね……」
三葉「でね、本作はその『厳しい』同士がくっついたわけですよ。これはしんどい戦いになるだろうと考えるのが普通でしょう」
清水「でしょうねぇ」
三葉「……ところがどっこい!」
三葉「本作においては、この2つがくっついたことで『新しい価値』が生まれたのではないかと思うのです」
※価値:マーケティングをご存知の方は、「ベネフィット」(便益)と読み替えてください。同様に、以下に登場する「欲望」は「ウォンツ」を意味します。
新しい価値(1)将棋をしながらエッチな気分になれる!
清水「おっしゃりたいことはわかるんですが……いくら『新しい価値』とはいえ、それを求める人がいなければ無意味ですよね?」
三葉「おっしゃる通りです。商売ですからね。売らなければ意味がありません」
清水「……『将棋をしながらエッチな気分になれる!』を求めている人なんているんでしょうか?」
三葉「調査したわけではないのであくまでも私の仮説ですが……いると思いますよ」
清水「うーん……」
三葉「ほら、『好みのシチュエーション』ってあるじゃないですか」
清水「……ん?」
三葉「例えば性行為。場所ひとつとっても好みは様々ですよね。風呂場がよい人。保健室のベッドに興奮する人。車のシートを倒すのが最高だという人。野外を好む人。服装にしてもそう。セーラー服に萌える人。ナース服こそ至高だという人。スクール水着が究極だという人。スーツが好きな人。パートナーには眼鏡をかけてほしい人……などなど。これと一緒ですよ」
清水「ははぁ」
三葉「世の中には相当アレな人もいますからね。『将棋をしながらエッチな気分になりたい!』という欲望を持つ人がいても何ら不思議ではないでしょう」
新しい価値(2)若くてかわいい女の子に将棋を教えてあげられる!
清水「続いて、『若くてかわいい女の子に将棋を教えてあげられる!』……ふむ。確かに『将棋を教えてあげたい』という欲望を持った人はいそうですね」
三葉「ピンと来た方もいらっしゃるかもしれませんが……じつはこの欲望、『こち亀』にも描かれているんですよ」
清水「ほぉ」
三葉「単行本の158巻に収録されている『花見将棋の巻』です。両津や大原部長、屯田署長ら多くの署員が『誰が磯鷲早矢に将棋を教えるか?』で大揉めするんですね。じゃんけん大会の末、両津が指導役に就くんですが、大原部長が悔しがること、悔しがること……お前はどれだけ教えたかったのか、と」
清水「ふーむ。将棋を知っている男性の相当数がこの欲望を持っているのかもしれませんね」
三葉「ええ。そしてその一方で、この欲望はあまり満たされていないのかもしれません」
清水「ほぉ」
三葉「何しろ日本人の平均年齢は46歳です。おっさんと比べて若い女性が圧倒的に少ない。我が国には、おっさんの『将棋を教えたい欲』が渦巻いているといえるでしょう」
清水「うーむ。想像してみると……ちょっと怖いですね……」
三葉「ただね、欲求不満のおっさんが溢れているというのは、ビジネスの観点からいえば大きなチャンスなんですよ」
清水「ふーむ、なるほど。そこに需要があるということですもんね」
三葉「欲望の強さと、『それぞれの欲望がどれほど満たされているか?』、すなわち『それぞれの欲望に対応する商品・サービスの量』を以下に整理してみました」
三葉「すなわち……本作は、『これまで放置されてきた欲望』を満たす可能性があるということです(発売前なので、あくまで推測ですが……)。冒頭で『大変興味深い』と申し上げたのはこのためです」
清水「ヒットするとよいですねぇ」
三葉「ですね!そして第2弾、第3弾を是非見てみたい。一体どんな方向に進化していくのか……楽しみです」
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(分析:清水、三葉 / 文、イラスト:三葉)
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