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ヒビキの魅力は、ずばり「ギャップ」である!|『あんハピ♪』(5)

 本記事は、アニメ「あんハピ♪」を徹底分析する特集の……第5回である★


第1回からご覧になることをオススメします!


今回のテーマ!


 ここまで、はなこ(第2回)、ヒバリ(第3回)、ぼたん(第4回)の人となりをご紹介してきた。


 今回は……ヒビキ

 彼女の「4つの特徴」や、「ギャップ」に注目する。


※ヒビキ。


ヒビキは方向オンチ……なのだろうか?


 「あんハピ♪」は、様々な「不幸」を抱えた女子高生たちの日常を描いた作品だ。

 そこで、まずはヒビキがどのような「不幸」を抱えているか確認しておきたい。


 作中、彼女の「不幸タイプ」は「方向オンチ」と説明されている。


 アニメやマンガには、しばしば方向オンチのキャラが登場するが……ヒビキほど強烈なのは珍しい。

 何しろ、「毎日登校するたびに道に迷い、学校に到着するまでに3時間もかかる」、「右の方に校舎が見えるのに、なぜか左に向かって歩き出す」という具合だ。


※余談:多くの視聴者が感じたことだと思うが……果たしてこれは「方向オンチ」と言えるのだろうか?何か重大な障害を抱えているようにしか思えないのだが……。


「あんはぴ♪」におけるヒビキの役割


 続いて確認したいのは、「ヒビキは『あんハピ♪』内でどのような役割を担っているのか?」ということだ。

 「役割」とは、例えば「主役」、「主役のサポート役」、「主役のライバル」などを指すが……ヒビキの役割は以下の2つに整理できるだろう


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第1の役割


 物語冒頭、ヒビキは、主役・ヒバリ(や、ヒバリと一緒にいるはなこ、ぼたん)を敵視する「妨害者・ライバル」として登場する。


※右上:「妨害者・ライバル」時代のヒビキ。


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第2の役割


 「妨害者・ライバル」として登場したヒビキ。

 しかし、なんだかんだとヒバリらと交流する内に彼女の態度は軟化していき……物語中盤以降(私見では第6話以降)は、「主要5人組の1人」として活躍するようになる。


※下:仲よし5人組。


ヒビキの「4つの特徴」


 さてここからは、ヒビキというキャラの人物像を見ていこう!


 結論から申し上げると……彼女の性格的・内面的特徴は、以下の4つに集約できるだろう。



 つまり……「あんハピ♪」におけるヒビキの言動は、この4つの特徴ですべて説明可能だ。

 具体的なエピソードを踏まえつつ、詳しくご説明していこう。


※OPの「きららジャンプ」でも、やたら気の強そうなポーズを披露するヒビキ。ちなみに、「けいおん!」の唯い似ている。


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【1】ヒビキが、ヒバリを敵視するようになったきっかけ


 まず……上述の通り、ヒビキは「ヒバリを敵視する『妨害者・ライバル』」として登場したのだが、はて。

 一体、なぜ敵視するようになったのだろうか?


 高校受験の日……ヒビキは、案の定道に迷っていた(第1話)。

 彼女は偶然通りかかったヒバリに声をかけ、道を尋ねる。


 ヒバリは親切に教えてやる。

 だが、そこは「方向オンチ」のヒビキである!

 ヒバリが教えてやったのとはまったく逆の方に歩いて行ってしまう。


 なんとか試験には間に合ったものの……ヒビキはヒバリに恨みを抱くようになる。

 すなわち、「ヒバリの意地悪によって、最愛のレンと同じ高校に進学できなくなるところだった!あのヤロー、許さん!」というわけである。

 なお言うまでもなく、これはヒビキの勘違い(というか「被害妄想」)である。ヒバリに落ち度はない。


 以上を、上述の4要素に即して言うと……ヒビキは、【レンに対する恋愛感情】と【アホで、負けん気が強い】ゆえに、ヒバリを敵視するようになったというわけだ。


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【2】ヒビキは、ヒバリに復讐しようとするが……


 こうしてヒビキは、ヒバリに恨みを抱くようになった。

 そして、ヒバリ(や、いつも彼女と一緒にいるはなこ、ぼたん)を敵視するのだが……これがどうにも手ぬるいのだ!


 例えば……ヒバリがパスケースを落とし、偶然ヒビキが拾ったときのことである(第5話)。


 ヒバリのパスケースには、「工事現場の看板のイラスト」の写真が挟んである。

 かくしてヒビキは、ヒバリが「『看板のイラスト』に恋する変人」だと知る。


 ……ヒバリの秘密を握ったのである!

