The Painscreek Killings ネタバレ抜き感想
steamでWinter saleがあったので、お正月から「The Painscreek Killings」なるゲームで遊んでおりました。
一応は真相エンドにたどり着き、コンプリート称号も頂いたのでネタバレを極力抜いた形で感想文を書いていきたいと思いまーす。
さてこちらのゲーム、ジャンルはADVになります。
数年前に殺人事件がおこった事をきっかけにゴーストタウンとなった街に新人ジャーナリストが乗り込んで、過去に起こった殺人事件の真相を追うというオハナシ。
プレイヤーはその新人ジャーナリストとなり、街の中を隅から隅までズズズイッと捜索するという、箱庭探索ゲームみたいなジャンルですね。
調査対象になるのは街全体。
ムチャクチャに広い規模の街ではないんですが、それでも一般住宅が50戸前後は存在する上、メインの探索場所になる廃病院や洋館は広めの2階建てなので、自由に好きな場所を調べられるゲームとしてはかなり広範囲の調査と言えるでしょう。
先にも言った通り、プレイヤーはその街に派遣された新米ジャーナリストの視点で調査していく訳なんですが……。
そのジャーナリズムがまたムッチャクチャ暴走致しまして。
邸宅に鍵がかかってないと見るや、容赦なくズカズカと屋敷に上がり込むのは当たり前。
他人の家だというのに勝手に部屋に入ればタンスから引き出し、ロッカーに至るまで全部ひっくり返して行く上、鍵などを見つければ躊躇いなくポケットに突っ込みないないしてしまうという、まさに清々しいまでの蛮行っぷりを繰り広げる姿はいっそ清々しさを感じる程です。
俺は事件の捜査に来たはずなのに、俺がいま事件を起こいている気がする!
最も、家捜しはプレイヤーがやらせている行為であって主人公は率先してやりたがっている訳でもないとは思うんで、主人公が悪いというよりプレイヤーが悪いんでしょうが……。
……いや、「鍵が開かない車があるぞ! このバールのような工具でこじ開ければオッケー!」のスタンスはやっぱりおかしいよ!?
と、仕様上に主人公=プレイヤーであり、捜査は家捜しがメインになるため他人の家に土足でズカズカ上がり込まなきゃいけないのは仕様みたいなもんですが、プレイヤーが プロの空き巣 良心的なら、開けたタンスも引き出しも閉めておけばいい話で、暴力と蛮行に満たされた家財ひっくり返し劇場を起こすことはないんですが……。
それでもこのゲーム、いかんせん調べられる場所が膨大。
街中が調査対象なので、自分が何処を調べたのか忘れがちなんですよね。
メモを取りながら進めばそんな蛮行に及ばなくても良いだろう、といえばその通りなんですが、このゲームは最初から特に状況説明も説明なく知らない街へ放り込まれるため、何処に何があるのか全然わからない状態な上、舞台が米国っぽい所なので当然表札が出ていないから、自分の入った家が誰の家なのかわからない、なんて事がザラにあるんですよ。
その関係で、調べた事のある部屋はタンスや引き出しを開けっぱなしにしたほうがわかりやすいというカスのライフハックが発生しちゃう訳です。
鍵を勝手に拝借する事に関しては、それをしないと真相に近づけないのでクリアするためには必然、仕様通りとも言えるでしょう。
だからこの蛮行は俺のせいだけど!
俺のだけのせいじゃないッ! 俺だけのせいじゃないんだよッ!
とまぁ、仕様のため(?)空き巣のような蛮行を強いられるゲームな訳ですが、舞台は元々閑静な田舎町。
石造りの町並みはさながら避暑地にある別荘のようで景観が良く、ゴーストタウンなので住人は一人もいない事に哀愁を感じつつも、自由にウロウロしながら好きなところを調べられるゲームとしては手頃なサイズの街なので、ボーっとしながらちょっといい感じの町並みをノンビリと歩きたい欲は随分と満たされました。
また、一般的なADVは移動できる場所も調べられるポイントも決まっている事が多いので、「いやいや、ソッチより先にコッチに向かった方がいいんじゃないのか!?」とか、「たぶん、あの家に何かあるはずなんだけどプレイキャラクターが気付いてないからまだ行けないな……」 なんてもどかしい思いをする事がたまにある中、最初から行きたい場所がオープンされているこのゲームにはそのようなジレンマが比較的少なめです。
最初から行きたい所はオールオープン!
好きなところを調べていっぱい事件を探れ!
