大川隆法総裁先生　書籍・人生の王道を語る　参照です。

本章は、みなさん一人ひとりの心の問題をテーマにしたいと思います。現在、人生の学びをすすめている各人が、いかなるテーマを担って、今後どのように生きてゆかなければならないのかという、ごくごく基本的な内容の話です。

私たちは、「幸福の科学」という名前で示されるとおり、一言で言うならば、人類が長年追い求めてきた「幸福」というテーマを探求しています。そして、「科学」と題されている理由は、その幸福を小さな世界に閉じ込めることなく、豊かな世界に、すべての学問の領域に、そして人間の営みのなかに、我らが考えと、我らが行動を解き放たんとしているためなのです。

それゆえに、私たちの考える、「幸福」というものは、ひじょうに大きな範囲を占めていることになります。しかし、出発点はやはり一人ひとりの人間なのです。

さて、みなさん一人ひとりは、どういうときに幸福をみずからのものとして実感することができるのでしょうか。それを正直に考えていただきたいと思います。私たちは、ともすれば外なる価値尺度に縛られて、自分自身に正直に生きられなくなっています。

そして、自分自身が考えていることさえ、他の人から見られることもないのに、いつの間にか他の人を通しているかのごとき考え方をしていることがあります。自分に正直でなくなってきているのです。

なぜ自分に正直でなくなってきているのでしょうか。それは、自分自身の心のなかにあるモノサシで、自分のものの考え方、行動の仕方というものを計る、規律するということが、きわめて難しいことであるからなのです。

外なる人に、あるいは先輩とか上司とかいわれる人たちに、判断の基準を与えていただいて、それに基づいて考えることは、そう難しいことではありません。しかしながら、自分自身の心のなかに生起するこの営みを自分自身で判断するということ、これは難しいことなのです。

そして、その難しさの奥には、自分自身が幸福な心の状態であるのかどうかすらわからなくなっているという、私たちの現状の姿があると思います。考えてみてください。どういうときに幸福で、どういうときに幸福でないかをーー。

もちろん、出世したとか、成功したとか、お金が入ってきたとか、いろいろな条件があるかもしれません。しかし、ちょっと待っていただきたい。それは、確かに幸福を感じさせるための縁（よすが）になっているかもしれない。ひとつの引き金になっているかもしれない。自分を納得させる材料になっているかもしれない。

けれども、それは本当にあなたが幸福になるための必要十分条件でしょうか。そう問われたときに、「いや、何か違うものがある」とお感じになりませんか。お金がなくても、肩書がなくても、世の人びとの評判がなくても、根本的なところで幸福を感じるときがあるのです。

それがいったいどういうときか、言葉には表現できないかもしれませんが、体の中から湧き上がってくるような思いであると思います。この沸き上がってくるような思いとは、いったい何でしょうか。

それは、自分の生命というものが、この一日の時間のなかで確かに燃焼しているという充実感だと思います。あたかも、十分な酸素が供給されることによって、薪がみごろな赤い炎をあげて燃えるように、私たちは、一日の二十四時間を、自分の生命を燃やしきったと思えるときに、幸福な感じがいたします。

それは、みなさん一人だけではありません。私自身もそう思います。過去を振り返ってみて、いちばん至福のときはいつであったか、最も幸福感が強かったときはいつであたかを考えてみると、人様に説明をして、「なるほど、それなら幸福だろう」と言われるような結果が出たときでは、必ずしもありませんでした。

他の人にその幸福な状態を説明するのがきわめて難しいときに、幸福を感じたことが多くありました。それは、日本の古典文学で言うと、「徒然草」や「枕草子」といった文学書のなかで、作者がひじょうに鋭く季節のひとこまを捉えて、自分の心を描写しているところがありますが、それと同じように、その幸福感というものは、あるとき、自分だけの幸福感としてやってくるわけなのです。

そのときの心の状態を説明すれば、まず言えることは、ひじょうに静かな状態があったということではないかと思います。みずからの内に静かな状態がある。この静かさというのは、何にものにも邪魔されることのない静けさであったと思います。

そして、その静けさ自体が一つの力を持って、その静けさを邪魔することを許さない、そうした空間をつくっているように感じました。これは、私たちが個人個人として生きておりながら、大宇宙と一体になるときでもあると思います。現代人はこうした瞬間を持つということが、きわめて難しくなりました。

なぜかと言うと、次から次へといろいろな仕事で追いかけられているからです。また、焦っているからです。人と人との接触の度合いも多く、密度の濃い、そうした環境のなかで生きているがゆえに、心の中に静寂を求めることができる瞬間がなくなったのではないでしょうか。

たとえば、今日一日をとってみたとして、朝から今までの間に、静寂なる思いが、静寂なる瞬間が、一秒でも二秒でも、みなさんにありましたか。考えもしなかったという方が多いのではないでしょうか。いや、今日一日というのは、あまりにも範囲が狭すぎるでしょう。

過去一年間と言われたときに、どうでしょうか。一年間と言われて、その静寂を自分のものにしたときがあったでしょうか。こうしてみると、年末・年始であっても、また夏休みであっても、その静寂を味わえなかったと思う方は多いでしょう。

あまりにも心が外に向き、あまりにも心が忙しいほうに向かっているがために、心が小刻みに揺れ、この揺れを止めるということができないままに、休日も過ぎているのではないでしょうか。いや、むしろ何もしないではいられないというのが、正直なところではありませんか。

みなさんは、一時間、何もしないでいられますか。いられないでしょう。すぐに新聞を読み始めていたり、すぐにテレビのスイッチを入れたり、すぐに他人と話をしたくなったりするはずで。一時間という静寂にさえ耐えられなくなってきているのです。

けれども、私はみなさんに言っておきたいのです。それは、みなさん自身が偉大なる幸福を見失っている証拠なのだということを。

ーーーーー〇ーーーーー〇ーーーーーーーーー〇ーーーーーーーーー〇ーー

（私文：家の近くの有明海で）
私は、有明海の近くに住んでいます。歩けば二分で海に出られます。上の写真はすぐのところの有明海です。素敵な所です。広大な海を見ながら、潮が引いているときには、干潟が広がっています。満潮のときは、たまにボラが沢山跳ねているのです。そこで散歩をして、太陽を眺め、海の風に当たり、波打ち際を歩き、季節の渡り鳥たちも眺めることができます。釣りをみんなさんはしていますが私はまだやっていません。釣りをする準備も進めているので、釣りをしたら、その報告もさせてもらいます。

最後まで読んで頂いて、本当にありがとうございました。