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Oakland A's前半戦レビュー 2019


内野手

 -GOOD

特に素晴らしかったのはマット・チャップマンとマーカス・セミエンの三遊間コンビで、ゴールドグラブクラスの鉄壁の守備力はもちろんの事、打撃でもチームを引っ張りました。

チームのスタッツのトップはほぼこの二人が独占しているところですが、この二人の今年の成長はアプローチ面でしょう。

BB%/K%はチャップマンが10.6/18.7、セミエンが11.2/13.6と昨年よりかなり改善された数字を残しています。

故障から復帰のマット・オルソンも猛打を奮い、復帰を果たしてからの19HRはALではトップ、MLB全体でもピート・アロンゾに次ぐ二位という成績。

生え抜きのMatts、在籍期間の長いセミエンがチームのコアとして機能している印象の強い前半戦でした。


 -BAD

前半戦のOAKにとっての悩みどころ、ファンにとってのストレッサーは2Bのポジションでした。
トレードで獲得したジュリクソン・プロファーは開幕から低調な打撃とイップスを疑われるほどの壊滅的な守備力を見せつけてきました。チームは度々プロファーにオフを与え、UTのチャド・ピンダーにも機会を与えていたもののピンダーも代わりにレギュラーに据えるほどの選手ではなかったため、2Bはチームのアキレス腱でした。

チームはスティーブン・ピスコッティの離脱に伴ってAAAからプロスペクトのフランクリン・バレトを昇格させ、2Bのレギュラーとして出場機会を多く与えると発表しました。長年プロスペクトとしての評価を受けてきたものの、出場機会に恵まれてこなかったバレト。出足は低調ですが後半戦こそ本領発揮なるでしょうか。

外野手

 -GOOD

ラモン・ロレアーノは春先は目の覚めるような美技の連発、6月からはツボにはまり本塁打も増えていてフルシーズン1年目としては十分な活躍です。25~30HRにこのまま乗る可能性もあると思います。

新加入のロビー・グロスマンも守備&出塁力でリーズナブルな契約に見合う堅実な成績を残し、そのグロスマンのプラトーンパートナーの一人であるマーク・キャナも少ない出場機会ながらも12HR、高い四球率とそれと同等レベルに低い三振率でマット・オルソン離脱の穴をよく埋めました。

 -BAD

内野に比べると芳しくない要素は多々...

主砲クリス・デービスはインターリーグでの守備中に怪我を負ったり、不振でほぼ一月HRが出ない時期もあるなど、昨年以前の勝負強さ・力強さを感じられないシーズンとなっています。6/29のLAA戦で死球を受け、day-to-dayとなるなど今年は故障に苦しむシーズンになっています。

同じく大砲のスティーブン・ピスコッティもOPSが0.7を切り、6/30のLAA戦の走塁中に怪我も負ってしまいました。昨年は後半戦に目覚ましい追い上げを見せたため、前半戦の多少の不調は、と思っていたものの、後半戦は出遅れとなりそうです。

そしてグロスマンのプラトーンパートナーであるチャド・ピンダーも今年はツボにハマった時のパワーをあまり発揮できずにいます。端的に言うと、コンタクトが下手でゴロ打球が多すぎるのが微妙な成績に繋がっています。

捕手

 -GOOD

あくまでプラトーン起用される選手の1人という扱いだったジョシュ・フェグリーが打撃開眼したため、捕手はそれなりに上積みの期待できるポジションとなっています。

 -BAD

問題はフェグリー以外の捕手で、ニック・ハンドリーはIL入りするまで攻守共に目の当てられない状態で、入れ替わりでMLBに上がってきたボー・テイラーも控え捕手の問題を解決するほどのインパクトを残せませんでした。

チームはSTでの膝の故障で60日ILに入っていたクリス・ハーマンの復帰を発表。復帰後は打撃で存在感を見せていますが、守備もそこまで悪くないように見えます。フルタイムの選手として年間過ごしたことのないフェグリーのサポート役は十分務まるのではないでしょうか。

先発投手

 -GOOD

開幕からローテにいるマイク・ファイアーズとブレット・アンダーソン、そして5月頃からローテに入ったクリス・バシットがエースのモンタスが抜けた穴を埋めています。

マイク・ファイアーズは4月の炎上を経て、ノーヒッターを達成してから本領発揮。毎試合確実にQSを積み上げています。
ブレット・アンダーソンも小さい故障に見舞われながらも長期離脱はせずにローテを守り続けています。今季はもしかしたらキャリアイヤーとなるかもしれません。
クリス・バシットは崖っぷちの状況からプチ開花。威力を増した速球系と随一のスローカーブの組み合わせがハマって奪三振を伸ばしています。見極められて球数がかさんでしまう時があるものの、はまった時は奪三振ショーを見せています。

