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マドリードダービー レビュー (後半) 戦術、交代策の是非と今後に向けて

前半はこちらです

※長いです、すみません
※後半は試合とは離れたことも書いてます、ごめんなさい

前半はマドリーにペースを握られてしまったアトレティコ。シメオネが大きな勝負に出ます。

ハーフタイムの交代とフォーメーション

前半でも書いたように、不調だったり、苦戦していた、カラスコ、エレーラ、フェリペに替えて、レマル、コレア、ロディの3枚を投入する大勝負に出ます。
この交代は、前半途中から使用していた4-4-2への最適化、となるはずでした。
フォーメーション↓

怪しい入り

この交代、投入する選手自体に大きな問題はなかったように思えます。が、満足のいく交代策とは行きませんでした。
前半から幽霊のように試合から消え、足を引きずりながらプレーしていたスアレスはベンチに下げなかったところが、その問題点の1つです。
※スアレスについては詳しく後述します。

さらに、ここで試合に入った選手も苦戦します。
レマルは投入からしばらくはらボールが足につかず、ボールロストを頻発します。
コレアは今や最適とは言えない右サイドで守備に奔走し、攻撃での貢献はトップの位置に移るまで数少ない状態でした。
ロディは、プレスのプレッシャーからか、バッグパスのミスや軽率なボールロストを連発します。
試合の中でもチームが機能するようになる、70分すぎまで試合に入れていない状態が続きました。

こうして大きな勝負をかけた選手交代も不発に終わり、また、マドリーペースで試合が進んでいきます。

最大の疑問 ジョアンフェリックスの交代

シメオネは60分、試合で唯一光を放っていたジョアンフェリックスを交代し、サウールを投入します。
これにより、ジョレンテが右、コレアが最前線にポジションを変えます。

この交代、おそらくほとんどのアトレティコファンは、試合を見ていた人達はスアレスに変えてサウールを投入するつもりだと思ったのではないでしょうか。少なくとも、フェリックスを下げる理由は思い当たりませんでした。

この交代についてシメオネは、中盤への人員の追加、フレッシュな選手の投入、前と後ろとのつながりの欠如らなどを挙げていましたが、これは別にフェリックスを下げる理由にはなりえないのでは無いでしょうか。

実際ベンチに下げられたフェリックスは怒りをぶちまけていました。
リーガ月間最優秀選手賞を受賞し勢いに乗っているフェリックスの立場から行くと納得がいかなかったのは間違いなかったのでしょう。

不運な形での二点目と折れた心

2失点目もまた、セットプレーから
62分、左サイドからのクロースのFKのこぼれ球を拾ったカルバハルの弾丸ミドルがポストに跳ね返りオブラクにあたってゴールへ。
1点目に続き、1点目以上に不運な形での失点。これで、シメオネ以下多くの選手の表情に曇りが見えるようになります。
実力差を痛感したのか、心が折れたのか、ビハインドをひっくり返そう、という意欲の見える選手は、残念ながら多くはありませんでした。

ルイス・スアレスという存在

73分、2点ビハインドの中、アトレティコは最後のカードを切ります。スアレスに変えてコンドグビアを投入したのです。

これは遅きに失した交代だったと思います。
スアレスは前半から、走れずボールに触れない苦しいプレーが続いていましたし、70分すぎまで引っ張る理由は正直思いつきません。

シメオネがスアレスに何を期待していたのかは分かりませんが、大胆な交代策と矛盾したようなこの起用は結果として効果を生み出すことはありませんでした。

スアレスをどう使えばいいのか、は今後直面していく問題でしょう。
まず、スアレスはほぼ走れません。プレーエリアも年々縮まっているでしょう。
それでも、絶対的ストライカーが長年不在だったアトレティコには大きな存在です。

今季のアトレティコの「改革」がスアレスのおかげだと言う考え方にはさすがに賛同は出来ませんが、少なからず影響を与えているでしょう。
しかし、それは走れないスアレスをビッグマッチでスタートから使う理由になり得るでしょうか。

走れない選手を抱えて勝てるほど欧州の強豪は甘くないですし、そもそも5-3-2はスアレス不在時にハイプレスを軸に成立したフォーメーションです。
ボールを安定して保持でき、チャンスを作り出しスアレスがボールな触れるような試合ならスアレスの存在は大きいでしょう。

