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我が国最強の「姉」タイトル、ここに決す!|「姉」の研究(4)

「姉」の研究!


 姉である!

 兎にも角にも姉である!!


 本記事は、1975~2018年の44年間に刊行されたラノベの内、「姉」が付くタイトルをピックアップ★徹底分析する特集「『姉』の研究」の……第4回(最終回)である!


※注:「『姉』が付くタイトル」とは、例えば以下のような作品を指します。


<特集全体の目次>


第1回:みんな!もっと姉に興味を持とうぜ★

第2回:なぜ姉は「姉」と呼ばれないのか?(妹は「妹」なのに)

第3回:「姉が主役のラノベ」を書くならば、こんな姉を登場させるのがよさそうです★

第4回(本記事):我が国最強の「姉」タイトル、ここに決す!


第1回からご覧になることをオススメします★


 それでは、早速分析を続けよう!


【分析⑧】なぜこのタイトルは素晴らしいのか?


三葉「本記事では、『姉』が付くタイトルの中でも特に魅力的なものをピックアップして、一体どこが素晴らしいのか議論してまいります」

清水「はい」

三葉「さて、ラノベ4万冊中、『姉』が付くタイトルは77作ありますが……その中から、私と清水が思わずうなった名タイトルを5作ずつ選定しました」

清水「はい」

三葉計10作、内3作が重複したので結局7作となりまして……以下がそのリストです



清水「うーむ!眺めているだけでワクワクしてくるラインナップですね」

三葉「ここからは、以上7作の魅力について議論してまいります」


【視点①】総論:「姉」が付くタイトルは落ち着きすぎている?


三葉「まずは総論。『姉』が付くタイトル全体を見渡した印象ですが……いかがでした?」

清水「そうですねぇ。何よりも強く感じたのは、『妹』タイトルと比べてぶっ壊れたものが少ないな、と」

三葉「あー!ですよね!まったくの同感です。落ち着きがあるというか、上品というか


※注:『妹』タイトルがいかにぶっ壊れているか、詳細は以下の記事をご覧ください(ページ上部の画像に、とりわけ魅力的なタイトル15選を掲載しています。それをご覧になると一目瞭然だと思います)。


清水「ふむ」

三葉「そして率直に言って、私は『チャンスだ!』と感じました。『妹』を参考にして刺激的なタイトルを付けるだけで、かなり目立ち得るのではないでしょうか

清水「確かに!『超姉大戦アネマゲドン』とか、『結婚適齢期の姉を魔王の力で支配してみた。』とか、『お前が好きなのは姉だけど姉じゃない』とか……」


※注:以上3タイトルの元ネタはこちらです。


三葉「そうそう!そんなノリのタイトルがもっと増えてもよいのではないかというのが率直な印象です」


【視点②】まずはラノベらしい王道タイトルをチェック★


三葉「さて、全体的に落ち着きすぎている感のある『姉』タイトルですが、……その中でほとんど唯一のラノベらしいタイトルが『乙女ゲームの世界でヒロインの姉としてフラグを折っています。』です!」


清水「なるほど。確かにラノベっぽい」

三葉「ですよね!そして繰り返しになりますが……『姉』タイトルには、こうした『いかにもラノベ風なタイトル』が少なすぎる。だからこそチャンスがあると感じました」


【視点③】『姉もの』の神髄はやっぱりギャップ萌え?


清水「続いて、『だめあね☆☆ 山からブルマがおりてきた』を見てみましょう」


三葉「これは非常に示唆的なタイトルだと感じました」

清水「ほぉ」

三葉「『だめあね』というのは『ダメな姉』のことだと思いますが……そう、『ダメな姉』!これぞ『姉もの』の神髄だと思うんですよ

清水「というと?」

三葉すなわち……『姉もの』の魅力とは何か?それは『姉なのにダメ』というギャップ萌えではなかろうか!

