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読書note 未来に先回りする思考法

今までnoteは読む専用でしたが、私自身の気楽なアウトプットの場として記事を書いて行こうと思いました。三日坊主になるかもしれないですが、とりあえず気が向くままに向き合っていきます。。

記念すべき1冊目は「未来に先回りする思考法」佐藤航陽著です。現在は同書を再編集した書籍として「未来の予測の技法」も出版されているようです。

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本書のポイント

「飛行機の実現までには百万年から一千万年はかかるだろう」ニューヨーク・タイムズがこの記事を掲載してわずか数週間後、ライト兄弟は人類で初めて空を飛び、この予測を覆しました。この話を、当時の人々は笑いました。一流紙でジャーナリストを務めるほどのエリートが、なぜそんなことを自信満々に書けたのだろうと。
(中略)
なぜ、人々はこうも繰り返し未来を見誤るのでしょうか。 その原因は人々の「思考法」にあります。人は、今目の前で起きていることからしか将来のことを考えることができません。しかし、FacebookとiPhoneの普及を多くの人が予想できなかったように、現在の景色という「点」を見て考える未来予測はだいたいにおいて外れます。

①99.9%の人は今目の前で起きていることから将来を考える
②0.1%の人は長い時間軸から社会の進化のパターンを捉え、その流れを線としてつなげ意思決定を行う
③現実は人間が認知できないほど膨大な要素に溢れているため、99.9%の人は未来を見誤る
誤解を恐れずに言うと本書で言いたいことはこの点に尽きると思います。「はじめに」に書いてある内容なのですが笑
あとはどのような流れにあるのかをテクノロジーの進化の文脈と絡めて丁寧に考察をされています

テクノロジーの3つの本質

①テクノロジーは「人間を拡張するものであること」
すべてのテクノロジーは、何らかの形で人間の持つ機能を拡張してきた
人間の手を拡張・・斧、弓
人間の頭脳を拡張・・文字、書籍
人間の手足の動力を拡張・・蒸気、電力
人間の知性を拡張・・コンピュータ、インターネット

②テクノロジーは「いずれ人間を教育しはじめること」
新しいテクノロジーが社会に普及してしばらく経つと、今度は人間がそのテクノロジーに合わせて生活スタイルを適応させていくようになる
人間は課題を解決するテクノロジーを発明します。そして、時を経るにつれそのテクノロジーは社会構造に深く組み込まれていき、いつしかそのテクノロジーの存在自体が人間の精神や行動を縛るようになる

③テクノロジーは「掌からはじまり、宇宙へと広がっていくこと」
テクノロジーは人間の機能を拡張させるものであるが、その拡張は常に「身体の近く」からはじまる
そして、テクノロジーは一定の順番を経て、物理的に遠くへと浸透し、浸透すればするほど日常の風景となり、その存在感を消していく

未来を見誤るよくあるパターン

目の前にある新しいサービスやプロダクトを否定する
まだ実現すらしていない新しいテクノロジーに過度に期待する
この文章を読んだときにガートナーのハイプ・サイクルを思い出しました。
https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20210824
これによると特定の技術が社会に受け入れられるまでには、「黎明期」「過度な期待のピーク期」「幻滅期」「啓発期」「生産性の安定期」を辿るとされています。新しい技術が世に出たときに未だ実用化されていない段階で期待が加熱するという現象はよく見られるパターンですね

タイミングを見極めることの大切さ

人間が想像できるアイデアは、そのほとんどが実現できる
アイデアは、将来における「点」である
大切なことはタイミングを見極めることにある
ハイプ・サイクルで言うと「生産性の安定期」に入るタイミングを見極めるということでしょうか

テクノロジーや経済システムなど、社会における複数の要素すべてのタイミングが噛み合っていなければ、それがいかに誕生が運命づけられている技術であったとしても、普及することも、歓迎されることもありません。

