Pencils Down!! 2019トレードデッドライン振り返り

トレードデッドラインが終了してしまいました😇
今年のデッドラインは7/31が真の締切という新ルールのおかげで、静まり返ったデッドラインだったと共に波乱に満ちたものでした。
A'sが成立させた3つのトレードを振り返る前に、MLB全体でのデッドライン総括をしていきます。

【市場を混乱させた"セラー"のチーム】


当初、市場の目玉と目されていたのは投手たちでした。
TORのエースとクローザーコンビのマーカス・ストローマンとケン・ジャイルズ、DETのマシュー・ボイドとシェーン・グリーンらの低迷球団の投手たち
そして、NYMは今季限りでFAのザック・ウィーラーと、コントローラブルなノア・シンダーガードの2人のビッグネームを、特にシンダーガードに関しては、売り切ることが濃厚になっていました。
SFも同様に今季限りでFAのエース マディソン・バムガーナーと堅固なブルペンから何人かのリリーバーがトレードに出ることが確実視されていました。

ところがどっこい。
デッドラインが煮え切らない中、ストローマンがトレードされた先はセラーの筈のNYM。コントローラブルなシンダーガードを売ると言っておきながらストローマンを獲得したトレードには大きな疑問が投げかけられました。
NYMはクローザーのエドウィン・ディアスのトレードに関しても話があったようですが、結果シンダーガードはおろかレンタル物件のウィーラーすらキープしました。
NYMははなからシンダーガードを手放す気が無く、ストローマンを競り落とすためにウィーラーとシンダーガードを市場に出すことでストローマンの市場価値を下げる狙いがあった可能性があります。来年以降も勝負モードを継続することを内外に示す動きとなりましたが、デッドライン前後からの連勝は止まる気配がありません。

SFも結局、エースのバムガーナーとクローザーのスミスを売ることはありませんでした。
理由はチーム自体がワイルドカードを狙える位置にいたことと、フランチャイズプレーヤーを大切にして支持を得てきたチームの特殊性でしょう。結果、ブルペンから不良債権気味だったマーク・マランソン、サム・ダイソンなどはトレードしながらも、弱点の2Bにスクーター・ジェネットをデッドラインギリギリで獲得しました。OAK、LADでキャリアを積んできたザイディGMは難しい舵取りを迫られる中、クリエイティブな動きを見せています。

このようにセラーと見なされながらもバイヤーに転じたチームは多くのレンタル物件を抱えていたものの、完全に白旗を挙げていたセラーのチームにはコントローラブルな選手が多く(フェリペ・バスケス、ケン・ジャイルズ、マシュー・ボイド)、セラーが彼らを安売りしなかった、という2つの背景が市場の停滞の原因の一部だと私は思います。

【A'sはどうだった?】


A'sの補強候補と報じられていた中には、NYMのウィーラー&シンダーガードや、SFのウィル・スミスなど前述のチームの選手も含まれており、A'sは彼らの謎ムーヴの煽りを受け、補強はベターではあるものの、十分ではないものに終わったと思います。

1つずつ振り返ってみましょう。

A's獲得 : ホーマー・ベイリー
KC獲得 : ケビン・メレル

かなり早い段階で行われたこのトレードはエース フランキー・モンタスの出場停止、故障からの復帰を目指すへスス・ルザードとショーン・マナエアのリハビリでの足踏みが背景にあります。
エースのモンタスの今季絶望はもちろん大きなダメージでしたが、ルザードとマナエアの合流が近いことから楽観視する向きもありました。しかし、その彼らの調整遅れには適わずKCからベイリーを獲得したということです。
交換要員のメレルはAAミッドランドのSSで、2017年のドラフト1巡目ではあるものの、俊足以外パッとするところの無い選手でした。メレルの上にはフランクリン・バレトとホルヘ・マテオ、下にはニック・アレンなど二遊間の選手層は、A'sのファーム組織で最も厚い部分で、メレルの入り込む隙は無いに等しいものでした。
A'sにとってメレルの放出はノーダメージですが、KCにとってもレンタル物件の上にタダ同然で獲得したベイリーの見返りに元ドラ1でお好みのスピードスターを得られたのですから、万々歳でしょう。

