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ダジャレを口にした者には制裁を!【ギャグ解説】|100%空気通信

 「100%空気通信」は、クリエイティブ・ユニット「100%エア」の活動レポートです。


今回のテーマ


 今回取り上げるのは、短編コメディ小説「変なカフェに入ってしまった話www」

 作者自身が、「作品の構造」や「ギャグの狙い」をご説明します。


 今後、コメディ作品、ギャグ作品を創作する際のヒントになれば幸いです!


「変なカフェに入ってしまった話www」を読んでみよう!


 まずは、短編コメディ小説「変なカフェに入ってしまった話www」をご覧ください


※想定読了時間:3分

※注:「100%エア」のnoteや、Twitterに掲載しているものと同内容です。既にご覧いただいている方は読み飛ばしてください。










【トピック①】本作の構造


 本作は、「1つのシチュエーションと、それに対する複数のボケ」からなる「大喜利」(正確には「大喜利」の中でも「とんち」)型の作品です。


・ベースとなるシチュエーション:オシャレなカフェで「ハンバーグセットとアイスコーヒー」を注文したところ、店員から予想外の言葉(= ボケ!)が返ってくる。

・ボケのパターン:6種類(パターン1~6)


【トピック②】ダジャレを口にした者には制裁を!


 まずは、「ハンバーグだけに味もグーなんでしょ?」(パターン1)

 これは、ハンバーグの「グ」と、「グー」(Good)を掛け合わせたダジャレです。


 ところで、ダジャレの別名は「オヤジギャグ」。

 ギャグの中でもくだらないもの、幼稚なもの、センスのない人が口にするもの、知的ではないものとして扱われることが多いかと思います。


 そしてこの「ダジャレ = くだらないもの」という認識を逆手に取ったのが、「ダジャレを口にした者が制裁を受ける」というギャグです。


 典型例は「こち亀」の大原部長や屯田五目須署長でしょうか。

 彼らが「金曜日はフライデー」、「布団が吹っ飛んだ」なんてダジャレを口にするたびに、周囲から呆れられ、憐れまれ、ひどい扱いを受けるというのは、後期「こち亀」にたびたび登場する定番ネタです。


 つまり、「ダジャレ」そのものは笑えないが、「ダジャレを言ったキャラが制裁を受けるシーン」は笑えるというわけです。


 パターン1は、「主人公が、ダジャレを口にしたことで店員から無視されてしまう」という点で、この「ダジャレ → 制裁」タイプのギャグに該当すると言えるでしょう。


【トピック③】間違った換言


 次に、「ご注文は、茶色いのと黒いのですね、色で言うと」(パターン4)

 これは、「間違った換言」とでも呼ぶべきギャグです。


 「換言」とは、「一度言ったことを、よりよい言葉に置き換えて改めて言う」レトリック(技法)です。

 例えば、「彼はこの会社のトップ、つまり社長だ」「彼女は金メダリスト。したがって世界で一番足が速い」


 わざわざ言い換えるのは、よりわかりやすくしたり、より強調したりするためです。


 さて改めてパターン4を見ると、「ハンバーグセットとアイスコーヒー」を「茶色いのと黒いの」と言い換えていますが……お気づきでしょうか。

 本来の「換言」とは違って、むしろわかりづらくなっている。これがポイントです。

 そして、この「間違った換言」に対して、「それ、言い換える必要ある?」なんて具合にツッコミを入れる……かくしてボケとツッコミが完成するのです。


※余談①:パターン4では料理を「色」に換言していますが、他にも「素材」に換言する(「ご注文は、牛と豚と豆ですね、素材で言うと」)なんてのも一案でした。

※余談②:私は井上ひさしさんのファンなのですが、氏の作品、例えば「喜劇役者たち」「吉里吉里人」では、この「間違った換言」が正気とは思えぬレベルで多用されています。未読の方は、氏の「言い換え地獄」をぜひ味わってみてください。激推しです!


【トピック④】間違った並列


 最後に、「和風、洋風、台風ですね」(パターン6)

 これは、「間違った並列」とでも呼ぶべきギャグです。


 「1年1組、2組、C組」でも、「日本、アメリカ、中国、大阪」でもいいのですが、同じタイプ・ジャンルに属するものを次々並べているように見えて(= 並列)、じつは仲間はずれが入っている。これは、その「はずれ具合」が笑いの源泉となるギャグです。


 そしてこのタイプのギャグは、「単に『語呂や字面は似ているが、タイプ・ジャンルは異なる言葉』を並べるだけ」でも成立するのですが……そこに何らかの「意味」があるとなお面白くなると思うのです

 「意味」とは何か?ご説明しましょう。


 例えば、前掲の「日本、アメリカ、中国、大阪」。

 これを大阪人が口にすれば、「大阪は、日本の他の土地とは違うんや!ボケ・ツッコミも使いこなせないつまらん連中め!」という「選民意識」が浮かび上がってくる。そこに笑いが生まれます。

 逆に非大阪人、例えば東京人が言った場合には、「大阪は……まぁ、特殊だからね。あいつら、いつもタイガースのことばかりで話通じないんだもん……」という「差別意識」が浮かび上がる。だから、思わず笑ってしまうのです。


 さて、改めてパターン6をご覧いただくと……「和風、洋風、台風」。

 一見すると単なる言葉遊びですが、直後に店員が「ハンバーグの脇に、L字型にソースをかけるタイプですね」と言う。

 つまり、クソくだらないダジャレに見えてしっかり「意味」があるのです。

 単なる語呂合わせに終始していない点は、なかなかどうして評価されてもよいのではないでしょうか(と作者としては思ったり)。



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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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