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ニンジャ v.s 絶世のブス……あなたはどちらがお好み?|「国内の地名」が付くタイトルの研究(5)

10秒でわかる本記事の要点


「タイトルに『埼玉』が付くラノベ」(12冊)をご紹介。特に、『ニンジャスレイヤー』シリーズと、『Bの戦場』シリーズについて、詳しくご説明する。


「タイトルに『東京』が付くラノベ」(222冊!)を取り上げ、特に刊行数が多い5つのシリーズについて詳しくご説明する。


概要


 本記事は、1975~2018年の44年間に刊行されたラノベの内、「国内の地名」が付くタイトルをピックアップ★徹底分析する特集「『国内の地名』が付くタイトルの研究」の……第5回である!


※注:「『国内の地名』が付くタイトル」とは、例えば以下のような作品を指します。


<特集全体の目次>



第1回:タイトルに「都道府県」が付く作品と、「妹」が付く作品、どちらが多いと思う?

第2回:「秋田県でも恋がしたい!」

第3回:「北海道」ラノベは(大体)Eat or Fight !!

第4回:「全47作★全ての都道府県を網羅したご当地ラノベシリーズ」っていかがでしょう?

第5回(本記事)ニンジャ v.s 絶世のブス……あなたはどちらがお好み?

第6回:大阪らしいラノベって何だ?

第7回:京都を舞台にしたラノベを執筆するあなたのためのパーフェクガイド★

第8回:「奈良」ラノベを志すあなたには、「京都」ラノベが参考になるかも

第9回:【総まとめ】「タイトルに『国内の地名』が付くラノベ」のススメ


第1回からご覧になることをオススメします★


前回の振り返り


三葉「さて」

清水「はい」

三葉関東地方の中で、ラノベのタイトルに登場する県は以下の通りですが……」



三葉前回はこの内、『<茨城・群馬・千葉>が付くタイトル』をご紹介しました」

清水「ふむ。以下の3冊でしたね」



三葉今回は残りの2つ……すなわち、『<埼玉・東京>が付くタイトル』をご紹介してまいります」

清水「承知しました」


「埼玉」タイトルに迫る★


三葉「それではまずは、『<埼玉>が付くタイトル』の一覧を見てみましょう……こちら!」



三葉「全部で12冊!」

清水「ふむ」

三葉「ただ、その内『ニンジャスレイヤー』シリーズと、『Bの戦場』シリーズが5冊ずつ、計10冊を占めています

清水「ええ」

三葉「つまり、シリーズものをまとめてカウントすると『4作』ということになります」

清水「なるほど」

三葉「さて!『埼玉』タイトルの大半を占める『ニンジャスレイヤー』シリーズと、『Bの戦場』シリーズの内容を見てまいりましょう!


【1】『ニンジャスレイヤー』シリーズ


三葉「まずは『ニンジャスレイヤー』!」


清水「ふむ」

三葉「メインストーリーをざっくりまとめると……ニンジャに妻子を殺された主人公が、『ニンジャスレイヤー(ニンジャを殺す者)』となり、復讐を果たす物語です」

清水「いわゆる『復讐譚』ってヤツですね」

三葉「で、舞台の1つが『ネオサイタマ』という都市なんですが……これは、私たちが知っている『埼玉』ではありません。埼玉県が東京都を含む周辺地域を飲み込んで拡大し、日本の中心地となった……そう、これこそが『ネオサタマ』!

清水「ははぁ……」

三葉「ということでね」

清水「ええ」

三葉「果たしてこれを『<埼玉>が付くタイトル』と言ってよいのか迷いましたが……」

清水「ふーむ、確かに微妙なところですね……」

三葉「少なくとも作者は、実在する『埼玉』を念頭に置いて執筆しているようなので、まぁ、『埼玉』タイトルに含めてよいだろうと判断しました」

清水「なるほど」

三葉「さて、もう少しご紹介を続けると……」

清水「ええ」

三葉「本作の特徴は、その奇妙な世界観・設定だといえるでしょう。先ほどご紹介した『<ネオサイタマ>という都市の設定』がわかりやすい例ですが……じつにユニークですよね」

清水「ふむ」

三葉「本作には、そんな世界観・設定が多数登場します。例えば、『ニンジャ』。これは私たちが知っている『忍者』とはだいぶ異なっていて、大雑把にいえば『異能力バトルに登場する超人』のようなものです」

清水「ほぉ」

三葉「このあたり、細かく見ていくとかなり面白いのですが……キリがありませんので、続きは公式PVでどうぞ★


※補足:字幕付きなので、場合によってはミュートでも結構です。また、「パパッと雰囲気だけ確認したい」という方は、最初の1分だけ視聴すれば十分だと思います。ちなみに、50秒頃から姿を現す都市……これが「ネオサイタマ」です!


