ミュージカル『J&J』観劇感想②🧸

こちらの続きです。

《attention》
ネタバレあり、妄想あり脳直文章。綺麗な感想だけ読みたい!みたいな方向けではないと思うので広い心でお進み下さい。演出に関する考察や妄想も多く入り混じる予定。つらつらと書きたいことを書くので時系列バラバラかも。ちょっと眠いのでまとまった文章書けないかも。


二幕はジェンと息子ジョンのお話になる。冒頭から嫌な予感がしていたが、まさにその通りになって。弟ジョンに対して彼女が出来なかったことを息子ジョンに対してやるようになる。言い方を変えると弟ジョンの人格を息子に押し付けて、決めつけて、息子ジョンをまるで見ようとしない。息子を通して弟ジョンを見ていることがとても悲しかった。そしてそれを一番理解しているのは息子ジョン。

あんまり時系列ごとに書けなくて申し訳ないですが、印象的な部分をガーっと書いていきます。漢字の目次はそう気分。


改過自新

万里生ジョン。一幕で衝撃の19才まで成長しましたが二幕はまた息子ジョン5ちゃいになるのでまた可愛いに戻る。でも、でかい。「ママ~。ママ~!!」が聞けて優勝だった。あとジェンの膝枕とかしてジョンが足バタバタするのとか下からのぞき込むのとか、ちょっといけない場面をみているようだった。好き。

ジェンの母親としてのヤバさが恐らく最初に感じられるのがここ。息子ジョンに「クリスマスプレゼントよ!」って渡すのが弟ジョンが使っていた今はもうボロボロになってしまったグローブ。(そういえば息子が生まれたときからもう弟ジョンの遺品を胸に抱いて、これもきっとこの子に似合うわ、このボールで野球をするのよ、この子もきっと好きになるとか歌ってた。すでにヤバい)

息子ジョンはこれ全然貰っても嬉しくなくて、「でもほかのクラスメイトはもっと綺麗なグローブ持ってるよ!」って抗議するんだけど、ジェンは「これは貴方のおじさんが使っていたものなの、使えることを有難いと思いなさい!」って言ってて恐怖だった。わたしずっとぞわぞわ。万里生ジョンは「わかったよ。。。嬉しい。ありがとう。サンタさん、ありがとぉ!!!」的な台詞を言うんだけどこれ全部、本心を嚙み殺して母親を喜ばせるために言っているのつらい。ここほんとに親が望んでいるように返事する子供の表情でつらい。

この後に万里生ジョンがクリスマスツリーに飾ってあるサンタクロースに「目潰し!目潰し!ぶすぶす」ってやってて、わたしも笑ったし、観客からも笑いが出てたけど。これって本音を言えなくてもどかしい気持ちとかサンタクロースが自分の家には来ないで、本当にほしいプレゼントも貰えないというジョンの行き場のない感情(悲しみとか怒り)とかのお芝居なのかなって思ったから目潰しが悲しい子供の精一杯の感情表現なんだなって思ってつらい。

息子ジョンが野球するシーンも印象的で。そういえばあの姉弟でやっていたルール決めも一幕では姉ジェンが「私たちが姉弟だって知られないようにすること、黙っていること、話しかけないこと」とか自分と弟が関係ない存在になるように命令しているのに、弟ジョンがこれを全部守らないでひっくり返してたのを、二幕では母ジェンが逆の立場になってて興味深かった。(息子ジョンにお母さん静かにしててね、僕に指示出さないでねってお願いされているのをガン無視)

ここで衝撃を受けた歌詞があって、母が補欠になった自分のことを監督に向かって可哀そうでしょ?出してあげてっていうんだって嫌そうにジョンが歌う場面。ジョンは野球別に好きじゃないし得意じゃないこともわかってて、母が喜ぶから渋々やっているだけなんだろうなってわかる。

