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ゲストの多彩なキャリアからひも解く「人生」と「投資」の考え方<第2部>

20代の“投資思考”を育む「104(トーシ)コンソーシアム」。今回は、104コンソーシアムと、総合人材サービス企業「PERSOL」がコラボしたオープンイベントを開催しました。

第1部で、投資=お金だけではないという“投資思考”に触れたところで、第2部のテーマは「あなたは、お金と時間を何に投資してきた?~投資思考で見るキャリア~」。

さまざまな経験を持つゲストのキャリアを、投資のプロが「リターン」「リスク」のキーワードを軸に分析・解説しました。

■キャリアのプロ・三石さんの話

1人目のゲストは、パーソルキャリアの三石原士さん。

三石さんは「タニモク」というワークショップを開発。会社のことをよく知ってもらうための活動をしています。また、個人事業主として講師やマーケティング支援も行っています。

私からは、22歳から現在44歳までの話をしたいと思います。

転機1は「ドイツへの就職」。
就職したとき、ドイツ語をほとんど話せない状態で、海外旅行にも行ったことがないくらいでした。なんとかなると思っていましたが何ともなりませんでしたね(笑)。半年くらいかけてドイツ語を勉強しました。

転機2は「リーマンショック」。
日本でインテリジェンス(現パーソルキャリア)に転職しましたが、リーマンショックによって売り上げが落ち、会社経営は厳しい状況に組織は2カ月で半分に。仲間はつぎつぎと転職していきました。

自分がどうするかを考えたとき、「はたらく」というテーマを軸にするということを考えました。どんな世の中になっても「はたらく」ことはなくなりません。そこに詳しくなれば、この業界の中でトップになれると思いました。続けることは大事だと思います。

そのときに次の3つのことを考えました。

自分の市場価値を発揮する方法として100万人に1人になるのも、1万人に1人になるのも難しいけれど、頑張れば100人に1人の人材にはなれます。この“100人に1人”を100×100×100と掛け合わせていくことで、100万人に1人の人材になることができるのです。

■三石さんのキャリアを“投資のプロ”が解説

上野裕之さん(三井住友トラスト・アセットマネジメント)
「キャリアの上で意識されていたかは別にして、結果的に分散投資をされている。それが一番の強みになっていると感じました。自分の強みと発揮できる場所が、なぜ若いころからわかっていたのですか?」との問いに、三石さんは、「作ること、クリエイティブなことをやりたいという思いは漠然とありました。強みを発揮するのは簡単ではなく、結果が出せずにあがいたこともあります。そのとき、多くの人に相談しました。自ら課題を見つけて解決していくから、自由にやらせても大丈夫と上司から見てもらえたのは大きかったです。いい上司に恵まれました。自分の得意なことも苦手なことも発信して、自分を正しく認知してもらうことは大切なんだと思います」と答えました。

藤沢さん
「三石さんは、一言で言うと『リスクが見える人』だと思いました。最初のほうこそ、ドイツ語が話せないのにドイツに行くなど、リスクが見えていないと思いましたが(笑)、たとえば『働くことはなくならない』ということが前もって見えていたり、続けることが大事ということを感じていたり。自分の弱み=リスクを知るのも大切。リスクを顕在化して、リターンを得てきたんだと感じました。自分の知っている分野、強みをもつ分野でチャレンジするのは大事だけど、その分野で大多数の人がやっていることではリターンが少ない。大きなリターンを得るために、みんなが見えていないところに投資する、ということを自然にやってこられたんだと思います。ドイツの話で出てきた、「死にはしないし誰かが助けてくれる」という他力は素晴らしかったです。第1部で出したバランスシートにある「負債」は、“他人資本”とも言われます。仲間をどれくらい持つかも資産の最大化のひとつです」

倉成さんも、「自分の強みに“はる”ことができているんだと思います。人とは逆の行動をされていることが多く、それが長期・分散・積立になっています」と述べました。

■女優・作家・歌手の肩書を持つ中江有里さんの話

2人目のゲストは、中江有里さん。女優、作家、歌手と多方面で活躍される中江さんの半生には、参加者のみならず登壇者も興味津々です。

女優、作家、歌手と肩書が多いけれど、自分でも思わぬ経過をたどってこうなりました。

中2のとき、おばが勝手に応募したことで、CMのイメージガールのオーディションを受けました。結果落ちてしまったのですが、自分で応募したわけではないけれど悔しいという気持ちがありました。
その後いろいろなオーディションを受けましたが、書類で落ちるなどうまくいかず、「あのときはまぐれだったのかな」と思っていた中3の終わりに、最終選考まで残ったオーディションがあり、それがきっかけで芸能界に入りました。

就職する気持ちで大阪から上京し、レッスンを受け、仕事を得るためにオーディションに行く毎日でした。お芝居、歌、バラエティーでのコントなど、すごく苦手でした。でも、苦手なことはやっといたほうがいいと今になって思います。苦手なことを避けていると、可能性は広がりません。10代のころにやったことが今の糧になっています。

