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そのツッコミは、甘美な記憶を呼び起こす|100%空気通信

 「100%空気通信」は、クリエイティブ・ユニット「100%エア」の活動レポートです。


今回のテーマ


 今回取り上げるのは、短編コメディ小説「間違ってオシャレなアパレルショップに入ったらひどい目に遭った話www」

 作者自身が、「作品の構造」や「ギャグの狙い」をご説明します。


 今後、コメディ作品、ギャグ作品を創作する際のヒントになれば幸いです!


「間違ってオシャレなアパレルショップに入ったらひどい目に遭った話www」を読んでみよう!


 まずは、短編コメディ小説「間違ってオシャレなアパレルショップに入ったらひどい目に遭った話www」をご覧ください


※想定読了時間:5分

※注:「100%エア」のnoteや、Twitterに掲載しているものと同内容です。既にご覧いただいている方は読み飛ばしてください。














【トピック①】本作の構造


 本作は、「1つのシチュエーションと、それに対する複数のボケ」からなる「大喜利」(正確には「大喜利」の中でも「とんち」)型の作品です。


・ベースとなるシチュエーション:オシャレなアパレルショップにやってきた主人公(視点主)は、「Tシャツを探している」と店員に伝える。店員がオススメの1枚を示す。主人公が「僕に似合うかなぁ」と尋ねると……店員から予想外の言葉(= ボケ!)が返ってくる。

・ボケのパターン:10種類(パターン1~10)


【トピック②】「おう」や「いい加減にしなさい」というツッコミは、甘美な記憶を呼び起こす


 今回ご注目いただきたいのは、「パターン4」の「おう、ケンカ売ってんのか!」というツッコミです。


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 「ツッコミに使われるセリフ」といえば、「なんでやねん!」、「やめなさい!」、「○○かよ!」、あるいはタカアンドトシの「欧米か!」あたりが有名だと思いますが……さて。

 みなさんはどれがお好きですか?


 「ツッコミのセリフに好きも嫌いもないだろ……」とおっしゃる方もいるかと思いますが、一概にそうは言えないと思うのです。


 例えば、かく言う私が最も好きなのは「おう」です。


 「おう」。

 「欧米か!」のような凝ったセリフではありません。一見するとただの日常語ですが……しかし!

 私にとっては、これは「苺ましまろ」のちぃちゃん(千佳)のセリフなのです。

 そして、ちぃちゃんの大ファンである私は、「おう」というツッコミを聞くたびにちょっと胸のあたりがざわめくのです。


 つまり、「おう」は私にとってはただの日常語ではありません。


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 続いて私が2番目に好きなツッコミは……「いい加減にしなさい」です。


 これまた漫才の世界ではよく聞くセリフであり、特定の誰かの専売特許というものではないでしょうが……しかし!

 「いい加減にしなさい」というツッコミを耳にすると、次の瞬間、私の脳内には「らき☆すた」のこなたとかがみの声が響くのです。


※「らき☆すた」をご存知ない方向けの補足:アニメ「らき☆すた」のOP曲「もってけ!セーラーふく」に「いーかげんにシナサイ」という歌詞があります。そして、このパートを歌っているのが泉こなた(を演じる声優・平野綾さん)と、柊かがみ(を演じる声優・加藤英美里さん)。つまり、「いい加減にしなさい」というツッコミを聞くと、この曲が思い起こされるのです。


 したがって、やはりこれも、私にとっては「単なるありきたりなツッコミ」ではありません。


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 ここまで申し上げてきたことをまとめると……00年代半ば以降に盛り上がった「空気系・日常系アニメ」(「苺ましまろ」、「らき☆すた」etc.)が、遥か昔から存在した「おう」、「いい加減にしなさい」という言葉に新たなイメージを付与したと整理できるでしょう。


 そして、こうした「特定のアニメが、昔から存在した言葉に新たなイメージを付与した例」は少なくありません。

 例えば最近では、「フレンズ」という言葉の変化がわかりやすいでしょう。


 2017年の大ヒットアニメ「けものフレンズ」は、「フレンズ」という言葉のイメージを大きく変えました。


 かくして「けものフレンズ」以降、私たちはその言葉を気軽に使うことができなくなりました。

 なにしろ「フレンズ」と言った瞬間、あのちょっと間抜けでかわいらしいサーバルちゃんの顔が脳裏に浮かんでしまうのですから!


※余談:最早まったく思い出せないのですが……「けものフレンズ」以前、「フレンズ」という言葉を聞いたときに、私たちは何をイメージしていたのでしょうか?レベッカの曲か、あるいはアメリカのドラマか……?


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 「『おう』というツッコミが『苺ましまろ』を、『いい加減にしなさい』というツッコミが『らき☆すた』をイメージさせる可能性がある」というのは、これまでほとんどまったく指摘されてこなかったことだと思います。

 しかし少なくとも一部のアニメファンは、こうしたイメージを持っているはずです。


 そして、この「イメージ」は武器になるでしょう。

 特に「アニメファンが好みそうなタイプのコメディ作品」を作るときには、「このキャラは『苺ましまろ』のちぃちゃんに似たところがあるから……よし!敢えて『おう』と言わせてみよう。読者・視聴者が頭の片隅に『苺ましまろ』を思い浮かべてくれれば、より楽しめるはずだぞ!」なんて具合に利用することができると思うのです。



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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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