清水「ふーむ」

三葉「そもそも……私たちはどのような時に、フィクションの世界のキャラに対して好意を抱くのでしょうか?ぜひご自身の経験を振り返っていただきたいのですが……」

清水「ええ」

三葉「『外見が好み』だとか『声が素敵』だとか、様々なきっかけがあるでしょう。しかし、『単なる好意』を超えた『強烈な好意』……そう!『恋に落ちた』と表現するのが適切であろう感情を抱くきっかけといえば?……10人中9人までが共通していると思うんですよ」

清水「ほぉ」

三葉「すなわち……ギャップです!ふだんは強気のキャラが、ふと不安げな表情を浮かべたり。ふだんは明るく陽気なキャラが、急に真剣な目つきになったり。私たちが恋に落ちるのはそんな時ではないでしょうか」

清水「確かに」

三葉これを『姉もの』に即していえば、『姉なのにダメ』ということになります。『ふだんはしっかりしている姉』、『学校では頼り甲斐があると評判の姉』、『ご近所でも品行方正で名高い姉』……そんな彼女がじつはダメ!しかも、オレの前でのみそんな本性を露わにする!……これが萌えでなくて何が萌えなのか!ああ!このギャップこそが萌えの正体である!……とまぁ、そんなアレコレが『だめあね』の4字に集約されていると感じるのです」

清水「ふーむ、なるほど」

三葉「いやぁ、じつにシンプルにして奥深いタイトルですよ!」


【視点④】「姉」という漢字は堅い!ゆえに、ひらがなやカタカナを採用しよう★


三葉「次は、『おねえちゃん再起動!』『残念ねーちゃんの捜索願い』『アネかみ! 1柱目:姉と女神と俺のパンツ』にまいりましょう」


三葉「いかがです?」

清水「上述の『だめあね☆☆ 山からブルマがおりてきた』にも当てはまるのですが……タイトルから感じられる『柔らかい印象』にご注目いただきたいですね」

三葉「ほぉ」

清水以前詳しく分析した通り『姉』という漢字の字面は堅い!『妹』と比べて堅苦しく、タイトルにこの字が入っているだけで楽しそうな印象が薄れてしまうおそれがあります

三葉「ふむ」

清水「それに対して、これらの作品は『おねえちゃん』、『ねーちゃん』、『アネ』、『あね』……いかがでしょう?ひらがな、あるいはカタカナ表記を採用することで、柔らかい印象が生まれ、楽しそうな雰囲気が醸し出されていると思うのです。たった1字ではありますが、その1字によって大きく印象が変わることを示す好例といえるでしょう」


【視点⑤】ボケよ!さらば開かれん


三葉「最後に取り上げるのは、『姉は魔法も使えないから、僕が生身で世界を救う。』と、『うちの姉ちゃんが最恐の貧乏神なのは問題だろうか』です」


清水「この2作は、特に三葉さんの一押しということで」

三葉「そう!共通しているのはツッコミどころがある点でしてね」

清水「ふむ」

三葉「まず、『姉は魔法も使えないから、僕が生身で世界を救う。』をご覧ください。すなわち……『僕が生身で世界を救う』って、生身かよ!お前も魔法を使わないのかよ!!……ってね」

清水「あー、確かに」

三葉「次いで『うちの姉ちゃんが最恐の貧乏神なのは問題だろうか』を見ると……『問題だろうか』って、訊くな!問題に決まっているだろ!訊く暇があったら何とかしろ!……とまぁ、こんな具合です」

清水「なるほど」

三葉「いまの時代、Twitterを中心としたSNSに投稿されやすく、そして拡散されやすいタイトルであることが重要です。投稿・リツイートされることで多くの人の目に触れることができるわけですからね」

清水「あなたがかねがね言っている『ツイートされやすさ』 = 『Twitterbility』(ツイッタビリティ。造語)ってヤツですね」

三葉「そうそう!でね、『それではツイートされやすいタイトルとはどのようなものか?』と考えてみると……1つの答えが『ツッコまれやすいタイトル』だと思うのです」

清水「ふむ」

三葉「『堅苦しく隙のないタイトル』に対してコメントせよと言われてもなかなかしんどいものがありますが……漫才のボケのようなタイトルであれば『んなわけあるかいっ!』とツッコむだけで済む。『そうそう!○○で……ってオイ!』とノリツッコミをしてもよいし、単に『www』でもよいでしょう。つまり……超ウルトラ気楽にコメントできるのです!そしてTwitterにおいては、この『脊髄反射的にツイートできること』がとても重要だと思うのです」

清水「なるほど」

三葉「という観点から見ると、この2作がいかに優れているかご理解いただけると思います」


三葉「以上、今後タイトルを付ける際にご参照いただけますと幸いです★」


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 特集「『姉』の研究」(全4回)はこれで終了です。ありがとうございました。

 そして次に注目するのは……○○(兄や弟ではないよ!)。

 どうぞご期待ください★

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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(分析:清水、三葉 / 文、イラスト:三葉)

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