老婆は、アイドルになるために宇宙へ旅立った!!|『コクーン』(2)
テーマ発表!!
前回に引き続き、映画「コクーン」をベースに新しい物語を妄想します。
※「コクーン」のストーリーなどについては、前回の記事をご参照ください。
妄想開始!
嘉村 それではまいりましょう!
三葉 はい。
嘉村 「コクーン」は、老人ホームに住む老人たちが、とある目的で地球にやってきた宇宙人と出会い、「若返り」、そして「不死」の願いを叶えてもらうSF作品ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……さて!どんな物語にしましょうか?
案①
三葉 まずは、「コクーン」風の物語を作る時に注意すべきポイントを確認しておきましょう。
三葉 ……ですね(より詳しくは前回の記事で)。
嘉村 なるほど。
三葉 さて、ここからは「『コクーン』をリスペクトした物語」のアイデアを考えてまいりますが……。
嘉村 ええ。
三葉 宇宙人、超能力者、異世界人、未来人、魔法少女、魔法使い、地底人などなど、「特殊能力者が私たちの住むこの世界にやってきて、一般人の望みを叶えてくれる」という「コクーン」風の物語は、古今東西無数に存在しています。
嘉村 ふむ。
三葉 わが国に限っていえば、「『ドラえもん』などの藤子・F・不二雄氏作品」、そして「『魔法使いサリー』を始祖とする魔法少女もの」が代表例でしょう。
嘉村 ふむふむ。
三葉 「それでは類似作と比べた時に、『コクーン』にはどのような特徴があるだろうか?」と考えてみると……主人公が「老人ホームに住む老人たち」である!これだと思うんですよね。というのも、このタイプの作品では、主人公は往々にして若者ですから。
嘉村 確かに、「ドラえもん」も「魔法使いサリー」も小学生の物語ですね。
三葉 ということで今回は、「『老人を主役に据えた物語』のアイデア」を考えてみましょう!
嘉村 承知しました。
三葉 さて以上を踏まえて「案①」ですが……ズバリ!「宇宙人の力で亡き妻を生き返らせた老人が、妻と気兼ねなく過ごすために宇宙へ旅立つ物語」です。
嘉村 ほぉ!
三葉 「コクーン」では、主人公らは自身の「老い」や「病気」に悩み、非現実的な願いだと知りつつも「若返り」を望んでいました。
嘉村 ふむ。
三葉 それに対して、「案①」の主人公は妻に先立たれた老人です。普段は元気な彼ですが、心の中では「妻が生き返ってくれればどんなに素晴らしいことだろう」と思っている。そんなある日、とある目的で宇宙人がやってくる。そして宇宙人は、意図せずして主人公の望みを叶える。……「宇宙人が『どんな願いでも叶えてくれる魔法のランプ』を落とし、主人公がたまたまそれを拾った」とか、そんな展開ですね。
嘉村 ふむふむ。
三葉 こうして、主人公の妻は蘇る。主人公は歓喜する。初めは戸惑っていた妻も、主人公が事情を説明すると「あなたは本当に私を愛してくれていたのね」と喜ぶ。一見これでハッピーエンドに思えますが……。
嘉村 ええ。
三葉 話はまだ終わりません。一度は死んだ人間が蘇っただなんて、誰1人として信じてくれないのです。「アイツ、頭がおかしくなったのでは!?」「亡くなった奥さんに似た女性を連れ込むなんて……趣味が悪いわねぇ」「まったくこれだから男ってのは……」と酷い言われようです。
嘉村 ふーむ。
三葉 主人公は、「周りがどう言おうと放っておけばいいさ」と思っていたのですが……妻は傷ついている様子。そして、間もなく2人は引きこもりがちになる。妻は、終始寂しそうな表情を浮かべている。一方の主人公も、「生き返らせない方がよかったのではないか」と落ち込んでしまう
嘉村 せっかく生き返ったのにかわいそうですねぇ……。
三葉 ところで……主人公夫婦と宇宙人は、妻が生き返って以来親しく付き合っていました。
嘉村 ふむ。
三葉 人の心を解す宇宙人は、苦悩する老夫婦を放っておくことができず、「私たちと一緒に来ないか?我らの母星では、きみたちも人目を気にせず過ごせるだろう」と提案する。
嘉村 なるほど。高齢者が、慣れ親しんだ地球を離れるのは大変でしょうが……その方がいいのかも。
三葉 かくして主人公と妻は、宇宙人とともにUFOに乗り込み、空の彼方へと消えていったのでした……で、おしまいです。
嘉村 ふむふむ。
三葉 さて、以上のストーリーを「コクーン」と比較する形で整理してみましょう。
三葉 ご覧の通り、主人公の「望み」こそ異なりますが……「コクーン」と「案①」は、設定もストーリー構造も共通しています。
案②
嘉村 続いて、「案②」にまいりましょう。
三葉 はい。「案②」は、「宇宙人の力で美声を手に入れた老婆が、アイドル歌手になるために宇宙へ旅立つ物語」です。
嘉村 アイドル!
三葉 早速ですが、「コクーン」と比較してみましょう。
三葉 こちらも、基本的な設定やストーリー構造は「コクーン」と同じです。
嘉村 ふむふむ。
三葉 ストーリーをご紹介しましょう。……「案②」の主人公は老婆です。彼女は、若い頃からアイドル歌手になることを夢見ていましたが……いまとなっては実現困難と言わざるを得ない。
嘉村 確かに。
三葉 そんなある日、宇宙人がやってくる。そして、偶然主人公の望みの一部を叶える。すなわち……主人公は美声を手に入れたのでした。
嘉村 なるほど。
三葉 主人公は歓喜し、老人ホームのパーティや、商店街のお祭りなどで歌を披露する。喝采を浴びる内に意欲が湧いて来る「私、アイドルになりたい!」。彼女はオーディションを受けようとするが……残念!年齢制限に引っ掛かってしまう。
嘉村 まぁ、そうでしょうねぇ……。
三葉 それならばと、ツテを辿って音楽プロデューサーに接触するが、鼻で笑われてしまう「ぷぷっ……冗談でしょ?」。
嘉村 ふーむ……。
三葉 主人公は落ち込む。若さ!若さ!若さ!あと60歳若ければ!!……そんな主人公を見て、親しくなった宇宙人が提案します「私たちと一緒に来るかい?宇宙には様々な文明がある。きみがアイドルとして活躍できる場所もきっとあるだろう」。
嘉村 ほぉ。
三葉 かくして老婆は、夢を実現すべく宇宙へ旅立っていきました……で、おしまい!
嘉村 なるほど。
三葉 いかがでしょう。高齢者が主人公を務める物語は、得てして暗くなりがちですが……「案②」は前向きなラスト!これがいいと思うんですよね!
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(担当:三葉)
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