インパクト : C+
交換要員 : A+
補強の的確さ : A
総合評価 : A

A's獲得 : ジェイク・ディークマン
KC獲得 : ダイロン・ブランコ(AA)、イスマエル・アキーノ(R)

昨年のようなブルペンの堅固さがないこともあり、今年はブルペン補強がマストな課題でした。
そして加えたのが枚数が少ない上にAチームを任せるに足る投手のいないリリーフ左腕のスポットのディークマン。
昨年もライアン・バクター1人しか左腕がいませんでしたが、昨年は左右関係なく制圧でき、イニング跨ぎも可能な投手が揃っていたため加えることはありませんでした。しかし、今年は絶対的な存在が不在なため、バランスを重視しているのだと思います。
交換要員のメインピースとなったのはAAミッドランドのダイロン・ブランコ。80スケールランナーと評価を受けることもあるKC好みのスピードスターでしたが、既に26歳でA'sの外野のレギュラーを掴めるかと言ったらNOな選手ですから、新天地でチャンスを得るのは彼にとっても大きなプラスでしょう。
ジェイク・ディークマンはゴリゴリのパワーピッチャーで、高いK%とx-statsでも優秀な成績を収めています。既に勝ちゲームを任される存在となっています👏🏻

インパクト : B-
交換要員 : B+
補強の的確さ : A
総合評価 : A

A's獲得 : タナー・ロアーク+金銭
CIN獲得 : ジェイムソン・ハナ

A'sがロアーク獲得するという予想は多々ありましたが、それはデッドライン当日に実現しました。
ロアークは実績のあるベテラン投手でローテーションを任せるには十分な存在です。
ただ、このトレードには疑問が残ります。
CINはその前にCLE&SDとの三角トレードでヤシエル・プイーグ、有望株外野手テイラー・トランメル(#30)を放出し、CLEのエース トレバー・バウアーを獲得しています。
続くこのトレードではバウアーの枠の先発投手の枠を空けるために、今季限りでFAのロアークを金銭と合わせて放出し、マイナーのトランメルの穴を埋める補強を行いました。ハナはA+でソリッドな成績を残すCFで、HOUのマイケル・ブラントリーと比較されるスウィートスウィンガーです。前述のトランメルよりは階級が一つ下ですが、CFに残れるだけの守備力とパワー面の伸びしろもある洗練された打撃はトランメルの穴を埋めるには申し分ない選手といえます。
ロアークの半年でハナ1人は釣り合いが取れないため、金銭を抱き合わせでロアークをほぼ無料で雇えるようになったのはまだ良いことですが、もったいない気がします。
そもそも、調整が遅れているとはいえ八月中にはルザードとマナエアは戻ってくることは決まっているのに先発の残り1枠を固定する必要があるのだろうか、ルザード昇格の際には誰の代わりに入るのか、などなど疑問符がつきます。
ハナを手放すならリリーバーを1人加えた方が良かったのでは、というのが私の意見です。

インパクト : B
交換要員 : C
補強の的確さ : B
総合評価 : C+

以上の3つが全てです。
これ以降はウェーバーを介さなければトレードを行えないため、従来8月に見られていた控え捕手やブルペンのバックエンドの投手も締め切り手前で動きました。
A'sは現状の弱点を埋める動きが精一杯だったように思われます。
本来であれば、デッドライン直後にIL入りしたジョシュ・フェグリーやラモン・ロレアーノらの穴埋めや、さらなるブルペン補強を行っていたはずです。

これらを踏まえて評価をつけると、

インパクト : B
交換要員 : B+
補強の的確さ : A
総合評価 : B+

と言ったところだと思いました。意見、特に交換要員の質についてなどよろしくお願いします👍

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