ALサイ・ヤング賞レース展望
6月も半ば。オールスター投票が盛り上がりを見せ、前半戦の終わりも迫ってきた。少し気は早いが、ここで最新のサイ・ヤング賞レースを展望してみよう。
◎ジャスティン・バーランダー
15G 9-2 [ERA]2.41 [rWAR]3.6
現役最強投手の一人で、今年もCY大本命。
故障からの復帰、HOU移籍を経て更に力強い投手として進化しているものの、昨年はブレーク・スネルに敗れて戴冠を逃した。
今年は4シームのスタッツが悪化しているものの、スライダーが威力を増してそれを補うピッチングで、労働量、完成度で他を凌駕する姿は変わらないが、投票する側は”バーランダー慣れ”してしまい唯一の懸念はこれかも。最も、奪三振数でサイ・ヤングを抜くなど、CYを獲得するというより自身がサイ・ヤングに近づきつつある。
◎ジェイク・オドリッジ
13G 9-2 [ERA]1.92 [rWAR]2.6
もともとソリッドな先発投手だったが、昨年の不振から見事に復活し、躍進するチームを支えている。
今季はスライダーを捨て、カッター一本に絞ったことで高めの4シームとのコンビネーションが威力を増した。
中身の内容や支配力ではバーランダーに勝ち目はないので、オドリッジがCYになるとしたら昨年のブレーク・スネル同様、勝ち星を伸ばして防御率を1点台に留め、最多勝と防御率のタイトル2冠は必須?
○ルーカス・ジオリト
12G 9-1 [ERA]2.28 [rWAR]2.9
WSH時代のトッププロスペクトは、アダム・イートンとのトレードでCWSに移って以降、"失敗"の烙印を押されかけていたものの今季はついにポテンシャルを発揮。リリースポイントを隠すフォーム変更がハマった形だ。
防御率は2点台前半に収まり、本調子になってきた5月からの労働量はバーランダーにも引けを取らない。
チームの成績が奮わないため、初戴冠の可能性はあまり高くないが、このまま快投を続けるようなら話は別。
最もまだ24歳と若く、これから何回もCYを獲るチャンスはあるのではないだろうか。
○チャーリー・モートン
14G 8-0 [ERA]2.10 [rWAR]2.7
HOUの再生プロジェクトの最たる成功例。
”代名詞”のカーブは今年もWhiff% 44.2%とキレキレでアンヒッタブルな球種。無敗のピッチングの軸になっている。
調子の良いTBにいることもあり、ランサポートの恩恵は問題なさそうだがバーランダーを上回るインパクトを残しているかというと疑問符がつく。勝ち星を伸ばし、防御率を更に下げられるかがポイントになるだろう。
△フランキー・モンタス
13G 8-2 [ERA]2.84 [rWAR]1.6
ここにモンタスが名を連ねるのは8割が私の贔屓目によるものだが、後半戦の活躍次第ではCY争いにくい込んできても不思議ではない。
今季はスプリットをレパートリーに加えたこと、スライダーを高速化したことで大化けした右腕だが、長いイニングを投げ切る能力、三振を奪い切る能力は他の候補にまだ見劣りするポイント。ただ登板を重ねる毎の成長速度は特筆すべきものがあるため、弱点を克服して急上昇も有り得る。
<結論>
残念ながらホセ・ベリオス(MIN)、マット・ボイド(DET)、マイク・マイナー(TEX)はここでは取り上げることはできなかった。
ただ、有力候補は防御率、勝利のタイトル争いでいずれも5位以内に入っているバーランダー、ジオリト、オドリッジ、モートンに既に絞られたといえる。
昨年のブレーク・スネル、ジェイコブ・デグロムの例を鑑みるに、やはり防御率1点台のインパクトは計り知れない。バーランダー以外の3人がCYを掴むとしたら、防御率1点台の争いになることは必至。
CY争いの本番は後半戦、特に自身の活躍でチームをプレーオフに導くというシナリオは投票でも有利になる。後半戦のハイレベルなCY争い及びプレーオフ争いに期待しよう。
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