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ダンジョン飯・4巻を読み終わった人の感想文です

 みんなが「ダンジョン飯面白い」と言ってるから楽しそうだと思って近づいたんだ……そしたら……。

 すっごく楽しい!

 という訳で、ダンジョン飯4巻の感想をダラダラと書いていきたいと思います。
 もう完結している作品ですが、毎巻「これって……こういうコト!?」と察しの悪いハチワレちゃんになっている俺を、完結まで読んでる皆さんは「ふふ、果たしてそうかな……」とワイングラスを回しながら楽しんでいただけたら幸いです。

 とりあえず、あの世界でもドラゴンほど有名になると誰でも一家言もってるからかえって自分は未熟に思う現象がある!
 わかるぞライオス、大分類がメジャーだとかえって自分の知識は浅いように思えてしまうんだよな……わかる……。


・チルチャックさん29歳、戦闘能力はない

 ハーフフット族、全体的に戦闘には向いてないんだろうな。
 今まで見た限り、チルチャックは耳がいいし手先も器用。盗賊には向いている職業だろうけど、魔法をつかう様子もなく、身体も小柄で短命であまり種族で群れている印象もない……。
 魔法を使う才能がない種族の可能性があり、なおかつ重たい武器ももてない種族だから戦闘職ではないとなると、種族として、戦うというコトがそれほど得意な種族じゃないんだろうなぁ。
 仕掛け罠とか、時間さえあれば凝った罠を仕掛けての迎撃なんかは得意そうだけど、体格に劣る限りは武器をつかって戦うのは難しそうだ。
 TRPGとかでは比較的に軽い扱いになってる弓だって、威力を出して遠くまで飛ばすにはやっぱり筋力使うしね……。

 そんなチルチャックさんも、お金前払いとはいえこの戦いは明らかに危険手当範疇から出た協力をしてくれているんじゃないかな!?
 いくら、途中で降りたら評判が悪くなるとはいえ流石に明らかな戦闘力不足のパーティでドラゴンと戦う、というのは契約範囲外じゃないのかな。
 エラいし、本当は優しいのか……それとも、ライオスと一緒にいるのが思ったより苦にならないのかな。
 どうも、ハーフフット族は「嘘つきな種族」ってイメージがあるっぽいから、種族偏見の薄い冒険者のなかでも、人間そのものに興味がないから誰にでも似た対応をするライオスと連むのはそこまで嫌じゃないのかもね。
 ……まぁ、水辺に行く時は容赦なくデコイ扱いしてたけど、ライオスも。
 そのへんは「しょせんは冒険者」って感じだね、うん。


・センシさんは戦士ではないが戦死はしない

 あんなに料理を作るのが得意なのに、戦闘での判断が全く鈍っている!

 ドワーフである限り、戦士としての身体能力は間違いなく高いだろうに、知識を料理に全部ふってしまっているんだなセンシ……。
 やはりセンシの職業は戦士(fighter)ではなく料理人! コックさん! コックなのに戦って強いのはスティーブン・セガールだけだから仕方ないよね……。
 むしろ一般コックさんなのに、センシはよく戦ったよ。
 理由が「ドラゴン食べたいから」というだけで、本当によく……よく頑張ってくれているッ……。


・戦闘での判断は時に非道である

 作戦通りに行く戦闘のほうが少ない!
 とはいえ、ドラゴンが逆鱗を一撃することで倒せる相手で本当に良かった……。
 ライオス、うっすらと変な人扱いされているし、実際うっすら変な人だし、まぁまぁ無謀な人だけど、戦闘での判断は迷わないし後悔しない……!

 こういうところ!
 とっさの判断に長け、それを決して後悔しない、迷わず実行できるという所が、ライオスのパーティが長らく迷宮で生き残っていた理由なんだろうなぁ。

 時々、ライオスはサイコパス扱いする人を見るけど、俺個人としてはサイコパスとは違うかな~と思うんだよね。
 サイコパスは自己愛が深く嘘つきで他人を騙すのに罪悪感はなく、交流が上手/あるいは極端に下手で、感情の起伏が激しい……って特性だから。
 交流が極端に下手なタイプのサイコパスは、知識を得るチャンスが生涯になくて自分の激情を持て余し、周囲にぶつけてしまうタイプで……交流が以上に上手なタイプのサイコパスは、知性を得る機会が多く貪欲に知識を貪った結果、人間の擬態がすごく上手になっているパターン多いんだけど、ライオスは知識が沢山ある訳じゃないし、かといって感情を持て余しているタイプではないもんね。