けど、ジェンは”弟”が野球得意だったんだから息子も得意にきまっている!みたいなフィルターが酷くて全然、息子の本心をみていないし、そもそも可哀想って言葉選びが怖いなって思った。よく物語でみかける。自分のものさしで他人を可哀想って決めつけるんじゃないって言葉があると思うんですけど、これを知ってからわたしは「可哀想」って言葉を使う際は極力気を付けるようにしている。無闇に使う言葉ではないという意味で。別にジョンは補欠になる自分を可哀想って思ってない。(たぶん、補欠でラッキーとか思っていそう。)でも母親は自分の思考で判断して息子は可哀想って思ってる。何が言いたいかというとジェンは息子をちゃんと見てないよねって話。


自己肯定/もしくは自己批判

この辺りで急に始まるお悩み相談番組みたいなやつ。あれは母ジェン、息子ジョンの脳内で起こっている思考回路の具現化なのかな。ジェンが椅子に座ってキャスター万里生さんの質問に答えていく、それに反論したりするたびに音楽のタイミングと同じく椅子の向きをダンダンって動かす演出好きだったな。「弟と同じ名前を息子につけるってキモくないですか?」ってストレート台詞があったひゅってなった。この辺りはあまり記憶がない。キャスター万里生さんが凄いキレキレだった記憶はある。

変わって今度は息子ジョンがお悩み相談番組に出演しているような場面。この辺り全然記憶ないな。フォロワさんが言っていた「母親を傷付けるようなことを言っている」それが問題なのでは?って言葉だけど、今思えばこのジョンの反抗は全部、本当の僕をみてってSOSだったのかなぁって思った。だって母親はずっと自分自身をみていないって感じているんだろうから。

それからコロンビア大学の合格通知が母親宛てにだけ来ていることを見つけたジョン。ここもかなりシビアな場面だけどジョンが「応援してくれるよね?」って言った時の声色と表情がすっっっごくて!!!!!母親を伺うような、試すような感じというか。

僕を愛しているんだから応援するのは当然だよね?っていう静かな圧を感じた。これかなり息子ジョンの切り札だったのかなって思ってて。だって母親としては「応援する」って言わざるを得ないじゃないですか。いくら弟ジョンの影を追っているとしても。この辺りでやっとジェンは息子が弟ではないんだってことにやっと気が付いていくのかなって感じました。


追想

時系列を忘れたのですがジェンが亡き弟の写真を見ながら独りで会話する場面。最初は懐かしむようにしていたのに、段々と感情が揺れ動いて、弟の写真をみて、息子ジョンがどんどん貴方と似てくるのよって泣き出すような感じ(記憶あいまい)

この時に、ジェンはずっと苦しんでいるんだなって改めて分かった気がした。二幕はずっとジェンの母親としてのヤバさばかりに意識が行ってしまうのですがこの場面で歪んだ感情の正体が出現するみたいなイメージ。

途中から弟ジョンとしての万里生さんがINするのですがもう着替えている袖から威圧感というか弟ジョンの気配が凄かった気がする。野球のユニフォームきてたから高校生の時なのだろうけど、この時はジェン実家に帰ってないからもしかしたら息子ジョンをみて、弟ジョンのこと幻覚みてるのかな…。

泣き崩れるジェンの背後で椅子?の上に立って彼女の人生を支配しているかのように仁王立ちするジョン。照明が切り替わるごとに幼少期の弟ジョンと息子ジョン、成長した弟ジョン、息子ジョンが台詞を発するのですが鳥肌でしたね。これは前回のnoteで記載したの飛ばします。

あと、何処かの場面で母ジェンが弟を想いながら歌う時に袖でめぐみさんを見ていた万里生さんの表情が、これ、弟ジョンの立場で聞いているな見ているな、これは息子ジョンとして感じているなっていうのが垣間見れて好きだった。


熟慮断行

それから、大学のお祝いパーティーをするからってジェンが綺麗なドレス?ワンピースに着替えてくるのですが可愛かったです。後ろのチャックを閉めて!って息子に頼む場面とかなんかきゅんとしました()

