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「水着回」についての4つの議論

アニメやマンガにおいて、登場人物がやたらめったら水着にな(りたが)るエピソード、すなわち「水着回」。本記事では「水着回」にまつわる4つの議論をご紹介します。クリエイターのみなさんの創作・制作に役立てば幸いです。

▶ 登場人物のご紹介

・清水:毎年100本以上のアニメを視聴し続けて20余年。アニメ界の生き証人。ちなみに、2018年に放映されたアニメの中で最も萌えたのは『ハイスコアガール』の大野晶さん。詳しくはこちら

・三葉:アニメ初心者。清水とは中学時代からの付き合い。


議論1:尻を出したらおでこを隠せ

三葉ここまで議論してきた通り、『からかい上手の高木さん』の水着回『プール』は実に見事なエピソードですね」

清水「はい、実に見事でした」

三葉「……が、私、敢えてここで1つ提案してみようかな、と」

清水「ほぉ。一体全体何事ですか?」

三葉「ええ……そもそも高木さんはおでこを丸出しにしたキャラです。と、申しますか、原作マンガの著者である山本崇一朗さんのキャラには概ねこの傾向があって、巷では山本さんを『おでこフェチ』なぞと呼ぶ向きもあるようです」

清水「ふむ」

三葉「例えば、山本さんがpixivにアップしているイラストやマンガをご覧ください」

※備考:山本さんは、pixivでは『生醤油うどん』という名前で活動されています。

三葉「いかがですか?もうね、おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこ。おでこの嵐ですね」

清水「おぉ、これはこれは……」

三葉「私、元々おでこにはあまり興味がなかったのですが、今や女性といえばおでこ。すっかり山本さんの作品に教育された次第で、そんな私からすれば山本さんのイラストやマンガは神。ザ・バイブル。神がこの世に遺した痕跡。『嗚呼、天国はここにあったのか』と思わず声を漏らしてしまったり。特に『将棋のやつ』というマンガは『からかい上手の高木さん』に勝るとも劣らぬ……というか勝っている気がしてならない傑作ですので、是非みなさんにもご覧いただきたいと、強く切望いたします」

清水「承知しました」

三葉「さて……話を戻しますと、『プール』というエピソードでは常時おでこを丸出しにしている高木さんが、太もも、うなじ、脇なども露わにするわけですが、さすがにこれはやりすぎといえなくもないのではないかと思うのです」

清水「うーむ」

三葉「端的に言って、スク水(スクール水着)姿になり、太ももなどを丸出しにしたところで、それと入れ替わりにおでこを隠すのも一興なのではないか、と」

清水「ふーむ」

三葉「普段隠していた部位が露わになる……興奮しますね。その上、普段見えている部位が隠れる……興奮の二乗、大興奮になるのではないか、と。名付けて、『尻を出したらおでこは隠せ』!」

清水「どのようにしておでこを隠すことを想定されていますか?」

三葉水泳帽をかぶせるのがよいでしょう」

清水「ふむ。大変チャーミングな高木さんのおでこを隠してしまうことには抵抗感がありますが……確かに『特別感』は増すかもしれませんね。一考の余地はありそうです」


議論2:鳥肌少女

清水「今回のディスカッションに備え、改めて『からかい上手の高木さん』を視聴したわけですが……いやぁ、いつもながら西片が羨ましいですね」

三葉「全くです。私もあんなチャーミングな女性にからかわれてみたかった。自分の中学時代を振り返ってみると……うーむ。振り返るべきではありませんでした」

清水「まぁ、誰しも似たようなものですよ」

三葉「ええ、たいていの男性にとって、中学時代なぞ悪夢以外の何物でもありませんからね」

清水「私の場合は……プールの授業で覚えているのは、大変寒かった日のことですね。あまりの寒さに頭が痛くなってくるは、女子生徒は大半が見学しているは、まったく嫌な思い出です」

三葉「実際のプールの授業なんてそんなものですよね……あっ、そんなストーリーもよいですね」

清水「何でしょうか?」

三葉鳥肌少女ですよ、鳥肌少女

清水「……はぁ?」

三葉「いえね、世の中には鳥肌好きな人もいると思うのです。そこで、あまりの寒さに震えるヒロイン。その腕、足、そして首筋には鳥肌が立っていて……という水着回はどうかなと思いまして」

清水「鳥肌がよいかどうか私には判断がつきませんが……少々お待ちください。想像を膨らませてみますね。……なるほど。確かに寒さに震える女子はかわいいかもしれませんね


議論3:スク水はブルマに似ているのか?