 恨みを晴らす好機の到来である!

ヒビキ「思わぬ形で面白いものを手に入れた。これは使えそうだ!」


 ……が、ビビキは考える。

 上述の通り、ヒビキはレンに恋愛感情を抱いている。

 一方、ヒバリは「看板のイラスト」に恋をしている……つまり、ヒビキの「レンに対する気持ち」と、ヒバリの「看板のイラストに対する気持ち」は同じものだと言えるだろう。

 そして……ヒビキは思う。「私は『レンに対する気持ち』を汚されたら不愉快だ。それはヒバリも同じではないだろうか?」


レンが訊く「雲雀丘さんに何かするつもりなの?」

ヒビキ「……これは使わん。ヤツにはいずれ報いを受けてもらう。……だが、もし自分の中の一番の気持ちに土足で踏み込まれたりしたら、ヒビキだったらすごく嫌だ。だからこれは使わん!」

 かくしてヒビキは、「いまそこで拾った。中身は見ていない」とウソをつき、ヒバリにパスケースを返してやるのだった。


 以上を、上述の4要素に即して言うと……ヒビキには土台復讐なぞ無理なのだ。彼女は、復讐するにはあまりにも【人がいい】のだから。


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【3】気がつけば仲よし5人組になっていたが……


 このように、ヒバリらを敵視しつつも復讐するには至らず、むしろ時には親切にしてやったり、あるいはされたりしている内に……ヒビキら5人はいつも一緒に行動するようになる


 おそらく、ヒバリらはヒビキを友だちだと思っているだろう。

 しかし……ヒビキはどうだろう?


 例えば、遠足に行ったときのこと(第6話)。

 ヒビキら5人が弁当を食べる。


 ヒビキはお手製のサンドイッチを取り出し、一口食べる。

 ……彼女は料理下手である。

 そのあまりの不味さに、ヒビキの顔が真っ青になる。


 誰の前にも失敗作であることは明らかだ。

 それを見たヒバリが微笑んで「一緒に食べない?」。

 ヒビキは「とんでもない!」といった様子で目を剥くが……次の瞬間彼女の腹が鳴る。


 ヒビキが頬を赤くする。

 ヒビキはそれでも強がり、「敢えてその手に引っかかってやろう」なんて訳のわからぬことを呟きながらヒバリの弁当に手を伸ばすのであった。


 ……おそらく、ヒビキもまたヒバリらを友だちだと思っている。

 だが、上述の4要素に即して言えば、彼女は【恥ずかしがり屋で素直になれない】子だ。

 だから、強がってしまうのだ。


※右下:仲よし5人組。


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 以上、ヒビキの言動が、上述の4要素(①レンに対する恋愛感情、②アホで、負けん気が強い、③人がいい、④恥ずかしがり屋で素直になれない)で説明可能なことをご理解いただけたと思う。


ヒビキの魅力は「ギャップ」!


 最後に、ヒビキの「魅力」を考えてみたい。


 彼女の魅力を一言で言えば……すなわち「ギャップ」だろう!


 ここで言う「ギャップ」は、「そのキャラが、大きく異なる顔を持っている」という意味だ。

 「いつもはクズのような不良なのに、雨に濡れる捨て猫は放っておけない少年」なんてのがわかりやすい例である。


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 で、ヒビキだ!

 彼女は、「あんハピ♪」内で最も大きなギャップを抱えたキャラである。


 上述のエピソードを、改めて整理してみよう。

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 【アホで、負けん気が強い】のでヒバリを恨むが、【人がいい】ので復讐はできない……という「ギャップ」!

 【人がいい】のでいつの間にかヒバリらと仲よしになっているが、【恥ずかしがり屋で素直になれない】ので、ヒバリらに友だちとして扱われると赤面したり、「敢えてその手に引っ掛かってやろう」なんて訳のわからぬことを呟いてしまったりする……という「ギャップ」!

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 そして!

 「ツンデレ」という例を出すまでもなく、私たちはギャップを抱えたキャラが大好きだ。


 以上のことから、ヒビキの魅力はその「ギャップ」にあると思うのだ!


※ヒビキの表情は「強気で自信満々な顔」と「恥ずかしそうに赤面した顔」に大別できる……このギャップである!


※補足:「ギャップのあるキャラ」は魅力的だが、それでは「ギャップのないキャラ」に魅力がないかというと一概にそうは言えない。本作で言えば……はなこ!彼女は徹頭徹尾ポジティブシンキングで、ギャップが見当たらない。しかし、そのどこまでも真っすぐな楽天性に魅かれた視聴者は少なくないだろう。



明日に続く★

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(担当:三葉)

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