今日のような(ザルツブルク戦もしかり)相手にボールを握られる展開が想定できる試合は、スアレスではなく、汗をかける攻守に走り回れる選手が適しているはずです
ベストメンバーが全試合でベストメンバーであることがありうるはずもないのです。

アトレティコのタイトル獲得に向けて、必須であるルイス・スアレスはアトレティコのタイトル獲得に向けて、起用法をじっくり見定める必要があるはずです。

微かに見えた光明

2-0となり、ますますマドリーペースになるかと思いきや、73分以降、これまでとは一転して惜しいシーンも増えてきます。
この試合、微かに見えた光明は、控え組の奮闘です。

入りこそ悪かったレマルは後半途中から、ボール回しの中心となり、リズムを作り、時には自ら仕掛けてフィニッシュまで持ち込む、気概のあるプレーを見せてくれました。

コレアは前線に移った後、ボールを引き出す動き、ファーストDFとしてのプレッシングで攻守に動き回っていました。

スタメンを外され雪辱に燃えていたであろうサウールは、投入直後から試合終了まで、チームの中心としてドリブル突破、ミドルシュート、この試合1番の決定機だったヘディング、守備面ではインターセプト獅子奮迅の働きを見せてくれました。

最後に投入されたコンドグビアはサウールとともに、試合最終盤の中盤を完全に制圧しサイドへの展開など存在感を見せました。

彼らの奮闘は完敗だったダービーの中でも、希望を見せてくれました。基本的には、チーム内で絶対的な立場では無い選手たちですが、こういう選手がこういう働きをできるチームは強くなっていくものだと信じたいです。

4-4-2と5-3-2と

今日、試合途中で今期トライしてきて結果を出し続けた5-3-2を試合途中でやめました。
これが試合展開によるものなのか、それとも、限界を感じたからなのか、は分かりません。
過去多くの「転換期」にチャレンジし、4-4-2へ「回帰」してきたことを考えると多少不安に感じてしまいもします。

4-4-2(4-2-3-1)を否定する気は自分には全くありません。今季最初に見せていた攻撃的な4-2-3-1は機能していましたし、今日のダービーでいい働きを見せた中盤のふたりは確実にドブレピボーテに適した選手です。(トレイラも同様に)

5-3-2はベストメンバーが揃えば、おそらくチームで最も機能するフォーメーションかもしれません。
しかし、ベストメンバーを揃えられる試合はいくつあるでしょうか。そう出ない時に無理やりシステムに当て嵌める形で機能するでしょうか。

CBが4枚しかおらず、そのうち2人は怪我が多い選手であることを考えると、今シーズン5-3-2でフルシーズン戦うことは不可能です。5-3-2をベースとしながらも、4-2-3-1などの、その時起用する選手の生きる、柔軟な戦い方もタイトルを狙う上で必要になるのではないかなと感じました。

ダービー

今回のダービー、ファンとして見ていていちばん辛かったのは、ダービーを戦っている雰囲気がなかなか感じ取れなかったところです。
1点ビハインドでエースを下げ、2失点目をすると、チームからは活気が弱まり、何がなんでも勝つ、という気概はもっと必要だったと思います。
精神論が全てだとは思いませんが、アトレティコは精神論を大切にするチームのはずです。

今回のような、ユーベ戦のセカンドレグのような、諦めたような雰囲気が漂う悪夢のような試合は、その悪影響が1試合にはとどまらず数試合にもわたることが多いです。
今回のような試合は今後一切無いことを願うことしか出来ませんが、あってはならないでしょう。

今後に向けて

今日の敗戦は、選手、監督、ファン、全員が大きなショックを受けているでしょうし、今後に引き摺りかねない試合でした。
一方で、収穫もゼロではなかったはずですし、負け試合からしか学べないこともあるはずです。
こういう時こそ、初心に立ち返って(4-4-2に戻るという意味では無いです)一戦一戦大切に戦って言って欲しいと思います。

まだまだ過密日程、苦しいシーズンは続きますが、シーズンが終わった時に良い方への分岐点にこの試合がなってくれることを願っています。

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