未来に先回りする意思決定法

自転車をどれだけ改造して整備しても、宇宙に出ることは永遠にできません。どれだけ早くペダルをこいでも、自転車は構造上空に浮くことは絶対にありません。もし月に行きたいのであれば、まず今乗っている自転車から降りる必要があるのです。

現状をひたすら効率化し続けることは、目的地への近道を探すことを放棄した思考停止の状態である
物事は惰性で進みがちであるため、「どうすれば現状のやり方を効率化できるか」と考える前に、「今も本当にそれをやる価値があるのか」を優先して考える癖をつける
そのうえで重要なこと3つ
①常に原理から考える思考法をもつ
※そのシステムがそもそもどんな「必要性」を満たすために生まれたかを、その歴史を踏まえて考える
※現在の景色だけみて議論しても「点」にすぎないため、長期的な変化の「線」で考えなければ意味がない
②テクノロジーの現在地を知る
「知る」には以下の4段階がある
・使える
・ポテンシャルがわかる
・なぜできたのかを原理から理解している⇐ここが重要!
・実際の作り方がわかる⇐ここまで「知る」必要はない
③タイミングを見極める
適切なタイミングにアクションを起こすだけ

意思決定をするうえで大切なこと

ロジカルシンキングを疑う

論理性が高い=他人も自分も納得できる=成功の可能性が高い??
構築できるロジックはその人が集められる情報の範囲に依存する
自分たちに認識できる範囲を「全体像」と捉えてしまうため、将来に対する認識はあっさりと裏切られてしまう

人のつくりだす論理は、情報の不足と理解力の限界によって、完璧なものにはなりえません。しかし、社会は「論理的であること」を判断の前に求めるので、しかたなく後から、それらしい理論をくっつけて「理解できている」ことにしておかないと機能しないのです。
まず自分自身の認識すらも誤っている可能性を常に考慮に入れた上で意思決定をする必要があります。ひとたび動き出せば、新しい情報が手に入り、「認識」は随時アップデートされていきます。将来的に新しい情報が得られるであろうことを考慮に入れた上で、一定の論理的な矛盾や不確実性をあえて許容しながら意思決定を行うことが、未来へ先回りするための近道です。

今の自分の能力に基づいて意思決定してはいけない

「案ずるより産むが易し」という言葉もありますが、できないと思ってやってみたら意外に簡単にできたという経験は、誰にでもあるでしょう。自分の能力を過小評価しているケースもあるでしょうが、その多くは、時間の経過とともに自分の能力が上がることを判断材料に入れていないのが原因です。

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最後に

読書noteを初めて書きましたが、上手く書けないものですね。。
今のクオリティにめげずに続けていきたいと思います。
この本を読んでいて「タイムマシン経営」を思い出しました。

「タイムマシン経営」とは、海外で成功したビジネスモデルやサービスを日本でいち早く展開する経営手法のこと。まるでタイムマシンに乗って未来からやってきたかのようにビジネスを展開し、成功へ導くことができるという例えで、ソフトバンク創業者の孫正義氏が命名したとされています。タイムマシン経営には、海外で成功したサービスの日本法人を立ち上げるパターンと、ビジネスモデルを模倣して日本向けにアレンジするパターンとがあります。

本書の内容とは異なりますが、未来を予測して先回りするという考え方は通じるところがありますね。

話を本書の内容に戻しますが、本書の結論は非常にシンプルなものでした

何が起きるかについては、おおよその流れはすでに決まっている
人が未来をつくるのではなく、未来のほうが誰かに変えられるのを待っている
適切なタイミングでリソースを揃えた人間が、その成果を手にする

私たちにできることは、顕在化している課題をできるだけ早く解決する方法を見つけ、ひとつでも多くの不幸をなくすことぐらいでしょう。いつか誰かが実現する未来だったとしても、その到来を早めることは、多くの人にとって価値のあることでしょう。
きたるべき未来の到来を早めることが、その時代を生きる人に課された唯一の「仕事」

なんだか自虐的な結論にも感じますが、世の中の流れや自分の仕事の意味を考えさせる1冊でした。



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