 ライオスはモンスターが大好きで人間に興味がないから、人間の会話に興味がなくて空気読めない人って感じだから、サイコパスじゃなくて本当にただ空気読めない会話が苦手な人ってだけな気がする。
 それはそれで問題だろうけど!
 それでもライオスは、戦闘の作戦を考えるだけのリーダーシップはあるし、作戦を聞いてなくて失敗するというコトはないし、とっさの判断で迷いもないし、仲間を助けて守る、みんなで生き残るのを優先して行動するから、この点はちゃんと冒険者なんだよなぁ~。

 そうなると、「ライオスが変な人」はそうだけど……「冒険者は大体変な人」が、まぁその通り!
 って感じしちゃう。
 実際、冒険者って山師みたいなところがあるから、わざわざ率先して選ぶ職業じゃないもんネ……。


・ドラゴンの炎

 地味に(?)ドラゴンの炎、その火種の存在なども話しに組み込まれているの関心しちゃった。
 結構おぞましい生態だねドラゴン!
 でも火種大事だからねドラゴン……!

 この手の、ちゃんと炎が出る仕組みが語られていると謎の安心感出ちゃう♥


・ファリンー! 俺だー! 良かったねー!

 良かったねファリンお帰りー!
 ライオスとマルシルが大好きなファリンが元に戻ってくれて、俺も嬉しいよ……。

 マルシルにとっては妹のように親しい親友。
 ライオスにとってはかけがえのない肉親……それがいかなる姿をしていても、いかなる形をしていても……戻ってきて、良かったね……。

 だけどマルシル……。
 マジでその禁呪、どこから出してきたのかなぁ!?

 マルシルの出生、禁呪の出処、お兄さん本当に……気になっちゃうゾ!


・島国だったダンジョン

 まさかこの国が島国だったとは……。
 貿易港が一つ、北方には険しい山……この北東にある山がドワーフの居住地だったのかな?
 ドワーフが住んでいるであろう山と、今回のダンジョンが比較的近くにあるから……。

 センシは元々、炭鉱……北東の山に住むドワーフだったのでは?
 そして、居住区を広げるのと採掘とで南へ向かっている最中、迷宮へ紛れこんでしまったのでは……?
 このパターンだと、センシがドワーフのわりに鉱物も炭鉱も詳しくないの理解(わか)るし、魔物を食うようになった経緯も納得だ。
 食わなきゃ生き残れないもんな。
 センシの生活スタイルから、炭鉱では鉱山を掘りながら料理をふるまってた、生活を支えている方のドワーフだった気がするゾイ。

 人が住む街の形状が残っているのが西側だけなので、船が入り冒険者や旅人、商人がやってくるのもこの西側だろうね。
 北側の山岳地帯、南側はやや広い平原があり、北側に比べてれば低いながらも厳しい山岳、岩場があるのか、ただ立ち入って開拓していないのか……?

 船を入れるために、西側と南西には灯台がおかれていそう。
 大陸が北西にある可能性が高いかな~?
 北東だった海流によってはかなり回り道になりそうだ。

 話に伝わる限り、ここは東西を割る程の戦いがあった時、ドワーフが逃げた土地なので現地ドワーフは結構古くからいるんだろうね。
 島の場所から覇権はトールマン、ドワーフ、エルフで割れて、今はトールマン支配っぽく、名前も特にない。
 名前がないのは現状の島主が、どこか別の傘下(王族とか貴族とか)にある、いわゆる所有の島なんだろう。
 ま、推測でしかないけどね。


・名も無き島のメリニ村

 この島主が現状の領主かな?
 島の形状を見る限り、領主のいる場所としては伝達など若干不自由そう?
 領主(便宜上そう呼ぼう)はノーム族に知恵を借りて、判断をしているけど当人は「財宝もらえたらいいだろう」「面倒は避けて美味い汁すいたい」タイプ?
 だからそこまで進言通りに行くかどうか……って感じだね。

 ノームの語りから、エルフvsドワーフの戦いは結構長く……また、エルフ族は(おそらく)自分の種族が一番正しい、尊い、神に近い存在だ……なんて自負のある長命族っぽく、ドワーフやノームのように他種族と諍いを続けてきているのかな……?

