魔法の呪文

お盆に奈良の実家に帰省していた。母と妹(四女)と私(長女)で近くのショッピングモールで買い物中、少し休みたくなって、スターバックスに入った。私はその日が帰省初日で、行きの新幹線に乗る前に新作のフラペチーノを飲んでいた。それが美味しかったよという話をしていたので母が気になったらしく、迷わずそのフラペチーノを注文。お盆にも関わらず田舎のショッピングモールはのんびりとした人入りで、席は空いていて、2人掛けのテーブルを2つ引っ付け3人で腰掛けた。

ノリノリで注文したので、母はすぐ自分のフラペチーノを飲むと思いきや、おもむろに妹の頼んだティーを手に取り、迷わず口に運んだ。妹が思わず「え!ちょ!なんで!」と声を出す。

我が家は今時珍しい4人姉妹で、私は長女である。小さい時は髪の毛を引っ張り合うような激しい喧嘩をしていたり、思春期に1年以上口をきかなかったり、ということもあったが、今では4人とも仲良くしていて、姉妹揃ってUSJに行くほどである。幼いころ家族で遊びに行くと、先々で「4人姉妹なん~かわいいねえ~」と言われまくっていて、『は?なんで?普通やん』と思っていた。しかし、この歳になった今なら分かる。夏は4人とも麦わら帽子+ワンピース+サンダル姿、冬は色違いのトレーナー+ジーンズ+スニーカーの4人の小さな女の子は、さぞかし可愛かったろう。

妹と私の頼んだ飲み物をしっかり味見し、自分の注文したフラペチーノを大人しく飲んでいた母が呟いた。「スターバ、久しぶりに来たわぁ。」妹が「そうなんや~」と応じた直後に違和感に気づいた。「スターバって…!!」すかさず私も「呪文か!」と返すと、妹が「くらえ!スターバ!」。勇者ヨシヒコでメレブが言いそうなセリフである。コーヒーを飲みたくなる呪文!

「ちょっと間違えただけやんかぁ~」と母は照れていた。

奈良のお盆は平和だ。

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