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コンプレックスって何だろう?……あなたの作品に、「コンプレックスを抱えるキャラ」を登場させる前に読んでほしいマンガ★|「不安障害で鬱で社会不適合の25歳女の胸中吐露漫画」

 コンプレックス!


 みなさん!

 「コンプレックスを抱えているキャラ」や、「努力の果てにコンプレックスを克服するキャラ」をどのように描写していますか?

 「コンプレックス」ってアレですよね。

 上手く使えば作中の重要な小道具になるものの、下手すればありきたりな表現に終始してしまう……なかなかどうして難しい。


 というわけで、本記事では「コンプレックス」について考えるよ★


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 こんにちは。傑作マンガを分析・研究する「21世紀マンガスタディーズ」のお時間です。

 本日取り上げるのは……こちらの作品!


亀田「不安障害で鬱で社会不適合の25歳女の胸中吐露漫画」

<Twitter>


登場人物紹介

・清水:マスター・オブ・アニメ。年100作以上のアニメを見続けて20余年。最も好きなヒロインは『3×3EYES』の「パールバティー四世」。

・三葉:清水とは中学からの友人。最近『けいおん!』の「Cagayake!GIRLS」をリピートしている。「未来がバラ色ならよくね?」の部分、本当によいですね!

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まずは概要をチェック!


三葉「では、元気よくまいりましょう!」

清水「はい」

三葉まずは作品概要です」



清水「確かに名状しがたい迫力がありますね」

三葉「そうそう!そこがよい!」


【ここに注目】コンプレックスって何だろう?


三葉「さて、ここからは『ここに注目』のコーナーです★」

清水「はい」

三葉私が思わず感嘆の声を漏らしたポイントをご紹介してまいりましょう」



三葉「ってなわけで、ここからは『コンプレックス』について考察してまいります」

清水「ふむ!」





清水「ふーむ。なるほど……」

三葉「ちょっと胸が苦しくなるというか、切なくなるというか……悲惨な事例で恐縮ですが」

清水「ふむ」

三葉「このように『過去の後悔を穴埋めすることばかり考えている状態』、そして結果的に『現在』や『未来』が疎かになっている状態……これを『コンプレックス』と呼ぶのだと思うのです」

清水「なるほど」








清水「なるほど……」

三葉「コンプレックスって本当に厄介ですよね。克服しようとするほどに意識してしまう。つまり、泥沼にはまっていくわけで……」

清水「結局のところ、『よし!克服したぜ!』というのはあり得なくて、『あっ……そういえば最近気にしてなかったかも』という『忘却』……つまり、『意識が過去から解放される』という形でしか解決し得ないということですよね」

三葉「まさに!」


「東京ラブストーリー」に描かれた恐るべきコンプレックス


三葉「ところで、みなさん!」



清水『東京ラブストーリー』といえば、あの伝説的なトレンディドラマですよね。『カンチ、セックスしよ!』というセリフで有名な」

三葉「まさに!今回取り上げるのは、あのドラマの原作マンガです」

清水「ふむ」

三葉「『小学館ビッグコミックススペシャル』版の4巻、111ページに以下のようなシーンがありまして……」



清水「ほぉ……」



三葉「いかがです。三上のこの強烈なコンプレックス!

清水「彼が抱えるコンプレックスというと……」

三葉『幸福な少年時代』が送れなかったことでしょう。一見すると順風満帆ないまも、彼の意識は少年時代に向いている

清水「ふむ……コンプレックスを何とか解決したい。しかし過去は改変できない。だから自分の息子で満たす……

三葉「そう!『これぞコンプレックス!』という感じでしょ?この『過去しか見えていない』感!そして根深さ!……私、初見時には目を疑いましたもん。しれっと言っていますが、コレ、相当怖いセリフだと思うんですよ!」

