オタサーに入り込んだ「姫」が、サークルをぶっ壊す話!!|『エイリアン』(2)
前回に引き続き、映画「エイリアン」をベースに新しい物語を妄想します。
※「エイリアン」のストーリーなどについては、前回の記事をご参照ください。
妄想開始!
嘉村 それではまいりましょう!
三葉 はい。
嘉村 「エイリアン」は、宇宙船に入り込んだエイリアンが乗員を次々殺していくホラー作品ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……さて!どんな物語にしましょうか?
案①
三葉 まずは、「エイリアン」のストーリーをざっくり確認しておきましょう。
嘉村 ふむふむ。
三葉 さて「案①」ですが……ズバリ!「イケイケのベンチャー企業に入り込んだスパイが、会社をメチャクチャにする物語」です。
嘉村 ほぉ、スパイですか!
三葉 はい。舞台はIT系のベンチャー企業。ノリにノッている会社で、売上も利益も毎月倍々に増えていく。
嘉村 まさにイケイケドンドンですね。
三葉 物語は、1人の男が社内の重要ポストに転職してくるところから始まります。ここでは、彼をA氏と呼ぶことにしましょう。
嘉村 はい。
三葉 それは会社の要となるポストです。本当に信頼できる人にしか任せられない。
嘉村 ふむ。
三葉 社長は、創業当初からサポートしてくれている先輩起業家に、「誰かいい人はいませんか?」と相談を持ちかける。かくしてA氏がやってきます。「あの人の紹介なら間違いない。期待しているよ」と社長は大喜び。
嘉村 なるほど。
三葉 ところが……A氏が転職してきてから、徐々にトラブルが起こり始める。
嘉村 ほぉ。
三葉 例えば、肝煎りのサービスを公開する直前に、ライバル会社からそっくりの発表があったり。
嘉村 ふむ。
三葉 エース社員が次々と引き抜かれたり。
嘉村 ふむふむ。
三葉 さらに、「社長がセクハラしている」だの、「じつは経営危機に陥っている」だのといった根も葉もない噂が広まり、社内に動揺が走ったり。
嘉村 なるほど。
三葉 これはもう、悪意を持ったスパイが潜入しているに違いありません。
嘉村 ふーむ。
三葉 ここで、「案①」を「エイリアン」に即して整理してみましょう。
嘉村 ふむふむ。「『宇宙船』に入り込んだ『エイリアン』が大暴れ!……すべては『主人公らを雇った会社』が仕組んだことだった」という「エイリアン」に対して……。
三葉 はい。「案①」は、「『会社』に入り込んだ『スパイのA氏』が大暴れ!……すべては『A氏を紹介した先輩起業家』が仕組んだことだった」という物語です。
嘉村 なるほど。
三葉 じつは先輩起業家の会社は、最近あまり上手くいっていませんでした。一方、面倒見てやった後輩はイケイケドンドン。
嘉村 ふーむ。
三葉 さらに社長自身は気づいていなかったものの……会社が大成功を収めたことで、彼のふるまいは傲慢になりつつあったのです。
嘉村 なるほどねぇ。無論スパイは許されることではありませんが……まぁ、先輩起業家の気持ちはわからないでもないですねぇ。……それで、最後はどうなるんです?
三葉 会社がボロボロになる中……社長はA氏がスパイであること、そして信頼していた先輩起業家が黒幕であることを突き止めます。
嘉村 ふむ。
三葉 社長は大変なショックを受ける。
嘉村 でしょうねぇ。
三葉 しかし、自分を信じてついてきてくれる社員のために、そして何よりもお客様のためにへこたれてはいられません。彼は信頼できる社員の助けを得て、A氏によるスパイ行為の証拠を手に入れます。そして先輩起業家に詰め寄る。……かくして事件は解決し、彼の会社は再び成長軌道に乗ったのでした。めでたしめでたし!
