春先から

春先から

すうじつの雨をすきとおるように過ごせばそらの余白がみえる
時計はお腹のあたりでゆっくりになりすこし休まった気がした
あなたが在、不在を確認するかのように窓を開ければ詩はひかりのまま
主語を欠落させた庭のまんなかあたりで巡り会う音楽の手触りを鼻歌交じりにうたいながら
運ばれていく雨水の音を重ねつつみらいまでいのちを運ぶからだを椅子に落とした
病んでゆく臓器の心地よさをあたためつつ外気に触れた器官を異邦人のように切り落とす
かたちを変え徐々に帰属してゆく筒状のくうきをぼくたちは行き先に選んだ
漂う助詞だけがゆめのよう吃水線上に脱衣したあなたのゆれ
ルーメンのゆれ、プルスのゆれ、波のぬれ、瞼のゆれ、そうもくのゆれ、つよくよわくと
ちかづくとみえないがはなれるとみえるものの所作をまだ足りなさそうにもたらした、詩歌のように
とおくをみればすみずみまで流れるみずを喜びその役割りを
つかれた旅を癒すように引き込んだ

#詩

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