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柿埜真吾先生:1929年、世界恐慌はなぜ起きたのか

テンミニッツTVでも大好評の柿埜真吾先生の「本当によくわかる経済学史」講座。サイトでのシリーズ配信はいったん小休止を挟みましたが、いよいよ「後半」がスタートしました。

前半はアダム・スミスやリカードなど「古典派経済学」の考え方の基本から、その前の「重商主義」「重農主義」、また、異端としての「社会主義」などについて、とてもわかりやすくご解説いただきました。

講座紹介

後半は、いよいよ1929年の大恐慌の分析から、ケインズ経済学、オーストリア学派、ミルトン・フリードマン、そして最近話題に上ることもあるMMT理論まで、まさに現代に直結する議論が次々と展開されます(第8話~第16話)。

世界の見え方や、経済の見え方が一変する、名講義です!

講義動画

柿埜真吾:貨幣数量説と大恐慌…大恐慌の本当の原因はFRBのミスだった

後半のスタートは、いきなり刺激的。「大恐慌」の本当の理由です。

まず、その「本当の理由」を理解するために、柿埜先生は「貨幣数量理論」について教えてくださいます。名前を聞くとややこしそうですが、心配ご無用。とてもわかりやすくご解説くださいます。

この「貨幣数量理論」がわかれば、「貨幣を安定させれば景気は安定するはず」ということが見えてくるようになります。

ところが大恐慌が起きてしまうのです。

アメリカの貨幣発行に携わる中央銀行・FRB(FED)は、当時、「貨幣を安定させるために、われわれがきちんとやっていたにもかかわらず、恐慌が起こった。防げなかった。もう何もできない」と説明しました。

多くの人々がそれを信じ、「古典派経済学」の考え方への信頼が崩壊。片や、マルクス主義経済学が多くの支持を集めるようになり、もう一方ではケインズ経済学が注目を集めるようになります。

ところが……。

後年(1963年)の研究で、実はFRBが「まともな金融政策ができていなかったこと」が明らかになるのです。

どういうことか。そして、それはどのように証明されるのか。それについて、柿埜先生は図表を用いながらご説明くださいますので、ぜひ講座本編(第8話)をご覧ください。

シリーズ後半の見どころ

第9話以降は、次のような流れになります。
※前半のラインナップは以下をご参照ください。

(9)ケインズ革命…様々な恐慌克服の処方箋の「真実」を探る
(10)ケインズ理論への誤解…真に独創的なのは、どの部分か?
(11)オーストリア学派…ミーゼス、ハイエク、シュンペーター
(12)「ヒトラーの経済政策はケインズ的で大成功だった」は大嘘
(13)ミルトン・フリードマン…金融政策の復権と自由市場の重要性
(14)「貨幣量と物価」の現代経済史…そしてスタグフレーション
(15)「ケインジアン」の分岐とMMT?…正統と異端の見分け方
(16)結局、主流派と異端派の何が違うか…経済学史の大きな示唆

柿埜先生は、実はケインズ経済学は「誤解」されている部分も大きいといいます。そのことは、第9話、第10話で語られます。

そして社会主義の計画経済の無理を鋭くついた「オーストリア学派」の主張は第11話で紹介されます。ミーゼス、ハイエク、シュンペーターの名前を聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、彼らが何を主張し、どこに限界があったのかもよくわかります。

そして、必見の講義が第12話です。よく、「ヒトラーの人種政策や戦争政策は『悪』だったが、経済政策はケインズ政策的でドイツを立て直した」といわれることがあります。しかし、それが真っ赤な嘘だと柿埜先生はおっしゃるのです。

それが象徴的にわかるものとして、柿埜先生は次のようにおっしゃいます。

《景気も悪いわけではないというふうに見かけ上は見えるにもかかわらず、乳児死亡率が上がったし、身長の伸びは止まったし、あらゆる健康関連の指標が悪化している》

はたして、どういうことか……。詳しくは、ぜひ講座本編(第12話)をご参照ください。

第13話以降は、現代の経済を知るために、ぜひとも学んでおきたい内容です。

経済学には「前提やモデルを立てて、論証していく」側面があります。つまり、それぞれの議論が、別々の前提やモデルを出発点として構築されている場合、どの議論もそれぞれに筋道が立っていて、どれも正しく思えてしまうのです。

では、どうするか。

そんなときに、「確かな座標軸」になってくれるのが、「経済学史」についての教養なのです。これまでどのような議論が行なわれ、歴史のなかでどう検証されてきたかを知っていれば、「どの議論が正しそうか」についての、判断基軸を持つことができるようになります。

柿埜先生は最終話(第16話)で、「正統派」と「異端派」の見分け方も教えてくださいます。

テンミニッツTVの「本当によくわかる経済学史」講座も、柿埜先生が一貫してご自身の立場や判断を明確にしつつ、データを用いて論じてくださっているからこそ、皆さまがご自身の「考え」や「判断軸」を練りあげるうえで、大きな一助となるのです。

頭のなかがクリアに整理され、考え方の基軸が形づくられる講座です。ぜひご覧ください。

YouTubeではシリーズ第3話・第8話のみ無料公開しておりますが、続きが気になる方は以下「テンミニッツTV」よりぜひご覧ください。
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https://10mtv.jp/pc/content/lecturer_detail.php?lecturer_id=308