この辺りから息子ジョンの表情がぐっと大人っぽくなって。待ってその前に、ジョンが「母は僕が支えなくっちゃ、僕がいなければ生きていけない」って歌ってますか?めっちゃ好きでした。なんかこう闇落ちって感じで。ずっと息子ジョンとして自分自身を見てほしかったのに、弟ジョンとしての立場を受け入れたのか?みたいな。何かを諦めた男、感情がごっそり抜けて、こうお前しかみえないみたいになるの好きです。

つまりこの辺りからまじで、息子ジョンが攻めにはいるのが好き。言葉があっているか不安ですがパワーバランスが崩れる瞬間ってこれかなって。今まで息子ジョンに注いでいた愛情(弟ジョンに対する歪んだやつ含めて)が闇に染まってしまい、彼女を覆いつくすイメージ。このあたりでジョンが母に迫るシーンがあって、もうSNSで書いたんですけど…。空気感が男女のそれに見えてしまっててか、息子ジョンが弟ジョンに憑りつかれたみたいに思えて、そのままキスするのかと思った。(しません)とにかく、それくらいにジョンの母親に対する感情が歪んだ場面。好きでした。

それから、確かジェンが神に懺悔する場面。自分がずっと弟ジョンに囚われていて、それをずっと息子ジョンに押し付けていたことを理解し告白する、それに息子が気が付いているとわかっていたはずなのに、自分の想いを優先するあまり、大切な目の前にはいる我が子を蔑ろにしてしまった罪意識みたいな。ずっと身に着けていたドックタグを首から外していたのもこのあたりかな。彼女は自分自身を許したのかもしれない。神に許しを請うのはその罪から解放されたいからかなと思うから。


黎明

最後に母ジェンが息子ジョンと二人で歌う場面。わたし1回しかみてなくて、パンフレットも歌詞情報もまだちゃんと読んでない身なので正直な感想を言うと、あの闇落ち状態からどうやってそこまで和解の雰囲気になったんだろう?って印象だった。

たぶんわたしが闇落ちジョンで衝撃を受けて記憶喪失になっている可能性が高いが。なのでたぶん最後のナンバーだろうなって思いつつも、えもう終わっちゃうの!!!???という感情が追い付かなくてぴえぴえしてた。そして舞台に置き去りにされた弟ジョンのドッグタグ。。。。置きっぱなしにするんじゃない・・・・。照明にずっと照らされているままでつらかった。

この終わり方などについては観劇された方にゆだねるタイプだろうかなと思いつつ、いろんな方の感想や考察を読んでみたいなって思いました。

さて、今回も感想書いてて全くもって自分に落とし込めずにすべて感情のままに書いているのですが、この作品を自分の人生に落とし込むと全然眠れなくなるのでやっぱかなり重めのミュージカルに分類されるのかなって思いました。

ただ、わたしはこういういろんな感情が入り混じって人間の感情って人生って、他人と家族と生きるってどういう事なんだろうとか。感情の本質。愛するが故の過ちとか深淵を覗くのが趣味なのでとても癖でした。


あとこれは妄想だけど、19歳の弟ジョンが戦地に赴いた理由の一つとして、実の姉を愛してしまったから。が加わっているとわたしが喜ぶ。あと死んで姉に消えない傷を残したかったとか。(永遠に忘れないようにするためとか)そうすると最後に残ったドッグタグの意味がまた違う怖さになるな~とか考えちゃった。弟ジョンの呪縛から逃れた姉。

では、ここまで読んでくださった方がいましたらありがとうございました。読みにくかったかと思いますが取り敢えずこの激情が書き残せて満足です。

人間はいつだって自分勝手で自分よがりだよな~って自分自身を振り返っても思うし、それが人間なんだよなって思います。

2023年の万里生さん納め。来年もたくさん万里生さんの現場いきたいな。

Fin

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