 -BAD

試合を作れる前述の三人がいたとて、貯金を吐き出すバックエンドスターターがいるならば元も子もありません。

モンタスの離脱後、4,5番手を任されているダニエル・メンデンとタナー・アンダーソンはそれぞれQS%が25%と0%と言う現状で、アンダーソンはポール・ブラックバーンと後半戦から入れ替わる見込みです。
メンデン、アンダーソン両名ともにスペックが足りていないというのが振るわないパフォーマンスの原因にあり、調子が上がればという期待もしにくい状態です。

後半戦からのプラス要素としてはチームNo.1有望株のヘスス・ルザードと、昨年エース格の働きを見せたショーン・マナエアが復帰予定でしたが、ルザードはAAAでのリハビリ登板中に違和感を訴え降板。MRIでグレード2の広背筋の怪我が判明し、復帰は一ヶ月ずれ込んで8月となりそうです。マナエアもようやくA+でのリハビリ登板をスタートさせるようですから、後半戦入ってすぐの復帰は無理でしょう。

ブルペン

 -GOOD

リアム・ヘンドリクスが覚醒したのが数少ないハイライトの一つ。
開幕時はいわゆるBチーム的役割のヘンドリクスでしたが、トリビーノの不調やトライネンの離脱も重なりどんどん地位を高め、クローザーとして過ごした6月は15イニングで22K、ERAは0.60の快投でリリーバーオブザマンスにも選ばれ、オールスターにも選出されました。

トリビーノとトライネンが機能しない中、今年もユスメイロ・プティートの貢献が光ります。登板数は相変わらず多いですが、抜群の制球力で打ち取るスタイルは健在で、優先度的にはヘンドリクスに次ぐNo.2の立ち位置です。

DFAされたフェルナンド・ロドニーの代わりに昇格した王維中も予想外の貢献で、Bチームの中では圧倒的な安定感を誇っています。ただセットアップ的役割はまだ荷が重いようで、あくまでビハインドの展開での起用に止まります。

 -BAD

とにかく期待を裏切る要素の多かったブルペン。開幕前はリーグ屈指のブルペンが形成されると思われていましたが、蓋を開けてみれば鉄壁のはずだったトライネン&トリビーノのコンビが故障と不調のせいで低調に陥ってしまう展開に。

トライネンはどうやら故障しても無理して投げるジャパニーズハイスクールのような体質であることもバレ、肘の違和感があるのにILに入らず打たれ、肩の故障でも10日で即復帰を果たし直後に敗戦投手になりました。
球の威力に問題ない様子は伝わってくるので、後半戦からは絶対的投手に戻ってくれることを期待しましょう。

トリビーノは故障もなく、x-statsは超優秀なのにもかかわらず打たれ続けました。恐らくその原因は速球系の制球力が終わっていることだと考えられます。4シームのBB%はK%を上回る19.0%で、シンカーも滅多打ちにあっています。後半戦はシンカーを捨てて、4シーム&カッター%カーブで勝負してくれれば前半戦のようにはならないはずです。

トライネンとトリビーノのみならず、ホアキム・ソリアやライアン・バクターも本来のパフォーマンスを出せていないのは気がかりですが、ブルペンにも先発と同じく故障からの復帰組が備えています。

一人は右腕のジャレル・コットンで、TJからの復帰ですがリハビリ中にハムストリングを怪我し復帰は若干ズレ込んでいます。
復帰前は球速も上がっていて、有数の使い手とも言われるチェンジアップとのコンビネーションをリリーフで発揮してくれるのには期待大です。メルビン監督はオープナー起用も視野に入れているとのことで、幅広い起用がなされそうです。

もう一人もTJ復帰組でプロスペクト左腕のA.J.パクです。
こちらは問題なくリハビリを消化し、今はAAに到達しています。ブルペン唯一の左腕であるバクターの調子を見ていると、ランディ・ジョンソンと比較もされるパクの制圧力はかなり必要になってくる気がします。


まとめ

昨年ほどの勢いもなく、強みを感じない今季ですが勝ち数だけなら昨年同様の水準にまとめています。
ただ昨年と違うのは、ライバルの少なかった昨年と違い、今年は同地区のTEXやCLE, BOSなどの実力者と終盤まで競らないといけないかもしれないことです。

後半戦及びトレードデッドラインでの動向も別記事にまとまられたら幸いです。ひとまず、チャップマンとヘンドリクスの選ばれたオールスターゲームを楽しみます。

それではまた





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