状態でどの情報から見るのも自由にプレイヤー判断に委ねられるので、「この調査は俺がしているんだぜ」という達成感もありとってもお得な気持ちにもなりますね。
ただし、利点は欠点も内包しているもので、最初からオープンされているため、どこから手をつけていいかとっかかりがわかりにくいってのもまた事実なんですよね。
知らない土地に放り出され、調査する事件についても過去の新聞記事でしか知らないといった有様なので、プレイヤーも主人公も初めて来た土地で「容疑者の一人はこの番地に住んでます!」って言われても「ど、何処だ……この街のどのへんがその場所なんだ……!?」って街の位置関係を把握するのにそこそこ時間がとられちゃいます。
道を覚えて地図になれてきても街の端にある病院で手に入れた鍵が、どうも反対の端にある邸宅で使えるようだ……よし、行くぞ! という道を自力徒歩移動しなければいけないので、やるコトは分かっているのにそこまでの道のりが遠いッ……! 遠いよッ……! になりがちなのもなかなか焦れったい気持ちにさせられます。
やりたいコトが「ドアを開ける」「書類を確かめに行く」レベルの些末なことなので尚更、瞬間移動出来ないのがもどかしいですね。
入れる建物も、玄関のドアはフルオープンなのに室内にあるナンバーキーは生きていて入れないとか、意味深に置かれた鍵のかかった箱などがしばしばありセキュリティ意識ガバガバガバナンスかな!? と叫びたくなっちゃう事請け合い。
町も不思議なゴーストタウンで、ある日突然、一夜のうちに住人が全て失踪したといった話ではなく、みんなもうここには住めないって気持ちになって引っ越していった設定のはずなのに、どの家でも家具や日用品が置きっぱなし、何なら洗濯物も干しっぱなしなのは逆にちょっと怖いくらいです。
ひょっとしたら誰かまだ住んでる!?
何それ怖い……。
さて、何も知らないまま田舎町に放り込まれた主人公が未解決事件の捜査なんてできるのか!?
と不安になる所ですが、そこはご安心を。
このゲーム、重要人物がみんな事細やかに罪状告白みたいな日記やレコーダーを準備している、初めて調査に来た人にも安心の物件です!
この街でおこった事、日記や新聞、手記でおおむね明らかになりますからジャーナリストの初仕事にはピッタリですね。
……いやいや、何でだよ!?!?!?
ツッコミたくなっちゃう所ではありますが、人間って自分の罪を自分の心だけで秘匿しておくのは苦しくなっちゃう生き物だからまぁ、仕方ないですよね。
それに、自分の手であやしい所を調べ、見つけた証拠で推測し、行き先を自由に決めて重要なヒントを手探りで見つけていく……というのはけっこう楽しく、「鍵を見つけた、あの部屋が開くかも!」「この道具があれば、今まで出来なかったアレが出来る……!」と、新しい道を開いた時の満足度も高めです。
だからプレイしている時、もうちょっと、この扉を開けてみたら何かわかるかも……と思ってしまったり、この日記にある記述、アレと関係が……? なんて考えてて確認しに行くうち、ズルズルと調査し続けてしまう所がある、不親切だからこそ苦労が実った時の喜びが高いので、ついつい長時間没頭しちゃうゲームでしたね。
調べられる場所が広大なため、うっかり証拠を見過ごすと一気に行き詰まること。
序盤から得られる情報が膨大かつ煩雑で何が重要な情報で何がいらない情報なのか取捨選択しづらいこと。
文化の違いから、解きにくい謎解きが存在していること。
純粋にリドルの難易度がバカ高い部分が存在すること。
方向音痴だと自分がどこにいるかわからなくなること。
文字通り、街中に謎の痕跡が広がっているの証拠の見逃しが起こりやすいこと……。
と、ゲームとして不親切な部分もかなり多いんですが、不親切であるぶん達成感もある、面倒くさいけど遊び甲斐があるタイプのゲームです。
事件の捜査に出かけたのに、何故か幽霊にも会えてお得だしね!
……いや、何でだよ!?
そんな訳で、探索し、集めた他人の日記や手記、新聞などで事件を紐解いて真実を暴露する。
そういった調査を全て自力でやりたいぜ!
という人や
知らない街を思いっきり、舐めるように歩いて調査してやるぜ!
という人。
真実を赤裸々に暴いてやるぜ!
という意欲的かつ他人の家に勝手に上がり込める蛮行に躊躇がないジャーナリズムをおもちの方は、一筋縄ではいかないこのゲームに挑戦してみてはいかがでしょうか。
初見プレイは10~20時間程度。
ボリュームもたっぷりで、一本道のストーリーを与えられるより、自分からストーリーを暴いて考え真相を暴くタイプのゲームが好きな人はじっくり味わえると思います。
タイパが重視され短い時間で濃厚な体験を求める傾向が強い昨今。
無駄かもしれない調査や現場100回精神、無数の失敗と試行錯誤を繰り返す事で得る達成感もまた味わい深いと感じる、令和6年最初に遊んだゲームの感想でした。
このゲームは2017年、平成のゲームですけど細かい事は気にしたらダメだぞ♥
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