【2】『Bの戦場』シリーズ


三葉「続いて、『Bの戦場』シリーズの概要をご紹介しましょう」


三葉「主人公は『絶世のブス』のウェディングプランナー

清水「『絶世のブス』ってすごい表現ですね……」

三葉「一応お断りしておきますと……『絶世のブス』というのは作中の表現でして、公式のキャッチコピーも『“絶世のブス”が贈る、痛快お仕事コメディ!!』となっています」

清水「インパクトがありますね!」

三葉「本作は、そんな彼女の仕事っぷり、すなわち結婚式を控えた風変わりな客たちとのやりとりや、あるいは、やり手で美形で……そしてB専(ブス専)の上司との関係を描いたラブコメです」

清水「ほぉ」

三葉「本年3月には実写映画化されました」

清水「なるほど。……それにしてもアレですね」

三葉「何でしょう?」

清水『<埼玉>タイトルを代表する2つのラノベシリーズが、まったく異なるタイプの作品』というのはちょっと面白いですね

三葉「あー、確かに!」

清水「読者層も全然違いそうですしね」

三葉『ニンジャ v.s 絶世のブス……あなたはどちらがお好み?』なんてね」

清水「……ん?何ですか、それ?」

三葉「いや、私が埼玉で書店を営んでいたら、あるいは埼玉県庁に勤めていたら、もしくは埼玉県知事だったら……そんなキャンペーンを張るなぁと思いまして」

清水「ふむふむ」

三葉「いかがです?」

清水「……いや、『どちらがお好み?』なんて訊かれても困ってしまいますが……とりあえず『埼玉って何かとんでもないところなんだな』とは感じますね」


「東京」タイトルを代表する5作品に注目せよ★


三葉「次は『<東京>が付くタイトルを見てまいりますが……」

清水「はい」

三葉該当するのが222冊!

清水「多い!」

三葉「そうなんですよ。222冊のタイトルをズラズラっと並べてもスクロールするのが面倒なだけだと思いますので……」

清水「ええ」

三葉『2冊以上刊行されているシリーズもの』のみをピックアップして一覧表を作成しました……こちら!」



<補足>

 上記一覧表に掲載した作品の内、「鬼神新選」「8番目のカフェテリアガール」「河童の懸場帖」「機動警察パトレイバー」の4作には「東京」が付いていません……がミスではありません

 これらの作品は、サブタイトルに「東京」が付いているのです。

 例えば「鬼神新選」は、

・「鬼神新選 京都篇」

・「鬼神新選 Ⅱ 東京篇」

・「鬼神新選 Ⅲ 東京篇」

 ……の3冊からなるシリーズ。ご覧の通り、内2冊のサブタイトルに「東京」が付いています


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清水「いやぁ、『シリーズもの』だけでも35作もあるんですね!」

三葉「多いですよねぇ!」

清水「さすが首都!その名に恥じぬボリューム!」

三葉「……ただね」

清水「ええ」

三葉一口に『シリーズもの』と言っても、刊行数は様々です。『全2冊』のシリーズもあれば、『全5冊』、あるいは『全10冊』という長編シリーズもある」

清水「ふむ」

三葉「そして最も刊行数が多い『東京S黄尾探偵団』シリーズに至っては……なんと28冊!

清水「ほぉ!」

三葉「『タイトルに<東京>が付くラノベ』は全222冊ですから、この『東京S黄尾探偵団』シリーズだけで13%を独占しているというね!すごい存在感ですよ!

清水「ふーむ!」

三葉「……といったあたりを整理したのが、以下の図です」



清水「なるほどねぇ!上位5シリーズだけで全体の44%、半分弱を独占しているわけか……

三葉まさに『東京』タイトルを代表する5作品と言えるでしょう」

清水「ふむ」

三葉「というわけで、以下、この5作品の概要をご紹介します。どうぞご参照ください!」


【1】『東京S黄尾探偵団』シリーズ

 黄尾高校の保健室に支部を置く探偵団「東京S黄尾探偵団」(「トーキョースーパーイエローテール」と読む)の活躍を描いたアクションコメディ。

 「探偵団」ではあるが、やっていることはビルの爆破や銀行の襲撃などなど……事件解決のためには何でもする面々が揃っている。

 全28冊で2005年に完結。


【2】『東京ANGEL』シリーズ

 暗殺や諜報など、表には出せない仕事を引き受ける秘密組織……主人公はその暗殺セクションに籍を置く高校生。

 彼らの「仕事」ぶりや、学園生活を描いたアクション作品である。

 全25冊で2005年に完結。


【3】『東京レイヴンズ』シリーズ

 現代の東京を舞台に、陰陽師(作中では「闇鴉(レイヴン)」)を目指す少年たちの活躍を描いたファンタジー。

 2013年10月~2014年3月にアニメが放映された。

 既刊20冊。


【4】『東京皇帝☆北条恋歌』シリーズ

 独立国家「東京帝国」(現在の東京と同エリア)を舞台としたラブコメ。

 いわゆる『ハーレムもの』で、皇帝(タイトルの「北条恋歌」のこと)や、宰相、軍の司令長官、そして主人公の妹などがヒロイン役として登場する。

 全13冊で2014年に完結。


【5】『東京タブロイド』シリーズ

 舞台は昭和29~30年の東京。

 オカルト記事ばかり扱うタブロイド紙「東京タブロイド」を発行する「東京社会新聞社」の面々が活躍するミステリ。

 全12冊で2004年に完結。


 ……以上★

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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(分析:清水、三葉 / 文、イラスト:三葉)

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