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パステル作品を守るために…定着液のこと

粉が落ちやすいパステル画にとって、定着の問題は、唯一未解決の問題であり、理想的なフィクサチーフ(定着液)はいまだ作られておりません。
それ故、フィクサチーフの使用にあたっては、充分に検討、研究の上、慎重に用いて下さい。

フィクサチーフの何が問題か?

フィクサチーフをかけるとパステルを定着できますが、絵が「暗く」なります。これは、色が変わるということではないと考えます。また、表面に膜ができて、パステル独特の美しいマチエールが失われてしまいます。油絵のように表面がツルリとしたマチエールの場合は、変化による問題は起こりません。

また、パステル画の場合も、暗い絵の場合は、比較的気になりません。

©︎TOUICHI WATANABE

パステル画が明るいとかやわらかいとか言うのは、色粉に当たる光の乱反射による光量の増大と、光の当たり方の不定向性によるものと考えます。


フィクサチーフの使い方

フィクサチーフは使用すると絵が暗くなってしまいますが、作品の色により暗くなる程度に違いがあるようです。
吹き付ける量を粉が落ちない程度に最小限にとどめるのも一つの方法です。

また、フィクサチーフで定着させた画面の上にパステルで重ね描きができるので、面白い使い方ができるかもしれません。


©︎TOUICHI WATANABE

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