案②
嘉村 続いて、「案②」にまいりましょう。
三葉 はい。「案②」は、「とある大学のオタサー(オタク系サークル)に入り込んだ『姫』が、サークルを破壊する物語」です。
三葉 いわゆる「『オタサーの姫』による『サークルクラッシュ』もの」です。
※【注①】オタサーの姫:男性メンバーばかりの「オタク系のサークル」に属する女性メンバーのこと。①数少ない女性であることに加えて、②オタク男性は女性に免疫がないため、まるで「姫」のようにチヤホヤされる……ことを意味する。
※【注②】サークルクラッシャー:大学のサークルのような閉鎖的な小集団内の人間関係を悪化させ、やがて崩壊を招くメンバーのこと。
嘉村 ほぉ。
三葉 舞台は、大学のオタク系サークル。ここでは「アニメ同好会」ということにしておきましょう。
嘉村 ふむふむ。
三葉 萌え萌えの深夜アニメを愛し、みんなで鑑賞してはキュンキュンするオタクたちの巣窟……そんなイメージです。
嘉村 なるほど。
三葉 ある日、いつものように「○○ちゃんは拙者の嫁でござる!」「看過できぬ発言でござる。○○ちゃんは拙者の嫁である!」「ムムッ!」「貴殿ら、いい加減にせよ。見苦しい上に暑苦しい」なんてワイワイやっていると……。
嘉村 アレですね。古いタイプのオタクですね。
三葉 1人の女子大生がやってくる。「あの……アニメ同好会はこちらですかニャ?」。
嘉村 「ニャ」って……。
三葉 つぶらな瞳はキラキラ輝き、柔らかそうな髪が風に揺れている……いかにもいいニオイがしそうだ!女性への免疫も耐性も皆無のオタクたちは呆気にとられて口をパクパクし……やっとの思いで用件を訊く。JDは微笑んで「入会希望ですニャ」。
嘉村 なるほど。
三葉 オタクたちは、「我らは童貞だけの硬派な集団だったはず!婦女子の入会なぞ断固認められん!」「いやいやいや。そんな建前は要らんでござる」「姫キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!!!!」「いやしかし……オタサーに『姫』が入るとサークル崩壊の原因になると聞くから……」「そんなの迷信でござる!それよりも……ううっ!なんといいニオイ!」なんて喧々諤々あって、彼女の入会を認める。
嘉村 ふむふむ。
三葉 「姫」の入会に大喜びのオタクたちですが……。
嘉村 いよいよですね!
三葉 はい。オタクたちの人間関係が悪化していきます。「貴殿、最近『姫』に慣れ慣れしいようだが……」とか、「きっ、昨日『姫』と駅まで一緒に歩いたという噂は本当か!?」とか、「聞き捨てならぬ!なぜ貴殿だけが下の名前で呼ばれておるのか!!」とか、そんな具合にぎくしゃく。
嘉村 なるほど。
三葉 さてここで「エイリアン」になぞらえて、「案②」を整理してみましょう。
嘉村 ……ん!?黒幕が「Aくんの母」?
三葉 はい。「Aくん」というのはアニメ同好会の一員で、本作の主人公です。
嘉村 ふむ。
三葉 そして、事件の背後にいたのは彼の母!
嘉村 ほぉ!
三葉 つまり、こういうことです。「うちの子は、いつまでもアニメにうつつを抜かして……このままでは卒業も就職もできないわ。昔はあんなにお母さん想いのいい子だったのに……そうよ!悪いのはお友だちよ!あの子がこんな風になったのは、悪いお友だちのせいに決まってるわ!あの子はいい子だもの!」。
嘉村 ふーむ……ややサイコパス感のあるお母さんですねぇ。
三葉 かくしてAくんの母は、知人の娘さんにいくばくかのカネを渡し、サークルのクラッシュを依頼したのです。それが「姫」です。
嘉村 つまり、「姫」はバイト感覚でサークルをクラッシュしていると。
三葉 その通りです。
嘉村 そして、そうとも知らぬオタクどもは「姫」を巡ってぎくしゃくしていると。
三葉 おっしゃる通りです。
嘉村 何やら哀れですね……。物語はその後どうなるんです?
三葉 物語の中盤、Aくんは真相にたどり着きます。何ということか!いまや、あの楽しかったサークルはボロボロ。会員たちは疑心暗鬼になっています。
嘉村 ええ。
三葉 はてさて、そんな中でAくんは何を望むのか?……無論、あのオタクの巣窟を再生することです。
嘉村 ふむ。
三葉 そのためには、「姫」に夢中になっている会員たちの目を覚まさせねばならぬ。……かくしてAくんの孤独な戦いが始まります。Aくんは「姫」がクソな悪女である証拠を掴むべく、彼女を尾行したり、盗聴したりします。
嘉村 なるほど。
三葉 「姫」を尾行する中で初めてクラブに入ってドギマギしたり、「姫」の仲間に見つかってボコボコにされたり……物語後半は、Aくんがオタサー再建のために命を懸け、成長していく物語ですね。
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(担当:三葉)
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