清水「ふーむ……まぁ、どんな親も多かれ少なかれ自分の夢を子どもに託したりすることはあるでしょうが……」

三葉「三上のコレはイッちゃってると思いますけどね」

清水「ふむ」

三葉「そして、父がこんなのですよ。子どもは間違いなく精神的なダメージを負うと思うんですよ

清水「……つまり、子どももまた幼少期にコンプレックスを抱くことになる、と」

三葉「そう!コンプレックスは世代を超えて連鎖するわけですよ……ううっ……恐ろしい……私、三上の子どもに生まれなかったことを神に感謝します……」

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三葉「とまぁ、本記事ではコンプレックスについて考察してまいりました

清水「はい」

三葉「作品を創作・制作される際、コンプレックスは単なる<悩みごと>や<自信が持てないこと>ではなくて……

清水『過去に苦しんだり、恥ずかしかったりした経験があり、それを穴埋めすることにばかり目が向いている状態』ですね」

三葉「そうそう!そういうものだとご認識いただくと、よい具合にリアリティがにじみ出るのではないかと思うのです」

清水「ご参考になれば幸いです」

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補足:学術的な意味


 ここからは、心理学・精神医学の術語としての「コンプレックス」について触れる。

 クリエイターのみなさんは、別段学術論文を執筆しようというわけではない。したがって、「学術的にどのように定義されているか?」には興味がないと思う

 作品として面白いか?読者・視聴者から「これはリアリティがある!」と感じてもらえるか?……これだけが重要なことだろう。

 とはいえ、「コンプレックス」は元々が心理学・精神医学の用語である。まったく無視するのも違和感があるかもしれない。

 そこで以下、少しだけ言及することにした。堅苦しい話な上、本記事のおまけに過ぎないので、読み飛ばしてくださって結構です★

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 「コンプレックス」とは、なかなか理解しがたい概念である。

 一般的な日本語としては、上述の通り、「人より劣っていると感じること、自信が持てないこと」 = 「劣等感」という意味で取り扱われることが多い。

 一方、ユング系の心理学・精神医学では……

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「強い感情的な反応(大きく動揺したり、思わずきつい言葉が飛び出したり)」を引き起こす「アレコレ(意識、記憶など)の集合体」

普段は無意識に押し込まれているため、本人もそれが一体何なのか上手く説明できない。

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 を意味する術語だ。

 そして、「コンプレックス」にはたくさんのバリエーションがあり、その内の1つが「劣等感(Inferiority complex)」


 つまり、日本語では「コンプレックス = 劣等感」だが、心理学・精神医学の用語としては「コンプレックスにはいろいろあるが、その内の1つが『劣等感(Inferiority complex)』」ということになる。


 1つの言葉に複数の意味があるのだから、ややこしいことこの上ない!


 ここからは、<本記事の主題 = 日本語の「コンプレックス」 = 学術用語としての『劣等感(Inferiority complex)』>を「コンプレックス(Inferiority complex)」と呼ぶことにしよう


 さて……本題!

 「コンプレックス(Inferiority complex)」である!

 「コンプレックス(Inferiority complex)」とは何か?

 それは、「他人よりも劣っているという意識や記憶の集まり」と定義できる

 例えば、「オレは人よりも背が低くてカッコ悪いのだという意識(思い込み)」、「チビだといってバカにされた記憶」……コレらをまるっとまとめて「コンプレックス(Inferiority complex)」と呼ぶ。

 この「コンプレックス(Inferiority complex)」が、時として激しい怒りを生んだり(背について指摘されると激昂!)、あるいは努力の原動力になったり(チビだからこそ人一倍鍛錬!コレはスポーツ選手に多いパターンだ)……いずれにせよ、他人からすれば「何をそんなにムキになって……」と驚くような反応の原因となる


 ……といった学術的な意味合いを踏まえて、改めて本記事の内容を思い出していただくと、いかがだろう?

 本記事でご紹介したマンガ「不安障害で鬱で社会不適合の25歳女の胸中吐露漫画」や、本記事の内容は、ユング系の心理学・精神医学における定義と似通っていることがおわかりいただけたと思う。

 以上、補足まで。


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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(分析:清水、三葉 / 文、イラスト:三葉)

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