仕事が忙しくなって高校に通えなくなりましたが、4校転校して、5年かけて卒業しました。大学に進学したかったけれど、周囲に迷惑をかけてきたのでそれは諦め、仕事、特に女優業に力を入れていきました。

22歳のときに、報道番組に出ませんかというお話をいただきました。今も放送されている「サンデーモーニング」で、関口宏さんのアシスタントとして出演していましたが、1年で降板しました。このとき、自分に社会性がないと気づきました。そういう自分がイヤで決断したのが、事務所を辞めるということ。当然、親にも反対されました。事務所を辞めるということは、後ろ盾を全部失うということなので、そんなリスクのあることをなぜするのか、と言われました。でもこのまま30代、40代になりたくないと思い、決意は揺るぎませんでした。

事務所を辞めて1年くらいのんびりしました。ここで別の事務所に入ったら同じと考えて、自分で会社を立ち上げました。そんな中、28歳くらいのとき、久々に映画の主演が決まりました。何年かぶりのチャンスだったので気合が入っていたのに、撮影5日前に映画自体がなくなりました。それは、撮影期間の2カ月が空っぽになり、ギャランティも入らないということ。傷心でした…。

この2カ月を無駄にしたくないと思い、かねてからの夢だった脚本を書いてみようと、NHK大阪ラジオドラマ脚本懸賞に応募することを決め、2カ月かけて書きました。その作品が最高賞となり、出版社から「脚本を小説化しませんか?」と声をかけていただき、作家の道が広がりました。徐々に書く仕事が増えてきました。本に関する番組に出演するようになって、「本の知識が足りない!」と、学ぶ場所を探したら、かつて進学を諦めた大学がある、と気づきました。
35歳のときに、法政大学通信教育部文学部日本文学科に入学しました。働きながらの学業は大変でしたが、そこで出会えた人から刺激をもらいましたし、卒論では、知られざる作家であった北條民雄を研究しました。その10年後、NHKEtv「100分de名著」で北條民雄「いのちの初夜」を取り上げることになり、講師として出演することになりました。卒論で数年かけて研究したことが、こんな形で仕事に結びつくとは思いもしませんでした。

これまでいろんな仕事をして思ったのは、「時間は有限」ということ。その中でどう使うのかは自分がコントロールする。動機が大事だと思います。
日本はある時期まではマルチに働くより一本に絞ることが主流だったと思います。副業がダメ、というのもそのひとつ。私も「本業は何ですか?」と聞かれることがあります。でも、柱は何本あってもいい。自分を支える柱がたくさんあれば、リスクを分散させることができるのでは、と。やりたいことを一つに絞ることはない。自分自身を会社だと思って、いろんな事業を挑戦していきたいと思います。

■中江さんのキャリアを“投資のプロ”が解説

藤沢さん
「リスク許容度をどんどん広げている人だと思いました。お金の投資にも言えますが、だんだんお金が増えてくると、投資する金額もリスクも怖くなくなっていきます。小さなリスクをいっぱい取って、大きな痛みがOKになっていくステップを上手に踏まれていると思いました」と述べ、中江さんは、「そのときの自分を充実させたいという気持ちが大きかったです。リターンがなくてもよかったと思っています」と反応しました。

上野さん
「リスクを取るタイミングがうまい。大きかったのは、事務所を辞めたこと。当時は大きな決断だったと思います。大学に行かれたのも、もともとやりたかったことを実現したい、つまり自分に投資したということになると思います」と述べました。
中江さんも、「当時は引退したと思っている方もいたし、自分でもそう思いました。そんな中でも、とにかくやっていなかったことをやろう、取り返そうという気持ちが強かったです。歌も中途半端だったので、もう1回やりたい!と思い、今また始めています。もともと持っている好きなものをやっていたから、ここまで続けられたと思います」と答えました。

最後にゲストの2人から感想。
三石さん「とある大企業を引退された方の言葉で、『困っているときに手弁当一つで手伝ってくれる仲間がどれくらいいるかどうかでキャリアは決まる』という言葉が印象に残っています。働くということは、周囲との協力、関係性あってこそ。個人がどうするかだけでなく、周りがどう関与するか。強みをいかして、弱みをさらけ出す。そういう関係性でよりよくしていけるんだと思います」

中江さん「私は最初から芸能界に入りたくて入ったわけではなかったけれど、他人が自分のポテンシャルを発見してくださったことで、人生が始まりました。好きなことをやってきたとはいえ、人に導かれたんだと思います。どこで誰と出会うかを大事にすることが、自分に返ってくると思います」

参加者からは、「お二人とも人生を楽しもうという気概を感じます」「リスクとリターンは裏表の関係なんですね」という声が寄せられました。

「お金の投資も、納得してやらないと意味がありません。納得してやったら、得るものは必ずあります」(上野さん)
「リターンが大きくなるのは、“自分で決めたこと”。たとえ失敗したとしても、自分で決めたことであれば振り返りもできます」(藤沢さん)
と、第2部を総括しました。

第3部では、いよいよ、投資とキャリアの掛け合わせについて紐解きます。

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