予防

三半規管へと伝導した
親子の頸に括られた神
に触れたことがある
森は
雑駁な音だけが溢れていた
関係者以外立入り禁止の
捧げられた酒と花束と
睡眠はまだ艶やかに漂白し
時計まわりに終わらない
織り続けている綿布のように
やさしく長くその先端の
ささやかな後悔の解れが
垂れたさきへ平成は
閉じられようとしている
雨はその由来をししむらを
混沌へと発酵させるやさしさ
身体の家々をめぐる界面活性剤だけが
正義であると唱えられ
清潔な手指が波のようにあふれてしまって
予期しない方向へ逸れてゆく
まだ覚えている、その物語を伝説に昇華させて
髪切虫は帰ろうとする
わたしたちはそのあと、底辺を確かめただろうか
嫌気状態の音域のあるいは包囲された未来を
いま入江の横に立って呼びかける
再発はいつかつぎのわたしたちへともういない
つぎの中空へと月を吊るすのだから
#詩

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