 ハーフフット族はおそらく、もともと領土には拘らないか、エルフ族が住むには適さない場所に住んでるかで種族での大きな諍いはなさそう。
 元よりハーフフット族は戦いに向いてないし、長命でもない、個々の寿命が身近いなら長命族と争って早死にはしたくないだろうからね……。

 トールマンという種族はエルフらからは明確に短命だけど繁殖力があり住める土地範囲が広そうだから何処にでもいるし、魔法も剣もそこそこ使えるから戦関連の諍いはいっぱいおこしてただろうなぁ……。

 なんて漠然とした外の歴史に思いを馳せておりました。(おわり)
 このへんは想像するしかない(この先明らかになる覇権争いもあるかもだけど、ダンジョンが閉ざされた理由もそういう戦果から逃れるブロック政策の一端かもしれないし)けど、想像するのも楽しいもんです、はい。


・黒魔術(禁呪)

 マルシルの禁呪……この世界は……古代魔法が……禁呪!

 マルシルのジョブはビショップだろうと思っていたけど、より「賢者」の方に近く、属性は中立かな……?
 魔術に善悪はなく、使う側に善悪がある……と思うので。
 例えこの世界で禁呪が、禁忌とされていても扱う当人の性格が悪に傾いていなければ、マルシルのアライアンスは善あるいは中立だと思うので。

 そしてこのダンジョンの存在そのものが、恐らく……今となっては禁呪になってしまった魔法の究極形態(アルティメットスタイル)の一つ……!

 マルシルが禁呪を成功させたのも、たぶんおそらく、彼女の能力よりもあのダンジョンという場所の影響が大きかったんじゃないかな。
 術式が正しく組まれていたとしても、マルシル本人の魔力ではたぶんなし得なかった、ダンジョンのもつ魔性が成功の鍵だった気がするのだ。

 しかしこのダンジョン、魂の繋がりがそばにあれば、肉体が人間のものでなくても蘇生することができるとは……。
 元々、そのようになっていたのか……という点はわからないが……ファリンの今の身体は、骨格が人間ベース、内臓や筋肉がドラゴンベースなのは間違いなさそうだ。
 彼女の人間としての精神が、ドラゴンの肉体に引っ張られてしまうことがあるのか? ドラゴンの肉体が、人間の魂にあわせていくのか……?

 この世界において、魂がどれだけの強さをもつんだろうねぇ?
 ファリンは魂の形が、モンスターに近くなる素質ももっているから、彼女がどうなるのかドキドキしちゃうよ。


・ファリンはやはり迷宮の女神

 ドラゴンに食べられて、ドラゴンから助け出されて、ドラゴンで復活する。
 迷宮で人間の姿で死に、ドラゴンの血肉で生き帰り、迷宮にある魂まで見通せる存在……。

 ファリン、やっぱり彼女はこのダンジョンの「女神」だよ……!?
 本人の意志や意図など関係なく、作られてしまった死のない迷宮で、死から逃れ人の肉体を捨てた彼女は……やっぱり女神!

 冥府といえば「冥府の石榴を食ったから冥府の人間になった」とか「黄泉の飯を食ったから黄泉の住人になった」はあるけど……。
 ダンジョンのドラゴンに食われたからダンジョンの女神になったパターンは、逆転の発想だね!

 という訳で、俺にとってやはりファリンは「迷宮の女神」の位置づけがまた強くなりました。
 ファリンは冥府の女神のような存在。
 元々人間だったけど、冥府の食事を食べてしまったからその場所に留まるように、彼女もきっとダンジョンの血肉を得たからダンジョンに留まる迷宮の女神……。


・ライオスはやはりファリンの兄であり夫の神格

 ライオスとファリンは話が進むにつれ、やはり……おまえたちは兄妹神!
 お前たちは二人で一つの国をおさめる、兄妹であり夫婦でもある神格! そういう神話の神様だよッ……。

 ライオスがファリンと離れてしまうのを悲しいと思い、取り戻すために無謀な旅に出たという時点でもう神話!
 そして、ファリンの血肉がドラゴンになってもファリンを取り戻した喜びの方が勝り、彼女を今度こそ失わないという決意でもわかる。
 ライオスにとってファリンは妹ではなく、自分の半身、魂の欠片そのものなんだろうな……。

 そう思うくらい、ライオスはファリンのこと好きだと思う。
 ただ一人の肉親という存在を越えている、家族愛や兄弟愛を越えた執着をもち、だけど恋愛感情とは違う、一緒にいて当然でずっと一緒にいるような感情、好意だし愛情だけど、性愛とは少し違うような気持ち……。

 ファリンの方は……どうかなぁ……?