三葉「『からかい上手の高木さん』の水着回『プール』には、高木さんがハーフパンツを脱ぎ、スク水姿になるシーンがありますね」

清水「ええ。『プール』の山場の1つですね」

三葉「その際、高木さんの股の当たりがアップになるのですが、初見時には、私、高木さんがブルマを着用していると誤解してしまいました」

清水「ああ、私もです」

三葉「そうでしたか。スク水の腰から下だけを見ると、ブルマそっくりだというのは1つの発見でした」

清水「いえ……そう結論づけるのは早計かもしれません。おそらくこの勘違いは、アニメにおけるブルマの描き方に由来するものです」

三葉「とおっしゃいますと?」

清水「アニメに登場するブルマは、往々にしてきわどく描かれており、すなわち実物よりも露出面積が広くなっています。その結果、スク水と混同してしまうのでしょう」

三葉「なるほど。実物はそこまで似ていない、と」

清水「ええ、その通りです」

三葉「ストーリーを追うと……ハーフパンツを脱いだ後、高木さんはベンチから立ち上がり、シャツも脱ぎます。ここに至って、我々がブルマだと認識したのは勘違いであって、実際にはスク水だということが判明します」

清水「ええ」

三葉「清水さんにお伺いしたいのですが……演出という観点からして、スク水をブルマだと誤解させるのは正しいことだったのでしょうか?それとも失敗でしょうか?

清水「もしこの勘違いが、制作者が意図的に引き起こしたものだとすれば……という前提で申し上げますが、実に正しい演出だと思いますよ」

三葉「ほぉ」

清水「ブルマには、スク水とはまた別のドキドキ感がありますからね。通常の水着回にはないお得感といいますか……1粒で2度おいしいといいますか……一瞬とはいえ、『もしやブルマ!?』という勘違いが視聴者の胸をざわつかせたことは間違いないでしょう。色っぽさか求められる水着回においては、素晴らしい演出だったと思います」


議論4:スク水の似合うキャラ、似合わないキャラ

清水「私、今回のディスカッションのために、およそ1年ぶりに『からかい上手の高木さん』を見直しましたが、いやぁ、高木さんは随分デフォルメされたキャラだったんですね。思った以上に幼児体型で、少し驚きました。『苺ましまろ』を彷彿とさせるスタイルですよね」

三葉「確かに高木さんは幼児体型ですね。しかし、いかがでしょう。高木さんは中学1年生ですからね。幼児体型でも違和感はないかと思いますが……」

清水「……ああ、そうでした。……いや、その通り。私の勘違いでした。というか、私の目が腐っておりました

三葉「……」

清水「中学1年生は幼児体型で当たり前ですよね。他のアニメのキャラデザがおかしいだけでした」

三葉「ああ、なるほど。確かにアニメやマンガには中学生とは思えぬ体型をしたキャラがゴロゴロいますからね」

清水「ええ。高木さんが正常なのでした」

三葉「ところで少し話は変わりますが……」

清水「ええ」

三葉「私、スク水が最も似合うアニメキャラは『とらドラ!』の大河(逢坂大河)だと考えております」

清水「ふむ。言わんとすることはよくわかります。スク水はあれくらい背が小さくて、幼児体型のキャラの方が似合いますね

三葉「そしてまた、私はこうも考えます。すなわち、スタイル抜群のキャラはスク水を着用すべきではない、と」

清水「うーむ、まったく同感ですね。私、たとえ学校の授業であろうとも、キャラごとに相応しい水着を着せるべきだと常々考えていました。一律にスク水を着せるのはどうかと思います」

三葉「異議なし!……さて、ここで1つ例をあげさせていただきます」

清水「どうぞ」

三葉「私、アニメ『中二病でも恋がしたい!』の大ファンでして……」

清水「はい、よく知っていますよ」

三葉「アニメ第1期の第5話『束縛の…十字架ハード・スタディ』が水着回に該当します。といっても主人公たちが水泳をするのではなく、プール掃除をするんですね……スク水姿で。私、このシークエンスにどうしても違和感がありまして、それはすなわち、モリサマー(丹生谷森夏)や、くみん先輩(五月七日くみん)がスク水を着用している点です。彼女たちは胸が大きなキャラです。スク水が似合っているかというと、私は首をひねらざるを得ない。いや、無論彼女たちのスク水姿は大変に魅力的です。しかしここはジャージー姿でよかったのではないかと感じずにはいられないのです。何というか……『確かに見たい』、しかし同時に『見たくなかった』。そんな心境でして……」

清水「そのジレンマ、実によくわかりますよ」

三葉「スク水の似合う体型という点では、小鳥遊六花がギリギリ限界だと考えております」

清水「なるほどなるほど。その意味で、高木さんの幼児体型は非常にスク水との親和性が高く、違和感は皆無でしたね」

三葉「おっしゃる通りです」


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 以上です。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

 では、次回の記事でまたお会いしましょう。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

(分析:清水、三葉 / 文、イラスト:三葉)

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