見出し画像

慌てるな、急げ!

いまどき若いスタッフにこんな大切なことを教えたら、わけわからない、ハラスメントだと訴えられて、問題になるのが嫌なだけの管理職から注意を受けるのかもしれないが、いざというときに本当に大事なことなので、何かあったときのために覚えておいた方がいい言葉だろう。

沖縄からの帰り、いつもより早く空港にやってきた。ボードを見ると出発まで3時間近くある。日曜日の午後とあってどの便も満席だ。土産を買い、ポークたまごおにぎりを食べ、到着機を眺めながらお礼状を書いたりしていた。

関空行きの全日空便が出るまで1時間を切ったので、そろそろ保安検査場を通ろうとして、係員に止められた。

物語はここから始まる。

「お客さまが搭乗される伊丹行きはちょうど出発時刻を迎えていて、今からゲートに向かわれても乗れません」と丁重な説明を受ける。

えっ!

往路は伊丹発だが、復路は関空着だと聞いていた。が、今となっては水掛け論だ。

初めて見る復路のe-Ticketには、確かに伊丹行きと書いてあった。誰の責任でもない。

次の便のキャンセル待ちをされるなら、上の階にある発券カウンターへ行ってくださいとのこと。荷物を転がして歩きながら大阪に電話をかけるが、こんなときは繋がらない。別のスタッフに簡単に事情を説明して、カウンターの女性に善後策を相談。

乗るつもりになっていた関空便は満席で、キャンセル待ちが6番目。明日の番組があるので、賭けをするには危険すぎる。

「慌てるな、急げ」と自分に言い聞かせるが、玉のような汗が流れる。

とりあえず本州に降りられたら、あとはなんとかなるかもしれない。伊丹、関空、神戸、羽田と当たりつつ、peach航空、スカイマークのHPをチェックするが、用意できるチケットは無いとの表示。相手が人間でないので、ボヤくこともできない。

キャンセル待ちの手続きだけして、日本航空のカウンターへ急ぐ。並ばずにと機械を操作するもチケットは取れない。カウンターに行く。JALゴールドカード会員でよかった。

しかし、満席なのはこちらも同じ。憐憫の目を向けられてもなんとかしないといけない。とりあえず、目指すは本州。

「岡山行き、Jクラスが一席ありました!」

そうか、それなら羽田からタクシーを走らせるより近い。キャンセル待ちしている全日空の関空便よりは遅くなるが、、、

と躊躇していたら、数秒後に「岡山行きも満席に」と非情な声。しまった、チャンスに後ろ髪無しだ。

最悪、明日の放送をどうしたら成立させられるかと考えようとしたら、再び「岡山Jクラス出ました」との声。すかさず「押さえて!」と私。

「片道、正規料金ですが、よろしいですか?」

もちろんです。

全日空カウンターに戻り、日本航空岡山便が取れたことを告げると、「わざわざ言いにきてくださったんですか」と。

当たり前です。ありがとうございました。

ようやく保安検査場を抜け、念のためゲートにある全日空カウンターに行くと、やはりキャンセル待ちでの搭乗は難しそうだった。人生、賭けていいときとそうでないときがある。

トボトボと荷物を引いて長い道のりをJALのゲートへ進み、出発までにこの日記を書き上げました。

教訓の第一は、当然ながらちゃんと自分で確認すること。そして、慌てず可能なオプションを同時並行で進め、その中でよりベターな方法を実行することです。

新しくリニューアルする番組の中身とは関係ないから伝えられないので、NOTEに書き残しました。これからもそうしていきます。

そろそろドアが閉まります。続きは岡山に降りてから。

と思っていたら、機内Wi-Fiが使えるので追記。

そういえば、去年の北海道でもあわや帰れず、という事態が起きた。

新千歳空港のゲートを離れた全日空機。プッシュバックの最中に安全ビデオが流れ始めたが、エンジンをかけて動き始めない。

しばらくして機内アナウンス。機体に不具合が見つかったようだ。遅れるのを喜ぶ乗客はいないが、飛んでから不具合が見つかるよりはいい。

カンタス航空の標語 "Better late than Never" だ。

でも、一旦機外に出されるとは。日曜日夕方発の便で、状況は今回と同じだ。しかも伊丹便なので、午後9時の門限がある。

ゲートで情報を得ようとするが、まだ要領を得ない。今夜中に帰れるかが問題だ。

他社便の予約手配と情報収集を続けると、スポイラーに問題があったようだが、本体そのものなのか、センサーや警告灯のエラーなのかで状況は変わってくる。予備機を出す様子はない。

とりあえず、ゲートの前の寿司屋に座席を確保。すぐに満席になる。

番組スタッフにも逐一連絡は入れている。HBCやSTVのスタジオを開けてもらうのは、今からではさすがに厳しいだろう。陸路では間に合わない。Skype中継か、など考えながら寿司をつまむ。

ようやく事態が動いたのは1時間以上経ってから。警告灯のエラーが原因で、この機体で飛ぶが、伊丹は門限を過ぎるので、臨時便として行き先を関空に変えるという判断だった。海上24時間運用に感謝。

支払いを終えて再度ゲートに進んだら、ミール券代わりに現金の入った封筒が渡された。1000円だと思っていたら、後日2000円であることが分かった。

シートベルトを締め、またプッシュバックすると安全ビデオの放映。暗唱できるくらいだが、ルールはルール。なんとか関空にたどり着いた。

が、またしてもここで問題が発生。深夜なので、バスが満員で出ていってしまった。タクシー乗り場にも行列。それでもだいぶ並んでいると、整理員のおっちゃんが「さっきまでいた車はほとんど伊丹方面まで行ったから、戻ってきたとしても2時間以上かかるだろうから、とりあえず連絡橋を渡って、駅前にタクシーのありそうなところまで行った方がいい」と。

はよ言うてよ!

まだ、なんとか終電前だったので、深夜に大阪までたどり着き、翌朝の放送を迎えた。

やれやれ。

まもなく岡山空港。気流が悪く揺れているが、飛行の安全性にはまったく問題ありませんと自分に言い聞かせる。

降りてみると雨風無く、思っていたより一本早いバスに乗れた。那覇空港でexpress予約した新幹線の便を変更しよう。時間に余裕があれば、沖縄土産だけじゃなく岡山土産も買えるぞ(^。^)

ラジオパーソナリティとして、聴いていただくことが一番のサポートですが、直接投げ銭の形でサポートしてくださる方もいらっしゃり、驚くとともに喜んでいます。 もっともっと面白いことを考え、実行するために使わせてもらいます。 感謝!