 ライオスが特別といえば特別だし、兄さんの価値を理解している子でもあるけど、ファリンはやっぱり「みんなが大切、みんな愛しい」光の子なので……ライオスはファリンのことを思い慕う冥府の王だとしたら、ファリンは世界に光をみたし愛を知る女神なんだよなぁ……。

 なんて、話しがすすむたび、「ライオスとファリンという兄妹神の神話が生まれる瞬間を見ている」って気持ち強くなるんだよね。
 ダンジョンの神ライオスとその妹にして妻であるファリンがおさめる死のなき古都の物語は、いずれ神話になるといい……。


・才女マルシルという橋渡し

 マルシルは古代魔法の禁呪を使っているけど……やっぱり彼女ってエルフらしさが少ない気がする……。

 彼女という個人には、エルフのイメージにある人を遠ざけ、短命種を見下し、ドワーフとは相容れぬような性格が見られないところが殆ど見受けれないし、長命種だからこそある「私が歴史の証明です」みたいな少し人間離れした価値観が存在してない。

 才女・マルシルがエルフでありながら人間の世界で過ごしている理由はこの、エルフにしては人間くさい性格のせいなのか。
 それとも、禁忌とされ、封印されている……禁呪に触れた存在だから、エルフと道を違えてしまったのか……。

 この世界で禁呪のNGがどのレベルかはわからない、けど。
 大概のファンタジーだと国家レベルの危機だったり、知っているだけで拘束対象だったり、使ったら死罪やむなしだったり、重い刑罰を与えられたりしているし、恐らくだけど、エルフたちは禁呪と呼ばれる危険な呪術を封じる、という形で収集していると思うんだよね。
 これは「同じような魔術が生まれた時の対抗手段」って名目であり「自分たちの種族を脅かさないようにする抑止力」でもある。
 ちょうど蔓延したが便宜上撲滅された細菌やウィルスが、ワクチンを作るという名目でまだ管理されているような奴ネ……。

 そして、マルシルの家族は禁呪にふれ、エルフから離れて暮らすようになってたとしたら……。
 表向きは、賢く、愛情に溢れ、幼さものこるマルシルの本質、強い決意は禁呪に触れた事が罪として捌かれた誰かの手向け?
 そしてマルシルそのものが、禁呪で助けられた命である可能性も……ある?

 なんて想像すると、オラわくわくしてきただ!
 マルシル、いったい何を背負って何を隠しているんだ……? もしかくしてなかったとしても、その禁呪の出処は本当にどこだかしりたい、知りたいよマルシル……!


・ライオス・ファリン・マルシルという存在

 この三人の関係、ファリンが中心ではあるけど本当に「冥府」って感じすっごい!

 迷宮(冥府)の獣を従え、倒し、狩るライオス。
 迷宮(冥府)の獣を愛し、霊を尊重し、兄に寄り添うファリン。
 迷宮(冥府)におっかなびっくりついてきて、ファリンの肉体を取り戻し、本人は冥府のものでもない、でもエルフでも人間でもない……。

 マルシルの属性はギリシャ神話でいうヘルメスにかなり近いような気がする。(俺はマルシルのことハーフエルフだと思っている、話し進むごとに「この子が普通のエルフでこの育ちになるのは流石におかしいだろう」と思っているので)
 ヘルメスは恋多き神で、人間と神格のハーフ。
 冥府とも天界とも行き来できて、神ではなく人間でもない存在……。

 この三人がどんどん神性……神々のもつ性質を出してきて……「これ神話だ!?」ってなっちゃうよ!?
 やっぱり俺は神話を読んでるんだ……。


・ライオスにとってのファリンはサビなので繰り返し語る

 死んだファリンを取り戻すためにダンジョンへ行く。
 話の流れが、死んだ恋人を取り戻すために冥府へ下ったとか、黄泉へ向かったとか……そういう流れに似ていて……。

 妹神を黄泉に取り戻しにいった兄神は、妹との約束を破って彼女の姿を見たから別たれた。
 死んだ妹の姿があまりに醜いものだったから……。
 と、古事記にもそう書いてある。(本当に書いてあるパターン)

 だけどライオスは、死んだ妹の身体を見据えた、そこから動かなかった、その姿もファリンだった。
 だからこそ、ファリンを取り戻す事ができた……。

 そんな「よみがえり」の物語のアンチテーゼを感じて……とてもよかったね。
 死体でも、醜くても、そこにある魂がファリンなら、ライオスにとって何にも代えがたいファリンだったんだ。

 さて、冥府のよみがえりはもう一つ話がある。
 復活した後、一度も振り返ってはいけない道を振り返ってしまったため、冥府に留まることになった話だ。
 あれは希望が絶望になる話。
 不安から振り返ってしまったため、別たれてしまう話だけど……そちらは乗り越えられるのかライオス!?

 それとも、振り返る必用もなくなるよう、冥府(ダンジョン)の神になるのかライオス!?
 いや、もう、神になれライオス! おまえはそのほうがいい!

 という訳で、5巻も楽しみです♥

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